グッドデザイン賞受賞祝賀会大賞はヤマハ「EAD50」、ミナ ペルホネン展も金賞、コーネリアスも登場

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2026年度グッドデザイン賞の受賞祝賀会「GOOD DESIGN AWARD Live & Lounge」が2026年11月4日、NHKホール(東京都渋谷区)で開催された。最高賞のグッドデザイン大賞を受賞したヤマハの専用マイク付きドラム拡張モジュール「EAD50」をはじめ、グッドデザイン金賞、グッドフォーカス賞、ロングライフデザイン賞などの受賞者が登壇。ファッション・テキスタイルブランド、ミナ ペルホネン(minä perhonen)の展覧会「つぐ minä perhonen」も金賞を受賞した。また、シークレットゲストとしてコーネリアス(Cornelius)が登場し、「MIND TRAIN」を披露した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

ヤマハ「EAD50」がグッドデザイン大賞 開発チーム全員で受賞の喜び

2026年度のグッドデザイン賞は、5,111件の審査対象から1,484件が受賞した。特に優れたデザインを選ぶ「グッドデザイン・ベスト100」の中から、グッドデザイン大賞1件、グッドデザイン金賞19件、グッドフォーカス賞12件の計32件が特別賞に選ばれた。

グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)を受賞したヤマハの「EAD50」は、ドラム演奏の音づくりや表現の幅を広げる専用マイク付きドラム拡張モジュール。高度な技術を備えながら、ドラムセットになじむ形状とし、演奏者の自由な表現や演奏する喜びを重視したデザインが評価された。

祝賀会では、ヤマハのデザイン研究所デザイナー、風当将文さん、B&O事業部EDRプロジェクトリーダーの田坂貴史さん、デザイン研究所所長の川田学さんが登壇した。

風当さんは、グッドデザイン賞がデザイナーにとって特別な賞であるとしたうえで、「この賞はデザイン賞ではありますが、開発に関わったチームメンバー全員でいただいた賞です」と話し、開発チーム全員で喜びを分かち合いたいと語った。

田坂さんは、ドラムという専門的な分野にも、演奏をより楽しくするための可能性が残されていると指摘。「新たな楽しみを提案していく点を評価いただけたことを、非常にうれしく思います」と受賞を喜んだ。

川田さんは、EAD50について、機能だけでなく、自然とドラムになじむ形を持つ製品であることを説明。審査委員が一つ一つの作品を丁寧に評価したことに敬意を表し、音楽の楽しさを広げ、一人ひとりが自由に自己表現できる未来をつくりたいというヤマハのビジョンにも言及した。

審査副委員長の鈴木元さんは、デザインと技術、企業のビジョンが一体となっている点を評価。「それを誇示するのではなく、演奏者の自由や喜びにフォーカスを当てたデザイン」と述べ、高度な技術を前面に押し出さず、演奏者を中心に据えた点を高く評価した。

ミナ ペルホネンの展覧会「つぐ minä perhonen」が金賞 ものづくりを未来へつなぐ取り組み

グッドデザイン金賞には、ミナ ペルホネンの展覧会「つぐ minä perhonen」も選ばれた。

ミナ ペルホネンは、デザイナーの皆川明が1995年に立ち上げたブランド。独自のテキスタイルを用いた衣服やインテリア製品などを展開し、長く使い続けられるものづくりに取り組んできた。

「つぐ minä perhonen」は、ブランドの30年にわたる活動を振り返りながら、衣服やテキスタイルを通じて、ものづくりに携わる人々の仕事や、ものが人から人へと受け継がれていくことの意味を紹介する展覧会。2025年11月22日から2026年2月1日まで世田谷美術館で開催された。

会場では、衣服やテキスタイルなどの作品に加え、制作の背景にある職人の技術や工程、作り手と使い手の関係などにも目を向けた。完成した製品だけでなく、そこに至るまでの過程や、長い時間をかけて培われてきたものづくりの姿勢を伝える構成となっていた。

グッドデザイン金賞の受賞では、こうした制作の背景や人々の営みに目を向け、ものづくりを未来へとつなぐ展覧会としての取り組みが評価の対象となった。

祝賀会では、ミナ ペルホネンの関係者が登壇し、展覧会の制作に込めた思いを語った。

登壇者は、タイトルに使われた「つぐ」という言葉に触れ、展覧会がブランドの活動だけでなく、生産に携わる人々の仕事や関係性を伝えるものであることを説明。また、ブランドのスタッフをはじめ、世田谷美術館、朝日新聞社など、展覧会に関わった人々への感謝を述べた。

コーネリアスがサプライズ出演 「MIND TRAIN」を披露

祝賀会では、シークレットゲストとしてコーネリアスが登場し、「MIND TRAIN」を披露した。

コーネリアスは、小山田圭吾によるソロプロジェクト。NHK Eテレの番組「デザインあ」で音楽を手掛けるなど、音楽とデザインを結びつける活動でも知られている。

司会から紹介を受けてステージに登場したコーネリアスは、受賞者を祝うライブパフォーマンスを行った。

「みんなの選んだグッドデザイン」はNECの顔認証ウォークスルー改札機

会場では、一般投票によって選ばれる「みんなの選んだグッドデザイン」の結果も発表された。

選ばれたのは、日本電気(NEC)の「顔認証ウォークスルー改札機」。10月31日から11月3日まで東京ミッドタウンで開催された「G展・2026年度グッドデザイン賞受賞展」の来場者投票によって決定した。

この改札機は、事前に登録した顔画像と通過時に撮影した顔情報を照合することで、切符やICカードをかざさずに通行できる仕組み。既存の改札機に被せて設置できる構造を採用し、混雑の緩和や移動に制約のある利用者の負担軽減などを目指している。

受賞したNECのコーポレートデザイン統括部、緑川寿子さんは、新しいものを社会に提案することには難しさもあるとしたうえで、一般の来場者から支持を得られたことを喜んだ。また、将来的には首都圏の在来線でも多くの人に利用してもらいたいという思いを語った。

ロングライフデザイン賞には「杉田クリップ」や「明治ミルクチョコレート」

長年にわたって人々に支持され、社会に貢献し続けることが期待されるデザインに贈られる「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」には、9件が選ばれた。

祝賀会では、脳動脈瘤の治療に使われる「杉田クリップ」や、明治の「明治ミルクチョコレート」などの受賞者が登壇した。

杉田クリップを手掛けるミズホの代表取締役社長、根本裕司さんは、発売50周年の節目に受賞したことを喜び、共同開発に携わった名古屋大学の故・杉田先生への思いを述べた。

また、グッドフォーカス賞では、新ビジネスデザイン、技術・伝承デザイン、地域社会デザイン、防災・復興デザインの4分野から選ばれた受賞者が紹介された。

地域社会デザインの受賞者からは、子どもたちの声を取り入れながら15年間にわたって活動を積み重ね、コミュニティを発展させてきた取り組みについて説明があった。

70回目を迎えたグッドデザイン賞 デザインと社会の未来を語る

1957年に創設されたグッドデザイン賞は、2026年度で70回目を迎えた。

祝賀会では、受賞作品の紹介に加え、審査委員らによるトークセッションも行われ、デザインの役割や社会との関係について意見が交わされた。

審査委員からは、デザインを評価するうえで、造形的な美しさだけでなく、社会が求めるものに応えているか、企業や組織が目指す未来の姿を示しているかといった視点も重要であるとの考えが示された。

また、AIの進展によってものづくりやデザインの環境が変化する中で、人の暮らしや社会との関係をどのように考えていくかについても話題が及んだ。

司会はウエンツ瑛士さんと加藤綾子さんが務めた。

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