700以上のブランドが2027年春夏を発表 テーマは「PITTI POOL」
ピッティ・イマージネは2026年4月22日、東京・北青山のTWOROOMSで、2026年6月16日〜19日にイタリア・フィレンツェのフォルテッツァ・ダ・バッソで開催する「ピッティ・イマージネ・ウオモ110(PITTI IMMAGINE UOMO 110)」の概要を紹介するプレゼンテーションを行った。第110回となる今回は、2027年春夏コレクションを発表し、700以上のブランドが出展する。テーマは「PITTI POOL」で、海外からの出展比率は約47%を見込む。
登壇したのは、ピッティ・イマージネのラッファエッロ・ナポレオーネ会長とPR担当のロベルト・ルタ氏。開催概要やスペシャルイベントに加え、リアルな国際見本市としての役割、日本のバイヤーやプレスへの期待、日本関連企画の位置づけを説明した。
ナポレオーネ会長は、物流、流通、エネルギーコスト、消費行動の変化など、ファッションビジネスを取り巻く環境が複雑化していると説明。その上で、「優れた見本市、優れた商談の場は非常に健闘している。人々は実際に会うことを必要としている」と述べ、リアルな商談の場の重要性を示した。
第110回は6月16日〜19日、フィレンツェで開催
ピッティ・ウオモ110は、イタリア・フィレンツェのフォルテッツァ・ダ・バッソで開催される。メンズファッションの国際見本市として、ブランド、バイヤー、プレス、メーカー、デザイナーが集まり、2027年春夏のメンズウェアを発表する。
第110回は、ピッティ・ウオモにとって55年の節目にあたる。ナポレオーネ会長は、かつてはトレードショーやファッションショーが販売開始のタイミングを作っていたが、現在はより早い段階で商品や仕入れの判断が求められていると指摘した。店頭投入や国際流通のスピードに合わせ、バイヤーやブランドが早く動き始める必要があるためだ。
同会長は、ピッティ・ウオモについて「完成した服を発表するだけの場ではなく、素材、生産、製造、協業の可能性まで含めて、人と人をつなぐ場」と話した。今回のプレゼンテーションでは、コレクション発表だけでなく、素材、製造技術、国際協業、商談を結びつける場としての役割も示された。
テーマは「PITTI POOL」 中央広場で大型インスタレーション
今回のテーマは「PITTI POOL」。2026年夏のピッティ・ウオモのコンセプトテーマとして、クリス・ヴィダル・テノマー(Chris Vidal Tenomaa)とトゥオマス・ライティネン(Tuomas Laitinen)がキュレーションし、衣装をシモーン・ロシャ(Simone Rocha)が手掛ける。
ルタ氏はプレゼンテーションで、プールのイメージをもとにしたキャンペーンビジュアルについて、水面に映る自分自身と向き合う現代的なメンズファッション像を示すものと説明した。抽象的な美意識と、個人的で内面的な視点の間にある緊張感が、今回のメッセージの核になるという。
フォルテッツァ・ダ・バッソの中央広場では、テーマに着想を得た大型インスタレーションを展開する。フィレオ・ランドウスキー(Philéo Landowski)がレバノン出身アーティストのパスカル・ハシェム(Pascal Hachem)と協働し、プールの裏側にある技術的システムやインフラに焦点を当てた空間を構成する。
ルタ氏は、このインスタレーションについて、プールそのものを再現するのではなく、「その裏側にある構造、つまりパイプや設備、支える仕組みのようなものを見せる発想」と説明した。ショーやスペクタクルの表面ではなく、それを支える構造やシステムに目を向けることが企画の狙いとなる。
シモーン・ロシャが自身初のメンズ単独ショー
スペシャルイベントでは、シモーン・ロシャ(Simone Rocha)がゲストデザイナーとして参加する。ロンドンを拠点とするアイルランド出身のデザイナーであるロシャは、フィレンツェで自身初となる独立したメンズウェアのランウエイショーを発表する。
ナポレオーネ会長は、ロシャのショーについて、ピッティ・ウオモのメンズカレンダーの中で初めての「メンズのみ」の独立したショーになると説明した。会場はフォルテッツァ・ダ・バッソではなく、フィレンツェ市内の歴史ある劇場を予定しているという。
ロシャは、アイルランド、香港、アート、家族といったテーマを継続的に探求してきたデザイナー。今回の発表では、フィレンツェの歴史的背景と、ロシャの詩的なビジョンが交わる。
ディーエスエム ケイ ニノミヤ、ジヨン・キム、サンフラワーも参加
ディーエスエム ケイ ニノミヤ(DSM KEI NINOMIYA)も、今回の主要企画の一つに位置づけられている。ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)のプライベートブランドで、ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)を手掛ける二宮啓がデザインを担う。ピッティ・ウオモでは、2027年春夏メンズウェアコレクションをランウエイ形式で発表する。
韓国人デザイナーのジヨン・キム(JiyongKim)もスペシャルゲストとして参加する。ルタ氏は、ジヨン・キムについて、自然や時間をデザインの要素として取り込んでいる点を紹介した。衣服を太陽光にさらす「サンブリーチ(Sun-Bleach)」技法を通じて、素材や表面に変化を与え、時間の経過そのものを衣服に反映させるアプローチが特徴となる。
