井ノ原快彦、キネコダンス作曲は「無茶ぶり」 藤井直樹が初アフレコ、本上まなみは「ジョーズ」の思い出を披露 「第33回キネコ国際映画祭」閉幕

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子ども国際映画祭「第33回キネコ国際映画祭」のクロージングセレモニーが2026年11月3日、二子玉川ライズ スタジオ&ホールで開催された。スペシャル・サポーターの井ノ原快彦さんと、特別ゲストの本上まなみさん、藤井直樹さんが登壇し、映画の上映に合わせてその場で日本語の声を当てる「ライブシネマ」に挑戦した。藤井さんは今回が初めてのアフレコ。終了後の囲み取材では、井ノ原さんが「キネコダンス」の新曲を舞台の稽古場で作曲したエピソードを披露。本上さんは、子どもの頃に初めて見た映画「ジョーズ」が怖くなり、わずか2、3分で映画館を出た思い出を明かした。セレモニーでは各部門の受賞作品も発表された。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

井ノ原快彦、本上まなみ、藤井直樹がライブシネマに挑戦

1992年に始まったキネコ国際映画祭は、子どもたちが審査員として参加する国際映画祭。外国語の作品を日本語で楽しめるよう、上映中の映像に合わせて出演者が生で吹き替える「ライブシネマ」を特徴としている。

クロージングセレモニーで各部門の受賞作品が発表された後、井ノ原さんが「さて、この後はいよいよ僕たちの出番でございます。本上さん、藤井くん、どうぞこちらへ」と呼びかけ、本上さんと藤井さんがステージに登場した。

「ついに吹き替えの時間がやってまいりました」と井ノ原さん。本上さんに意気込みを尋ねると、「初めてなんですよ。お客様の前で」と答えた。

井ノ原さんは、通常のアフレコでは間違えても録り直すことができるが、観客の前で行うライブシネマではやり直しができないと説明した。長年「すみっコぐらし」でナレーションを担当してきた2人だが、一緒にアフレコをするのは今回が初めてだという。

藤井さんが「そもそもアフレコ自体が初めてなので」と明かすと、井ノ原さんは「そんないい声してるのに」と驚いた。

ライブシネマでは、井ノ原さんと本上さんが「すみっコぐらし」の生吹き替えを披露。さらに藤井さんを交えた3人らが、スウェーデンの作品「スパイラル」に挑戦した。

藤井直樹、初アフレコに緊張 井ノ原快彦の「とにかく楽しもう」で本番へ

終了後の囲み取材で、井ノ原さんは「すみっコぐらしができたっていうのがすごく嬉しかったです。一瞬で終わっちゃうんですけど、心を込めてできました」と振り返った。

「スパイラル」についても、父親、母親、息子という役柄で共演できたことに触れ、「このメンバーでできたっていうのが何より楽しかったですね」と喜んだ。

本上さんは、普段のアフレコは小さなブースでヘッドホンを着け、自分の声を聞きながら一人で収録することが多いと説明。「このように広い空間で皆さんに見守られながら声を出すって、本当にスペシャルな体験だったなっていうふうに改めて思いましたね」と語った。

「すみっコぐらし」は別々に収録することがほとんどだといい、「こうして一緒に顔を見合わせながら心を揃えてできるって、本当に私にとってはもう一生の思い出」と喜んだ。

井ノ原さんは、ライブシネマでの思わぬ出来事も披露。「台本と映像がちょっと噛み合わない部分があったんですよ。しょうがないから最後、目を見合わせてアイコンタクトでいようかっていうところがあったりして、嬉しいアクシデントでしたね。見つめ合えたので嬉しかったです」と笑いを交えて振り返った。

初めてアフレコに挑戦した藤井さんは「もうすごいずっとドキドキしてたし、始まる直前まで井ノ原さんにどうしましょうって言ってたんですけど」と告白。

井ノ原さんが「ちょっとうまいこと言えなかった。俺は。アドバイスとかできなくて」と応じると、藤井さんは「とにかくでも楽しもうって言ってくださったんで、確かにもう始まったら考えてる余裕もないし、楽しもうと思ってやらせていただきましたね」と話した。

父親や母親の役を演じる2人との掛け合いが安心感につながったことや、プロの声優と共演できたことにも触れ、初挑戦を楽しめたと振り返った。

井ノ原快彦、キネコダンスの新曲を舞台の稽古場で「小声で作った」

今回の映画祭では、恒例の「キネコダンス」の新曲を井ノ原さんが作曲した。振り付けは槙田紗子さんが担当。子どもたちが映画を見る前に体を動かし、暗い会場への緊張をほぐせるようにするための取り組みだ。

作曲のきっかけについて、井ノ原さんは「突然ですよ。無茶ぶりなんですよ、いつも」と笑った。

映画祭には多くのボランティアが参加し、スタッフも子どもたちのために何ができるかを考え続けているという。その中で、映画を見る前にダンスで体を動かし、暗闇への緊張をほぐせるような新しい曲を作れないかと依頼された。

作曲した場所は、当時出演していた舞台の稽古場だった。「その稽古場で作って、みんながいる中でも小声で作ったんですよ」と話すと、藤井さんも「さすがです」と反応した。

完成したダンスは、子どもたちだけでなく海外から参加したゲストも踊っていたという。

「オープニングもすごかったんですよ。映像見たらおじさんがみんな踊ってくれて、これは嬉しいなということで、子供たちも口ずさめるような曲が出来て良かったなと思います」と喜んだ。

楽曲制作では、体を動かすことで緊張がほぐれ、集中力が高まることも意識したという。会場を出た後も子どもたちが歌いながら帰るような曲にしたいと、振り付け担当の槙田さんと話し合ったことを明かした。

