ファッション甲子園2026、愛知県立名古屋西高校が優勝 「DIGITAL CHAIN MAIL」がキラリ賞も

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第25回全国高等学校ファッションデザイン選手権大会「ファッション甲子園2026」の最終審査会が2026年8月23日、青森県弘前市の弘前市民会館大ホールで行われ、愛知県立名古屋西高等学校の「DIGITAL CHAIN MAIL」が優勝した。同作品は、出場チームの引率教員による投票で決まるキラリ賞も受賞した。

今大会には30都道府県73校から1072チーム、1715点の応募があり、19都道府県25校の32作品が最終審査に進出。高校生が自らデザイン、制作した衣装を着用し、ファッションショー形式で審査に臨んだ。

愛知県立名古屋西高校「DIGITAL CHAIN MAIL」が優勝

優勝した「DIGITAL CHAIN MAIL」は、未来における光の役割に着目し、デジタルな光の強さや多面性を鎖帷子(くさりかたびら)、すなわちチェーンメールになぞらえて表現した作品だ。

銀の布と接着芯を合わせ、図案に切り込みを入れてアイロンで折り上げながら形を作った。直線で構成した図案を計算、設計することで、曲線的なフォルムに仕上げている。

表彰後、優勝チームの一人は「信じられないですね」と心境を明かし、顧問や部活動の仲間らに支えられたことに触れ、「優勝できてよかったなって思います」と喜んだ。

もう一人は、完成した衣装からは見えにくい制作の苦労に触れ、「布一枚作るだけですごいたくさん時間がかかって」と振り返った。先生や後輩、学校の仲間が制作を手伝ったといい、「本当にみんなに感謝したいです」と述べた。

準優勝は上越高校、第3位は江東服飾高等専修学校

準優勝には、新潟県・上越高等学校の「Field on Body」が選ばれた。

日本有数の米どころである新潟に着目し、米の副産物である藁を衣服として表現した作品。地元への思いと藁の新たな可能性を込め、編み方や造形にも工夫を凝らした。

第3位は、東京都・江東服飾高等専修学校の「解放」。周囲に合わせるあまり押し込められた「本来の自分」を出発点に、「本当のあるべき姿とは何か」を問いかけた。

内と外の感情の乖離や、そこからあふれ出る思いを形にし、自己の解放と未来への祈りを込めた。発泡バインダーによるシルクスクリーン捺染を用い、布が生み出す動きも追求した。

海外ファッションブランド協会賞は弘前実業「蒼麗」 三木均氏が「伝統と革新」を評価

特別賞「海外ファッションブランド協会賞」は、青森県立弘前実業高等学校の「蒼麗」が受賞した。

「蒼麗」は、日本を象徴する色である藍に着目した作品。使うほど深みを増す藍の魅力を生かしながら、姿を消しつつある藍染めの文化を未来につなぎ、多くの人にその魅力を伝えたいという思いを込めた。

海外ファッションブランド協会会長の三木均氏は、日本独自の伝統技法である藍染めを使いながら、モダンなデザインでその良さを生かした洋服に仕上げた点を評価した。

三木氏は、作品のコンセプトについて、海外のファッションブランドやラグジュアリーブランドの考え方と「とても親和性がある」と説明。「伝統と革新」と「クラフトマンシップ」、伝統技法をいかに継承していくかという考え方に「我々もとても共鳴しました」と選考理由を述べた。

ELLEgirl賞は知徳高校「Be Reborn」

特別賞「ELLEgirl賞」は、静岡県・学校法人三島学園知徳高等学校の「Be Reborn」が受賞した。

プラスチックごみによる環境破壊をテーマに、公共施設などから集めたペットボトルキャップや海岸に落ちていたごみを熱加工し、一枚ずつスーツに縫い付けた。鱗のように重ねることで独自の光沢と立体感を生み出している。

選考した岸沙也華氏は、海洋ごみをアップサイクルし、カラフルで楽しいデザインに仕上げた点を評価。パンツスーツから自立した女性像を感じたことや、チェーンウォレット、バッグ、カチューシャなど小物まで考えられている点にも触れた。

原由美子賞、天津憂賞、青木規子賞、木村絵理子賞も決定

審査員特別賞「原由美子賞」は、富山第一高等学校の「きときと」が受賞した。

「きときと」は富山弁で「新鮮で、生き生きとした」という意味。立山連峰や春の四重奏など、富山の自然や文化を一着に盛り込んだ。原由美子氏は、作品のかわいらしさに加え、素材や全体のバランスを評価し、「あまりにもコスチュームっぽいっていうんじゃなくて、すごく素直なワンピースに見えたのも良かった」と講評した。

