
第45回ベスト・ファーザー賞授賞式を東京會舘で開催
日本メンズファッション協会が主催する「第45回ベスト・ファーザー イエローリボン賞」の発表・授賞式が2026年6月3日、東京・丸の内の東京會舘で開かれ、佐賀県知事の山口祥義さん、講談師の神田伯山さん、俳優の吉田鋼太郎さん、芸人の澤部佑さん、元バレーボール日本代表の福澤達哉さん、「おさるのジョージ」の登場キャラクター、黄色い帽子のおじさんが受賞した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
ベスト・ファーザー イエローリボン賞は、明るく楽しい家庭づくりをしている父親や、子どもたちの良き理解者、良き教育者、母親と子どもから見た素敵な父親、社会の福祉に貢献し、素敵な父親像をアピールしている人、ユニークな子育てをしている父親など、さまざまな意味で素敵なお父さんと呼べる人に贈られるもの。

今年は、政治・経済部門で山口さん、学術・文化部門で神田さん、芸能部門で吉田さんと澤部さん、スポーツ部門で福澤さん、特別賞で黄色い帽子のおじさんが選ばれた。
また、ベスト・ファーザー賞の受賞者の中から、輝く笑顔の父親に贈られる「スマイルひまわり賞」は澤部さんに決まった。
第45回ベスト・ファーザー イエローリボン賞政治・経済部門山口祥義さん、20年前の育休取得と佐賀県の子育て施策を語る

政治・経済部門で受賞した山口さんは、「もううれしくて、光栄で、この受賞を家族と佐賀県民にささげたい」と喜びを表した。
山口さんは、20年前に3人目の子どもが生まれた際、当時勤めていた鳥取県庁で育児休業を取得した。知事ではなく部長職の立場で、県議会を休んで育休を取ったといい、周囲の抵抗もあったという。
妻の入院もあり、上の2人の子どもを自分が見るワンオペ育児を経験したことについて、「こんなに大変なのかということとか、すごく強烈な印象を残しました」と振り返った。育休を取得した時の3人目の娘が、受賞直前に成人を迎えたことにも触れた。
佐賀県知事としては、「子育てしたい県佐賀」という考えを掲げてきた。山口さんは「みんながお父さん、お母さん、家族が、子育て楽しいなと思える県を作りたいと思った」と述べた。
また、妊娠中から夫婦で子育てについて考える「マイナス1歳からの育活事業」にも触れ、「お腹にいる時から夫婦で分かる、話し合うことって、とても大事」と強調した。
第45回ベスト・ファーザー イエローリボン賞学術・文化部門神田伯山さん、父の年齢を超える節目に受賞

学術・文化部門で受賞した神田さんは、「素直にうれしいですね」と喜びを表し、最初に妻への感謝を述べた。
神田さんは「かみさんに一番に感謝をしたいなと思っています。公私ともに、私をずっと支えてくれていますので。かみさんの支援がなければ、間違いなく、こんな素敵な賞をいただくことはできなかったので、まず妻と喜びたいなと思います」と感謝した。
一方で、「本業の講談とかラジオで一切僕に賞をくれないので、ずっとすねていたんですけれども。ようやくベスト・ファーザーが来て、こんなにうれしいことはないなと」とユーモアを交えた。
講談を始めたきっかけについては、自身の師匠の存在に触れた。神田さんは「私の師匠が、やっぱり本当に私にとってのベスト・ファーザーですね」とし、講談の技量や人格を含め、理想の父親像を身近で学んできたと振り返った。
神田さんは、小学生の子どもの父親であると同時に、4人の弟子を育てる師匠でもある。弟子については「親御さんから預かっておりますので、芸界の上では私も親ということになります」と説明し、「一人一人に愛情を持って、この子たちが幸せになること、そればっかり思っています」と思いをにじませた。
弟子の育て方については、「決して比べないということですよね。比べないということはとても大事なことで、それぞれの個性を生かす。結局、師匠にできることというのは、とどのつまり弟子を褒めることしかできないかなと思っています」と述べた。
さらに、神田さんは自身の父親が42歳で急逝したことにも触れた。受賞時の神田さんも42歳で、翌日が43歳の誕生日だった。
神田さんは「今、自分の父と同じ年齢ですから、子どもが小さい。こういう状態で父は亡くなってしまったんだという、父の無念を、同じ年なので特に感じ入っています」と明かした。
その上で、「こんな素敵なベスト・ファーザー賞をいただいて、明日43歳になれる。父の年齢を一つ超えることができる。こんな幸せなことは本当にないなと、つくづく思っています」と述べた。
第45回ベスト・ファーザー イエローリボン賞芸能部門吉田鋼太郎さん、67歳で向き合う子育てと家族への思い