コペンハーゲン・ファッションウィーク(Copenhagen Fashion Week)との協業では、創設20周年を記念したスペシャルプロジェクトとして、デンマークのブランド、サンフラワー(SUNFLOWER)を紹介する。このほか、ピッティ・イマージネ・アワード2026(Pitti Immagine Award 2026)を受賞したウィリアム・パーマー(William Palmer)による「The Brief Exposure」、中国を代表するラグジュアリーカシミヤ・糸の企業コンシニー(Consinee)によるインスタレーションなども予定されている。
LEON25周年企画やJ∞QUALITYも 日本との関係性を強調
日本に関わる企画も複数紹介された。雑誌「LEON」の創刊25周年と日伊外交関係160周年を記念し、LEONとピッティ・イマージネが共同で多面的なプロジェクトを展開する。
中心となるのは、セントラル・パビリオンで開催される、ピッティ・ウオモのストリートスタイル写真を振り返る展示。あわせて、トークショー、来場者参加型のストリートスタイル企画、カクテルレセプションなども予定する。
ルタ氏は、LEONの企画について、単なる回顧ではなく、現在進行形の文化的なつながりとして見せるものだと説明した。その上で、「日本がピッティ・ウオモにとって非常に重要なコミュニティである」と述べ、日本のバイヤーやプレスの存在が見本市を支えていることを強調した。
また、日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)が企画し、栗野宏文氏が特別アドバイザーを務める「QUALITY FACTORY BRANDS PROJECT」も紹介される。セントラル・パビリオン上階のフツーロ・マスキーレ(Futuro Maschile)内に専用スペースを設け、日本の高品質な衣服と生産地に焦点を当てる。出展企業はマルチョウ(MARUCHO)、サンライン(SUNLINE)、エドウイン(EDWIN)、サンヨーコート(SANYOCOAT)。
日本のバイヤー、ブランド、プレスへの期待
ナポレオーネ会長は、日本からの参加実績にも触れた。前回開催でも、日本企業と日本のバイヤーが大きな存在感を示したとし、次回も参加が広がることへの期待を示した。
さらに、日本国内にとどまらず、世界に向けたビジネスという観点からも、ピッティ・ウオモへの参加は有意義な投資になるとの考えを示した。日本のブランドやメーカー、バイヤー、プレスにとって、ピッティ・ウオモは海外バイヤーや国際的な流通関係者との接点を持つ場でもある。
イタリア貿易促進機構(ITA)の支援による大規模な招へいプログラムにより、主要百貨店、有力インディペンデントブティック、コンセプトストアなども参加予定。日本からは、エストネーション、GR8、阪急阪神、三越伊勢丹などの名前も参加予定バイヤーとして挙がっている。
OUTOPIA、Hi Beauty、Hyperscoutも展開
会場では、ファンタスティック・クラシック(Fantastic Classic)、フツーロ・マスキーレ、ダイナミック・アティチュード(Dynamic Attitude)、スーパースタイリング(Superstyling)、アイ・ゴー・アウト(I Go Out)の5つの主要セクションを軸に構成する。フォーマル、コンテンポラリー、スポーツ、ストリート、アウトドアまで、現代のメンズファッションを横断的に見せる。
アイ・ゴー・アウトでは、アウトドア雑誌「Vanish」との協業による新企画「OUTOPIA」を展開する。ルタ氏は、アウトドアを単なる機能服としてではなく、「文化やライフスタイル、都市的な感覚も含めたもの」として提示すると説明した。機能性とファッション性を横断する現在のアウトドア市場を示すセクションとなる。
フツーロ・マスキーレ内では、フレグランス領域の「Hi Beauty」も展開する。ルタ氏は、フレグランスやビューティーがファッションストアにとって重要なコンテンツになっているとし、香りが店づくりやブランド体験の中で意味を持っていると説明した。
デジタル面では、AIベースのビジネスマッチメイキングシステム「Hyperscout」を導入する。ブランドとバイヤーの出会いをより効果的にするための仕組みで、選ばれた200の出展者に対し、AIマッチメイキング、競合分析、新規市場探索などの機能をプレビューとして提供する。
国際プロジェクトで各国のメンズウェアを紹介
ピッティ・ウオモ110では、韓国に焦点を当てた「CODE KOREA」、中国ブランドを紹介する「CHINA WAVE」、フランスのメンズウェアを紹介する「PROMAS」、スペインに焦点を当てる「ICEX」など、国際プロジェクトも展開する。
ルタ氏は、ピッティ・ウオモを「異なるファッションシーンや国、文化を横断するプラットフォーム」と位置づけ、各国のブランドや企業が集まる場としての性格を強調した。
ピッティ・ウオモ110は、2027年春夏のメンズウェアをいち早く見る場であると同時に、素材、製造、商談、国際協業、デジタル施策を結びつける場でもある。フィレンツェの会場では、シモーン・ロシャやディーエスエム ケイ ニノミヤなどのスペシャルイベントに加え、LEONの25周年企画、J∞QUALITY、OUTOPIA、Hi Beauty、Hyperscoutなどを展開。2027年春夏のメンズウェアを軸に、ファッションを取り巻くビジネス、技術、文化の現在地を示す構成となる。
ナポレオーネ会長は、プレゼンテーションの最後に日本からの参加への期待を改めて示し、「フィレンツェでお会いできるのを楽しみにしています」と呼びかけた。