第19回 ボキューズ・ドール国際料理コンクール(Bocuse d’Or)フランス本選が1月22日と1月23日の2日間、フランス・リヨンのユーレクスポ、シラ国際外食産業見本市内特設会場で行われ、日本代表の石井友之シェフ(株式会社ひらまつ アルジェント スーシェフ)は12位に選ばれた。2月15日には、東京・代官山のメゾン ポール・ボキューズで報告会が開催された。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
ボキューズ・ドールは1987年に、現代フランス料理の父と称されるポール・ボキューズによって創設された世界最高峰の料理コンクール。「料理界のオリンピック」「美食のワールドカップ」とも呼ばれている。
スコットランド産のアンコウにホタテ貝を組み合わせたプラッターと、「子供たちのための食事」をテーマに、鶏卵を使用した、カボチャをベースにしたコース料理を課題とした今回。本選には24か国が進出。デンマーク代表のブリアン・マーク・ハンセンシェフが優勝した。ノルウェーが2位、ハンガリーが3位となった。
日本代表の石井シェフは12位となったが、「子供たちのための食事」を試食した5人子供審査員が1番おいしかった料理を選ぶ「子供審査員からの特別賞」に選ばれた。
報告会で石井友之シェフは「結果は自分の求めるものではなかったのですが、あの場に立って、世界を経験できたことは自分の財産であり、この経験を生かして世界に羽ばたけるシェフになりたい。そして、皆さんに御恩をしっかりと返していきたいと思っています」とあいさつ。
また、日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長兼チームジャパンコーチの浜田統之シェフ(星のや東京)は「優勝したデンマークなど上位国はディテールまで考えられていた。学ぶべきものが多かったと思う。次は上位に行けるように頑張っていきたい」とコメント。本選のキッチン審査員として招聘された日本ボキューズ・ドール・アカデミー統括委員長兼チームジャパンテクニカルディレクターである長谷川幸太郎シェフ(KOTARO HASEGAWA DOWNTOWN CUISINE)も「国家戦略として取り組んでいるチームは調理場の寸法も寸分の狂いのないものを作っている」など、上位チームと日本の差を指摘した。
試食審査員として、本選に進出した24か国の料理を試食した米田肇シェフ(HAJIME)は「1位と2位は確実に三ツ星の平均より上。フランス料理のベースがありながら近代的で1つ1つ丁寧な仕事をしていた」と分析。その上で「上位に入るには資産力と戦略、計画が必要。一つでも抜けると勝てない。完璧を目指さないといけない。2年後はどこまで行けるかわからないが、4年後には優勝することもできると思う。そのためには、チームを再編成して、計画をきちんと数値化していかなければ」などとエールを送った。