芸能部門で受賞した吉田さんは、2026年春の紫綬褒章とベスト・ファーザー賞の受賞内定がほぼ同じ時期だったと明かし、「僕でいいんですか、というのが正直な感想でした」と率直な思いを述べた。
現在67歳で、5歳と1歳の娘がいる吉田さんは、家庭での役割について「ほぼ家事と名の付くものは全部やっていますね。好きなんですね」と明かした。
続けて、「今67歳なんですけど、上の娘が5歳なんですよ。下の娘が1歳なんですよ。僕の場合は多分、ベスト・ファーザーじゃなくて、ベスト・グランドファーザーのような気もするんですけども」と語り、会場を和ませた。
下の娘との関係については、生後6、7カ月のころに10日間のワンオペ育児を経験したことを紹介した。上の娘が寝る時に母親を選ぶことが多く、下の娘とは同じことにならないよう、母親から少し離れて一対一の時間を作ったという。
吉田さんは「ちょっとワンオペに挑戦しようと、実際にやりましたね。そしたら、ちょっと言葉は悪いですけど、地獄でしたね。ノイローゼになりそうになりましたね」と振り返った。ただ、その経験を通じて距離が近づき、現在は一緒に寝てくれるようになったという。
父親としては、「できる限りちゃんとコミュニケーションが取れる子どもたちでいてほしいし、自分もだんだん頑なになっていくんだろうけれども、できればそうならずに、ちゃんと人の話に耳を傾けられる人になって、ちょっとずつコミュニケーションを続けていきたい」と思いをにじませた。
第45回ベスト・ファーザー イエローリボン賞芸能部門澤部佑さん、スマイルひまわり賞も受賞

同じく芸能部門で受賞した澤部さんは、登壇直後に「よっしゃ! やりました」と喜びを爆発させた。
澤部さんは、まず妻への感謝を述べた。「うちは子どもが3人おりまして、妻が専業主婦という形を取っています。妻が3人のことを基本見てくれていますので、妻のおかげで、まっすぐ健やかに素敵な子どもたちに育っています。まずそれに感謝ということです」とした。
これまでテレビやラジオで「ベスト・ファーザー賞をくれ、よこせ」と言い続けてきたことも自ら振り返った。澤部さんは、その時期を「何か良くない方に走っていましたね」と表現した。
転機になったのは、相方の岩井勇気さんの言葉だったという。澤部さんは「相方の岩井に、『いや、子どもにベスト・ファーザーと思われていたら別にいいだろう。賞なんてもらわなくても』と言われて、そこでやっぱりパッと人間に戻りましてね。そしたら気づいたら賞をいただけるところまで来たという。家族と相方に感謝だなと」と明かした。
妻への思いについては、結婚後も感覚は変わっていないとした。澤部さんは、小中学生のころに好きな子と話してドキドキした感覚を挙げ、「なんだか家に帰ると好きな人がいるんだ、待っているんだ、みたいな。ドキドキしながら帰れる状態」と表現した。
子どもとの関わりでは、入学式に出席したエピソードも披露した。レギュラー出演する昼の帯番組に相談し、入学式に出席した後、スーツ姿のまま番組に遅れて出演したという。澤部さんは「それがネットニュースで高評価で。テレビ業界って、そういうのがちょっと遅れている業界みたいな感じがあったんですけど、だんだん変わってきているんだな」と受け止めた。
受賞については、家族にはまだ伝えていないと告白。妻から「返してこい」と言われたら怖いと笑わせ、トロフィーを「サブリミナル的に、レゴの横に置いておくとか、ちょっとずつでも伝えたい」と述べた。

