「第20回ボキューズ・ドール(Bocuse d’Or)国際料理コンクール グランドファイナル2025 日本代表貝沼竜弥シェフ TEAM JAPAN壮行会」が代官山で開催

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「第20回ボキューズ・ドール(Bocuse d’Or)国際料理コンクール グランドファイナル2025 日本代表壮行会」が2024年11月19日、東京都渋谷区代官山のメゾン・ポール・ボキューズで開かれた。日本代表の貝沼竜弥シェフ(ひらまつ〈サンス・エ・サヴール〉写真下右から2人目)とTEAM JAPANのメンバーが出席し、決意を語った。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

ボキューズ・ドールは1987年に、現代 フランス料理の父と称されるポール・ボキューズによって創設された世界最高峰の料理コンクール。世界24か国のシェフによる決勝大会が開催される同コンクールは各国のトップシェフが審査員を務めており、「料理界のオリンピック」「美食のワールドカップ」とも呼ばれている。

貝沼シェフ、アジア大会を制しフランス本選へ

「ボキューズ・ドール アジア・パシフィック大会2024」は、当初中国・深圳で調理を競う形式での開催が予定されていた。しかし、開催地との交渉が難航したため、先に発表されたテーマ食材「仔羊のサドル肉」を使った課題に基づくレシピと組織体制のプレゼンテーションを提出する形で実施された。貝沼竜弥シェフは、自身の料理のテーマを「日本の未来~自然と繋がり~」とし、メインディッシュとガルニチュール2種、ラグー1種の計3種類のサイドディッシュのレシピを提出した。

貝沼シェフは、ボキューズ・ドール選考委員会が2024年9月23日に発表したアジア・パシフィック代表選考会で1位に選ばれ、アジア代表として「ボキューズ・ドール2025」フランス本選への出場が決まった。今回は2位にシンガポール、3位にニュージーランド、4位にベトナム、5位にオーストラリアが入り、この5カ国のシェフが本選に出場する。さらに、ワイルドカード枠として6カ国目の中国の本選出場も決定した。

「ボキューズ・ドール2025 フランス本選」の課題は、鹿肉とセロリをテーマに大皿料理とプレート料理

貝沼シェフは2025年1月26日と1月27日の2日間、フランス・リヨンで開催される「ボキューズ・ドール2025 フランス本選」に向けて、準備を進めている。今回、フランス本選のプラッター(大皿料理)の課題食材は鹿肉。フレート(皿盛り料理)料理はセロリを使用した料理を作る。

プラッターは鹿の精肉とフィレ肉を使ったメイン料理に加え、付け合わせとして自国のフルーツを使用した料理が1つ必要だ。さらに、煮込み料理や、鹿の肩肉とフォアグラを使ったパイ料理も課題に含まれており、フォアグラの断面が見えることがポイントとなっている。また、鹿肉を使ったコンソメには2色のラビオリを入れることが求められている。

フレートはセロリをプレートに盛り付け審査員に提出し、その後メグ(ニベ)やマーベルを加えて再提出する形式に変更された。また、ビーツの付け合わせや金箔の使用が禁止されるなど、料理人の技術や味そのものが重視されるコンクールに進化している。

貝沼竜弥シェフが決意表明

壮行会で、貝沼シェフは「料理を作らずに書類審査のみでアジア大会を突破したため、少し不利な状況かもしれませんが、本選までにしっかりと料理を練り上げ、多くの素晴らしいシェフたちからのアドバイスをいただきながら準備を進めています。現在、私が料理を考えることができているのは、スポンサーの皆さまをはじめ、アカデミーのシェフや事務局の方々、そして所属するヒラマツの皆さんのおかげです。正直なところ、毎日試行錯誤を繰り返し、悩む日々が続いていますが、絶対に勝つという気持ちで挑んでいます。応援をどうぞよろしくお願いいたします」とあいさつ。

コミ(アシスタント・シェフ)を務める藤田美波シェフは「普段はパティシエをしているので、細かな盛り付けや繊細な仕事に力を入れて取り組みたいと思います」と意気込みを語った。

