TANAKAが「FASHION PRIZE OF TOKYO 2027」受賞 タナカ サヨリとクボシタ アキラがパリへ

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「日本のデニムや日本の産業を背負って、みんなで一緒にその思いをパリに届けたい」と話すクボシタ アキラさん。「FASHION PRIZE OF TOKYO 2027(ファッション プライズ オブ トウキョウ2027)」の第9回受賞デザイナー発表会が、楽天ファッション・ウィーク東京2027年春夏(Rakuten Fashion Week TOKYO 2027 S/S)最終日の2026年9月5日、東京・渋谷の渋谷ヒカリエ・ヒカリエホールBで行われ、タナカ(TANAKA)のタナカ サヨリ(Sayori Tanaka)さんとクボシタ アキラ(Akira Kuboshita)さんが選ばれた。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

タナカは2027年1月と6月、パリ・メンズ・ファッション・ウィーク期間中にショーを行う。また、同年3月の楽天ファッション・ウィーク東京2027年秋冬(Rakuten Fashion Week TOKYO 2027 A/W)で凱旋イベントを実施する予定だ。

Shing02がスペシャルパフォーマンス

発表会では、ホノルルを拠点に活動するMC兼プロデューサーのShing02さんがスペシャルパフォーマンスを披露。その後、16人のモデルによるランウェイショーも行われた。

審査員は、ロンハーマン ウィメンズクリエイティブディレクターの根岸由香里さん、クリエイティブディレクターの長尾悦美さん、ファッションキュレーターの小木“Poggy”基史さん、ファッションディレクターの高島涼さんが務めた。

審査では、今後、東京を代表するインターナショナルブランドになる可能性、デザインやアイテム数、価格帯の面で知名度を高められる可能性、海外出展への意欲と支援を実施できる体制などを基準とした。

クボシタさんは、「TOKYO FASHION AWARD 2023」の受賞を機に、自分たちが目指すステージが上がったと説明。「もっともっと世界の人に、自分たちのクリエーションやものづくりを届けたいという思いが、日に日に強くなってきました」と振り返った。

続けて「1年前にチームのみんなに『来年は絶対にみんなでパリに行くぞ』と言い、この1年間やってきました。このタイミングで、このような賞をいただけたのは本当に良かったと思っています」と受賞を喜んだ。

タナカさんは「ブランドを始めて10年になります。その節目に、このような名誉をいただけたことをチーム一同、大変うれしく思っています」とあいさつ。

「私たちは日本のものづくりやデニムの美しさ、可能性を信じて、今まで服を作ってきました。この賞を一つのきっかけとして、さらにそれを発信していく。タナカに関わってくれるみんなの夢と可能性を全部引き連れて、さらに飛躍したいと思います」と語った。

「一発屋にはなりたくない」継続性のあるビジネスへ

発表会後の囲み取材で、クボシタさんはパリでの発表と今後の海外展開について「行って『ただやりました』ということで自己満足していてもしょうがない。継続性があって、ちゃんと皆さんに見てもらわなければしょうがない。そういうことを続けていくには、クリエーションだけでなく、会社の体力も必要になってくると思います」と話した。

さらに「単純にデザインや洋服だけを作っていればいいというより、継続性のあるビジネスを構築できるのかということを意識して、少しずつ準備しています。すごく遠い道のりで、行きたくても、そんなにすぐには行けない。一発屋にはなりたくない」と述べた。

タナカは現在も1月と6月にパリでショールームを開いている。今回の支援では、2027年1月と6月のパリ・メンズ・ファッション・ウィーク期間中にショーを行う予定で、将来的には公式スケジュール入りを目指す。

クボシタさんは「最初から公式スケジュールに入るのは、すごくハードルが高いと分かった上で、目指したいと思っています。ゆくゆくは、ですね」と話した。

米国に続きヨーロッパとアジアでの拡大を目指す

タナカは2017年、ニューヨークを拠点に始動した。タナカさんによると、当初はパリやミラノなどヨーロッパでも販売し、コロナ禍以降は日本での展開に力を入れてきたという。

タナカさんは「もっと世界の皆さんにタナカというブランドを知っていただき、着ていただくには、発表の場を変えていく必要がある。今、自分たちはそういう段階にあると思っています」と説明。

「パリという都市が、皆さんが集まる場所であることは変わらない。次のタナカの段階として、そこで皆さんに見ていただく機会をより多く作り、それを継続していきたい」と話した。