澤部さんは、受賞者の中から輝く笑顔のお父さんを発表、贈賞する「スマイルひまわり賞」も受賞した。スマイルひまわり賞の授賞式では、「こんなにうれしい賞はないです」と喜びを示し、「妻と子どものおかげで、笑顔の絶えない家庭になっていますし、私も本当に、どんなにつらい時も、テレビで笑ってきた感じがあります。本当につらい仕事もありました。でも、この賞のおかげで、すべて報われた気がします」と感謝した。
第45回ベスト・ファーザー イエローリボン賞スポーツ部門福澤達哉さん、4人の娘と妻への感謝

スポーツ部門で受賞した福澤さんは、「この歴史のある賞、まさか自分が」と驚きを示しながら、4人の娘がいる中での受賞を「本当に光栄」と受け止めた。
受賞を知ってからは、自分がベスト・ファーザーにふさわしいかを見つめ直したという。福澤さんは「まだまだだなとか、もっと勉強が必要だなとか、子どもたちともっと向き合わないとなということもたくさんありました」と述べ、この賞を「ベスト・ファーザーになれるように背中を押していただいた」と位置づけた。
受賞を娘たちに伝えた際には、「娘にはストレートに『どこが?』って言われました」と苦笑した。
現役時代は遠征などで家を空けることが多く、家族と過ごす時間は年間で合計3カ月ほどだったという。帰宅すると子どもたちが喜ぶ「パパフィーバー」が起きていたが、引退後は在宅時間が増え、父親が家にいることが日常になった。
福澤さんは「家にずっといるものなので、ありがたみがなくなってくるんですね。もう今は目もくれず。ちょっと寂しい」と笑いを交えて振り返った。
海外挑戦を家族に支えられたことにも触れ、ブラジル遠征では長女の描いた絵をプリントしたTシャツを妻が作ってくれたこと、フランス赴任時には4人目の子どもが生まれた年に妻が日本で4人の子どもを見ていたことを紹介。「このベスト・ファーザー賞をいただきましたけれども、やっぱりその支えがあっての受賞なのかなと思っています」と妻への感謝を述べた。
子どもたちに対しては、「自分の道は自分で決める」ことを大切にしてほしいとした。福澤さんは「親が先回りをして道を作るのではなくて、子どもたちが切り開いていく。その道のそばにともにいて、何かあった時に背中を支えるぐらいの形で、最終的には自分で道を開いていける、そういった子どもになってほしい」と父親としての考えを示した。
第45回ベスト・ファーザー イエローリボン賞特別賞は黄色い帽子のおじさん

特別賞には、「おさるのジョージ」の登場キャラクター、黄色い帽子のおじさんが選ばれた。
「おさるのジョージ」は、絵本出版から85周年を迎えた。黄色い帽子のおじさんは、好奇心旺盛なジョージの保護者であり、一番の友達として知られている。
授賞式では、声優の原康義さんから音声メッセージが寄せられた。原さんは「好奇心旺盛なおさるのジョージの保護者であり、一番の友達である黄色い帽子のおじさんですが、彼がジョージの好奇心を見守って育む姿勢は、理想の父親像として子育て世代にも注目されています」とコメントした。
似顔絵・作文コンクールとチャリティーも実施

授賞式では、ベスト・ファーザー賞に先立ち、「お父さんの似顔絵」「お父さんへの作文コンクール」の表彰式も行われた。
似顔絵の部では「ぱぱのぎゅー」の井上怜さん、作文の部では「私の応援団長」の大賀羽和さんが受賞した。会場では、親をなくした子どもたちへのチャリティー贈呈式も行われた。