審査員特別賞「天津憂賞」は、愛媛県立松山工業高等学校の「サンゴの憂鬱」。瀬戸内海の美しい海と海洋汚染を題材に、捨てられた網「ゴーストギア」や海藻、クラゲ、真珠、サンゴなどを組み合わせた。

天津氏は、一着の中にさまざまな技法が盛り込まれている点や、高校生らしいフレッシュなコーディネートとバランスに着目。今後どのように表現が進化していくのか楽しみだと期待を寄せた。

審査員特別賞「青木規子賞」は、バンタンデザイン研究所高等部東京校の「Scramble」が受賞した。

国際都市化が進む渋谷を題材に、異なる文化が交差する美しさを、色とりどりに染めた糸と世界の文字を重ねて表現した。

青木氏は、軽やかさや布の重なり、淡い色のグラデーションが都会的で目を引いたと評価。さまざまな国の言葉を取り入れた表現から、スクランブル交差点を多様な人々が行き交う光景を思い浮かべたとし、作品の物語性にも触れた。

ゲスト審査員特別賞「木村絵理子賞」は、栃木県立宇都宮白楊高等学校の「欲求」が受賞した。

現代社会における過剰な美への欲求を題材に、シルエットやスラッシュキルトで体が張り裂けそうな姿を表現。シルバーを用い、美の価値観を見つめ直す思いを込めた。

木村氏は、足を拘束し、片足だけ靴を履かない演出などから、体の内側からあふれ出るようなエネルギーを感じたと説明。抽象的な感情を形にした点や、社会の規範や当たり前から逸脱しようとする強さを評価した。

原由美子氏、受賞作の「加えるものと削ぐもののバランス」を評価

大会全体について原氏は、25回目を迎えた今大会の作品から時代の変化を感じたと総評した。

これまでにも、環境問題への関心が高まった時期には再生素材やレシート、新聞などを使った作品が多く見られたと振り返り、今回は社会や身の回りの出来事を意識しながら、自らの感性や考えを取り込んだ作品が印象に残ったとした。

一方、高校生らしい夢や「好き」という気持ちを素直に表現した、個性的な作品も多かったという。

原氏は、ファッションではさまざまな要素を加えるだけでなく、何を削ぎ落とし、着る人を最も美しく見せるかというバランスも重要だと指摘。受賞作品には「加えるものと削ぐもの」のバランスが良く、一つの作品として完成度を高めているものが多かったと評価した。

その上で、自分自身の好きなことを大切にしながら、社会で何が起きているのか、これからどのような時代を生きていくのかにも目を向け、自分らしいファッション表現を追求してほしいと高校生に呼びかけた。

王林、ファッション甲子園の魅力を語る

審査終了後から表彰式までの間には「ファッション甲子園2026 SPECIAL STAGE」が行われ、大会アンバサダーを2年務めた王林さんと、前年優勝チームの弘前実業高卒・樋川詞美さん、ジョセフサラ瑞希さんが登壇した。

王林さんは、高校生たちが「自分らしく、この一瞬に全ての気持ちをかけた作品」を見せる姿に触れることで、自身も「自分の気持ちに素直に頑張りたい」と思わせてもらえることが、ファッション甲子園の魅力だとした。

また、藍染めやこぎん刺しなどを例に挙げ、各地域の伝統工芸や名産、その土地で育ったからこそ生まれる発想が作品に表れている点にも魅力を感じていると述べた。

樋川さんとジョセフさんは、前年の優勝作「こだま」の制作過程や卒業後の活動を紹介。現在も2人で衣装制作に取り組んでいる。

入賞作品を日本橋三越本店で展示

今大会の入賞作品は、2026年9月16日から22日まで、日本橋三越本店本館1階中央ホールで展示される。

入賞作品とデザイン画に加え、ファッション甲子園OGで衣装デザイナーの成田あやの氏の作品も展示する。開催時間は午前10時から午後7時30分まで。入場無料。

ファッション甲子園2026 受賞結果一覧

  • 優勝・キラリ賞:愛知県立名古屋西高等学校「DIGITAL CHAIN MAIL」
  • 準優勝:上越高等学校「Field on Body」
  • 第3位:江東服飾高等専修学校「解放」
  • 特別賞「海外ファッションブランド協会賞」:青森県立弘前実業高等学校「蒼麗」
  • 特別賞「ELLEgirl賞」:学校法人三島学園知徳高等学校「Be Reborn」
  • 審査員特別賞「原由美子賞」:富山第一高等学校「きときと」
  • 審査員特別賞「天津憂賞」:愛媛県立松山工業高等学校「サンゴの憂鬱」
  • 審査員特別賞「青木規子賞」:バンタンデザイン研究所高等部東京校「Scramble」
  • ゲスト審査員特別賞「木村絵理子賞」:栃木県立宇都宮白楊高等学校「欲求」

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