現在の海外展開について、クボシタさんは、米国ではパートナーと販売に取り組み、取引が増えている段階だと説明。ヨーロッパとアジアについては「まだまだポテンシャルしかない、伸びしろしかないというぐらいの展開」とし、ヨーロッパのバイヤーや顧客、パリを訪れるアジアの関係者にもブランドを見てもらいたいとした。

日本のデニムを主軸とするデザイナーズブランドへ

タナカさんは、日本のデニムが評価されてきた背景について、ヴィンテージのワークウェアを本物のように再現する技術に長けていたことを挙げた。その上で、過去の優れたものを再現するだけではなく、新しい価値を作りたいとの考えを示した。

クボシタさんは「古着をまねするのではなく、『デニムって、こんな使い方があったんだ』と気づいてもらえるようなクリエーションやデザインをしていきたい」と話した。

さらに「世界にはアクネやディーゼルのような、デニムを主軸とするデザイナーズブランドがある一方、日本にはそういう存在がない。タナカは、日本のデニムを主軸とした、日本を代表するデザイナーズブランドというポジションを確立する。それを数年前から社内で掛け声のように言っていて、今は模索している最中です」と明かした。

一方、タナカさんは、ブランドがデニムだけに限定されるものではないと補足。「デニムという素材やアイテムだけにとらわれず、デニムの枠を超えて、そのデニムをよりすてきに見せられるような世界観やブランド作りが、これからのタナカの課題でもあります」と語った。

高島涼さんが日本のものづくりとデニムを評価

審査員を代表してコメントした高島さんは、タナカが日本のものづくりやクラフトマンシップを大切にしながら、独自の感性とクリエーションでブランドを表現している点を評価した。

また、日頃から使われている身近な素材であるデニムを、独自のクリエーションによってエレガントに表現している点に可能性を感じたと説明。「今回の受賞をきっかけに、日本のものづくりの新しい価値を世界に発信し、世界でも新しいポジションを築いていただけたらと思っています」と話した。

タナカ サヨリさんとクボシタ アキラさんの経歴

タナカは2017年、ニューヨークを拠点に始動したユニセックスブランド。「これまでの100年とこれからの100年を紡ぐ衣服。時代や性別を超えて永く愛される衣服。」を理念に掲げる。

ニューヨークのボーダーレスな感性と、日本の職人技術に基づくデニムを軸に、アート、クラフトマンシップ、東西の伝統工芸、テクノロジーなどの領域を横断した服作りに取り組んでいる。

タナカさんは東京モード学園卒業後、ヨウジヤマモトで企画、ニット・カットソーデザイナーを経験。その後、ファーストリテイリングのユニクロ(UNIQLO)で、ウィメンズのグローバルデザインチームを率いた。2013年に渡米し、2017年にタナカを設立した。

クボシタさんは文化服装学院卒業後、ファーストリテイリングに入社。ユニクロの「UT」、アクティブウェア、ニットウェアを中心とするメンズのグローバルデザインチームを率いた。2020年からタナカのクリエイティブパートナーとして本格的に参画している。

タナカは「TOKYO FASHION AWARD 2023」の受賞や、バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)による「Radar Designer」への選出などの実績を持つ。2025年には新ライン「Art of TANAKA」を始動。2026年8月には「TANAKA AOYAMA」を移転、リニューアルし、「TANAKA ATELIER STORE」をオープンした。

「FASHION PRIZE OF TOKYO」とは

「FASHION PRIZE OF TOKYO」は、すでに国内外で知名度のある東京のファッションデザイナー1組を選定、表彰し、パリでのファッションショー形式のコレクション発表を支援するもの。

受賞者には秋冬、春夏シーズンの計2回、パリ・ファッション・ウィーク中のショーイベントとショールームイベントを実施する機会が与えられる。「TOKYO FASHION AWARD」より一歩進んだ支援企画として、インターナショナルブランドへの成長を後押しする。

「FASHION PRIZE OF TOKYO」歴代受賞者

第1回はマメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)の黒河内真衣子さん、第2回はオーラリー(AURALEE)の岩井良太さん、第3回はターク(TAAKK)の森川拓野さん、第4回はシーエフシーエル(CFCL)の高橋悠介さんが受賞した。

第5回はトモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)の小泉智貴さん、第6回はエムエーエスユー(MASU)の後藤愼平さん、第7回はシュタイン(ssstein)の浅川喜一朗さん、第8回はヨーク(YOKE)の寺田典夫さんが選ばれた。

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