ジェローム・ボキューズ氏、貝沼シェフを激励

また、スペシャルゲストとして登場したボキューズ・ドール創始者ポール・ボキューズの子息であり、ボキューズ・ドール国際料理コンクールのプレジデントを務めるジェローム・ボキューズ氏は、「貝沼シェフは非常に努力を重ねた、才能ある料理人だと伺っています。今回のボキューズ・ドールに貝沼シェフが参加することは、日本の若いシェフたちにとって大きな刺激となるでしょう。貝沼シェフの姿を見た若い人たちが、このコンクールに挑戦し、上位入賞を目指したいと思うのではないでしょうか。貝沼シェフには全力を尽くし、2013年に浜田統之シェフ(星のや東京)が達成したような結果を残していただきたいと思っています」と激励した。

レストラン ポール・ボキューズのジル・レナルトシェフは、「結果を残すことが理想ですが、ボキューズ・ドールに参加すること自体が非常に高い壁を越えるような、貴重な経験となります」と話した。

TEAM JAPANの団結力が鍵「チーム全体で頂点を目指す」と米田肇シェフ

昨年、試食審査員として本選に進出した24か国の料理を試食したTEAM JAPANのテクニカルディレクター、米田肇シェフ(HAJIME)は、「1位や2位の料理は、やはり三つ星クラスです。審査員のほぼ全員が三つ星シェフであり、トップシェフたちが自身の感覚で選ぶため、自然と三つ星レベルになるのです。三つ星の料理は山の頂点のような存在です。頂点を目指すには、ここでなければならないという判断が求められ、そのための道筋を考える必要があります。これまでの大会では料理人が1人で考え抜いて進めていましたが、今回はチーム全体で取り組む方針を採用しました。ルールや題目は変更されましたが、もう一度フランス料理に真剣に向き合い、その頂点を目指すべきだと考え、現在再構築しています。ただ、もう1つ重要なのは貝沼シェフ本人です。戦略については徹底した分析を重ねており、何をすべきか明確になっていますが、それに加えて、人間性や精神力が試されると思っています」としている。

第20回 ボキューズ・ドール国際料理コンクール2025 フランス本選 開催概要

日程: 2025年1月26日、1月27日の2日間
会場: ユーレクスポ(フランス・リヨン)
「シラ外食産業見本市」特設会場

「ボキューズ・ドール(Bocuse d’Or)国際料理コンクール」

「ボキューズ・ドール(Bocuse d’Or)国際料理コンクール」は、1987年に「現代フランス料理の父」と呼ばれるポール・ボキューズが創設した国際的な料理コンクール。以来、約40年間にわたり、世界中のトップシェフに支えられ、料理人にとって最も名誉あるコンクールになっている。

世界67か国の代表選手が、アジア・パシフィック、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカの各大陸大会を経て、フランス・リヨンで開催される「シラ国際外食産業見本市」の特設会場で行われる本選を目指す。フランス本選には24か国の代表選手が出場し、5時間30分の調理時間で芸術的な料理を完成させる。また、出場国を代表するトップシェフ24人が審査員を務め、優勝者は世界的に認められる。表彰台に上ったシェフたちは世界のトップシェフとして注目され、多くが国際的に活躍している。

「美食のワールドカップ」として注目を集めるボキューズ・ドールは、毎回世界中から多くの料理関係者、サポーター、ジャーナリストが訪れる。調理と審査は、2000人の観客が見守るステージ上で行われ、調理の手元は会場内のスクリーンやウェブでの生配信を通じて映し出される。全世界の人々が見守る中、選手たちは5時間30分以内に、プラッター(大皿)テーマとプレートテーマの2種類の課題に基づいた料理を完成させる。

審査では、味や温度、見た目の美しさといった料理そのものや調理技術に加え、調理中の衛生管理、食材の無駄の少なさ、アシスタントシェフとの連携や指導力といったプロフェッショナルとしての資質も評価される。そのため、優勝者は料理の技術だけでなく、総合的な能力を備えたトップシェフとして認められる。

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