「紆余曲折ありながらなんとか間に合って出来た」と、完成までの苦労を振り返った。

本上まなみ、初めて見た映画「ジョーズ」が怖すぎて2、3分で退場

囲み取材では、子どもの頃の映画体験についても話題になった。

2人の子どもを持つ本上さんは、それぞれの子どもを初めて映画館に連れて行った日のことを強く覚えているという。

本上さん自身が初めて見た映画は、父親に連れられて行った「ジョーズ」だったという。「怖すぎて音楽聞いてもう多分2、3分で出てきたっていう話を、エピソードとして家庭内で何遍も語られてるんですけれども」と振り返った。

子どもが暗い映画館で大きなスクリーンを見ることは、とても緊張する体験だと説明。キネコ国際映画祭のように、みんなで応援したり、ダンスで体をほぐしたりしながら映画を楽しむことは、子どもにも保護者にも長く記憶に残る経験になるのではないかと語った。

一方、藤井さんは、子どもの頃から映画に触れてきたことが現在の自分にも影響していると話した。

「今もすごく、ちょっと自分で言うのもあれなんですけど、感情にもろいと言いますか、すぐ感動するのとか泣いちゃったりもするんですけど」と明かし、幼い頃にさまざまな映画を見てきた経験が、感情を表現することにつながっているのではないかと語った。

「小さい頃に見た映画からもらったエネルギーって今もまだあるなと思うので、すごいありがたいなと思っています」と振り返った。

本上さんは、初めて参加したキネコ国際映画祭についても「本当に温かい雰囲気で迎えてくださって、初めてなのに、もう本当に私もほっこり。居心地がいい映画祭だなというふうに思いました」とコメント。

子どもたちがこれから生きていく社会への思いにも触れ、より良い社会を目指す視点で作られた映画を共有しながら、明るい未来に向かっていけたらと語った。

井ノ原快彦「僕はキネコで育ったんだなと思う子どもたちが」

映画祭の今後について、井ノ原さんは「僕はキネコで育ったんだなっていうような子供たちがどんどん大人になって、また次の世代につながっていくんじゃないかなと思います」と期待を寄せた。

国際映画祭には映画の上映だけでなく、さまざまな催しや店、遊びを楽しめる場所があり、会期中は多くの子どもたちが集まるという。幼い頃に映画祭を楽しんだ子どもたちが成長し、次の世代へとつながっていくことを願った。

「また34回目も参加できたらいいなと思っております」と来年への意欲も見せた。

「ルックバック」「90メートル」など8作品が受賞 世界から700作品以上が応募

2026年のキネコ国際映画祭は10月30日から11月3日まで開催され、世界から応募された700作品以上の中から、コンペティション45作品と特別上映14作品の計59作品が上映された。

受賞作品は、9~12歳の「キネコ審査員」、13~18歳の「ティーンズ審査員」のほか、国際映画祭関係者らによる審査で選ばれた。新設の「マインドシンボル賞」は一般来場者の投票によって決定した。

9~12歳の子どもたちが審査するキネコグランプリ チルドレン部門では、短編作品にスウェーデンの「サマー・フィルム」(リナ・ヨハンソン監督)、長編作品に同じくスウェーデンの「秘密捜査員ホーカン」(テッド・シェルソン監督)が選ばれた。

「サマー・フィルム」は、異なる言葉を話す近所の友達と遊べない少女が、自ら映画制作に挑戦する物語。「秘密捜査員ホーカン」は、親友に恋人ができたことで関係が変わってしまった少年が、親友を取り戻そうと作戦を考える物語だ。

13~18歳のティーンズ審査員が選ぶキネコグランプリ ティーンズ部門では、短編作品に河合琉嘉監督の「子羊どもよ」、長編作品に押山清高監督のアニメーション映画「ルックバック」が選ばれた。

「子羊どもよ」は、一緒に弁当を食べていた同級生から見放された主人公が、周囲の視線から逃れられる場所を探し始める作品。「ルックバック」は、漫画を描くことに情熱を注ぐ2人の少女の出会いを描く。

国際映画祭関係者らが審査するキネコグランプリ 日本作品部門では、短編作品に岩本崇穂監督の「味。」、長編作品に中川駿監督の「90メートル」が選ばれた。

「味。」は、孤独を抱える中学生が、学校で行われる朝の食事会を通じて人と食事をする温かさに触れ、少しずつ心を開いていく物語。「90メートル」は、難病を患う母親の介護と自分の将来との間で揺れる高校生の息子と、息子の未来を願う母親の姿を描いている。

キネコグランプリ ドキュメンタリー部門では、ノルウェーの「クリスマス・ミステリー」(シリエ・エベンスモ・ヤコブセン監督)が受賞。毎年クリスマスに届く不思議な贈り物の謎を、子どもたちが追いかける作品だ。

今回新設されたマインドシンボル賞には、レザ・メマリ監督のアニメーション映画「うたえ!さいごのクジラ」が選ばれた。歌で海の命を守ってきたクジラたちを題材に、両親を失った若いクジラのヴィンセントが主人公となる物語。同賞は、玉川髙島屋S.C.のホワイトモールで上映された24作品を対象に、観客の投票によって決定した。

今年は新たな取り組みとして、オーケストラの生演奏とライブシネマを組み合わせた上映も行われた。

日本作品部門の受賞作は、海外映画祭への招待上映も決まった。長編部門の「90メートル」はドイツの「シュリンゲル国際子ども・青少年映画祭」、短編部門の「味。」はスウェーデンの「BUFF マルメ映画祭」で上映される。

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