「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」開催。イヴ・サンローラン社長兼CEOのフランチェスカ・ベレッティーニさんと蔡國強さんがプレスカンファレンスに登場

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国立新美術館とサンローランは6月29日から8月21日まで、東京・六本木の国立新美術館企画展示室1Eで、現代美術家、蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい・こっきょう)の大規模個展「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」を開催している。開催に先駆けて6月28日にはプレス内覧会とプレスカンファレンスが行われ、イヴ・サンローラン社長兼CEOのフランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini)さんと蔡國強さん、展覧会を企画した国立新美術館の逢坂恵理子館長が出席した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

国際的に大きな注目を集めてきた蔡國強さん。今回の「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」は、初期の代表作である<原初火球>を彼の芸術における「ビッグバン」の原点と捉え、この爆発を引き起こしたものは何であり、その後今日まで何が起こったかを探求するもの。国立新美術館とサンローランの共催で開催された今回。蔡國強さん自身の展示構成によって、国内の国公立美術館の所蔵作品と、日本初公開のガラスや鏡に焼き付けた新作を含む54件の作品を紹介している。

展示室全体がひとつのインスタレーションのようになっていて、展示を通じて、蔡國強さんの深遠かつ軽やかな思考と実践の旅路を追体験できるようになっている。

国立新美術館の柱も壁もない2000平方メートルの広場のような空間を使い、従来とは異なるインスタレーションにチャレンジした今回。歴史的なインスタレーション〈原初火球〉が再現され、その中には、ガラスと鏡を使った新作の火薬絵画3作品も含まれるなど、火薬ドローイングと火薬が、映像や資料とともに、LEDを使った大規模なキネティック・ライト・インスタレーション《未知との遭遇》を設置。観客は作品の中を自由に歩きながら体感することができる。

フランチェスカ・ベレッティーニさんは「蔡さんの作品は何十年もに渡る彼の好奇心や想像力、粘り強さから生まれたものであり、それはサンローランのDNAとも共通している。我が社の創設者であるイヴサンローランはファッションと芸術、現代美術の関係性を革命的に変えた人。今回の展覧会は我が社の使命を表すものです。たくさんの人に楽しんでほしい」とあいさつ。

蔡さんは「2020年、コロナの間に海外で活動ができなかったので、ニュージャージーのアトリエで日本にいたころのスケッチブックを見ていました。今回はそのスケッチブックも展示していますが、当時は四畳半のアパートに住んでいて、深夜に近所の人たちが寝た後に台所で火薬ドローイングをしていました。アパートは狭く、貧しかったのですが、宇宙と時間、空間を考え、自分は宇宙に近いと感じていました」と振り返り、「私は常に自分はそのときの考えと精神を持っているのかと考えています。東京で再び展覧会をするのは、もう1回、最初から出発するためです。コロナは超えましたが、社会は大きく変化し、経済も低迷し、戦争もひどくなっています。AIの発展が生活にも影響を与えています。この展覧会を通じて宇宙や目に見えない世界と対話してほしい。宇宙や地球の起源から見れば小さいこと。この展覧会を楽しんで、何かを得られることを願っています」と話した。

展覧会を企画した国立新美術館の逢坂恵理子館長は「宇宙への憧れと未知への好奇心を持ち続ける蔡國強さんの過去、現在、未来が示される展示はそれぞれの作品が緩やかに干渉しています。見えないものと見えるもの、混とんと秩序、誕生と消滅など、宇宙に象徴される猟奇的な視点は混迷した現代に生きる私たちに何かしらの気づきを与えてくれるでしょう」と語った。

また、質疑応答でファッションと芸術、ラグジュアリーブランドとアートの関係について聞かれると、蔡さんは「フランチェスカさんから、感動したので支援し、コラボレーションしたい、という電話があり、何か一緒にやりましょうと言われました。私は2024年のパリオリンピックのときに何かやりましょうと答えましたが、2023年にも何かやりたいと言われ、それなら、国立新美術館と東京オリンピックのときに計画していたプロジェクトがコロナで中止になったので、それを再開しましょうかと言いました。フランチェスカさんはサンローランは日本の文化を尊敬し、影響を受けていたので是非支援したいと言ってくれました」と今回の展覧会開催までの経緯を披露。

フランチェスカさんは「蔡さんの芸術に心を奪われたので支援したいと思いました。2024年のコラボレーションで何をするのかは、まだ決めていませんが、2023年にやる方がいいし日本で開催することがパーフェクトだと思いました。次に問題になるのがどのような芸術形態になるのかということですが、蔡さんの芸術様式でいいと考えました。見てわかるように彼の作品には我々の商品の影響はありません。アンソニー・ヴァカレロはアーティストが完全に自由にできるようにコラボレーションしています。今回のコラボレーションが継続していくことを願っています」と強調した。

「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」開催概要

会期:2023年6月29日~2023年8月21日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)

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