無印良品2025年秋冬新作 “肌心地”重視とサステナブル素材で提案強化

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無印良品、2025年秋冬展示会を開催 “肌心地”と“循環”に焦点

良品計画は東京都文京区の本社で、無印良品の2025年秋冬商品展示会を開催した。会場では、衣服雑貨部が打ち出した新たな衣料戦略が注目を集めた。天然素材を生かした「肌心地」のよい衣服と、回収・再資源化を前提とした循環の両立を掲げ、循環型商品の拡充を軸に衣服雑貨を中心とした新たな提案を示した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

素材の力を活かしたコレクションに転換

今回の展示で注目されたのは、無印良品が近年取り組んできた「感じのよい暮らし」を実現する定番服の集大成ともいえるラインアップだ。衣服・衣服雑貨を担当する山本直樹上席執行役員は「2025年秋冬は、素材の力を生かすことに集中したコレクション」と述べ、天然繊維を主とする商品構成の強みを強調した。

世界では、ポリエステルなどの合成繊維が流通する衣服の約67%を占めるとされる中、無印良品では約70%の衣服にコットンやリヨセル、ウールといった天然素材を使用しており、「肌に触れる心地よさ」へのこだわりが際立っている。

“肌心地”を追求した婦人服や機能性インナー

中でも「肌心地」は、今シーズンの最大の訴求ポイントとして打ち出された。婦人服では、カットソーやボトムス、インナーに植物由来のリヨセルを50%、オーガニックコットンを組み合わせた「なめらかシリーズ」が主力となっており、「暑さの残る秋にも心地よく着られる」として売れ行きは好調だ。

また、綿100%にリニューアルされた機能性インナー「あったか綿」も再登場し、冬の定番商品として拡販が見込まれている。山本氏は「昨年に続き、さらに大きな打ち出しをしていきたい」と述べ、肌に優しい機能性の強化を強調した。

資源循環型フリースが5倍に拡大

もう一つの柱が、循環型商品の拡充だ。2024年秋冬から導入された廃棄素材を活用したフリースシリーズは、2025年秋冬では5アイテムから25アイテムへと大幅に拡大した。糸やボタンに至るまで単一素材で構成し、回収後の再資源化をしやすくしている。

「繊維から服、そして再び繊維へ」という循環の仕組みを具体的に示したこのシリーズは、軽量でありながら適度な厚みがあり、端境期のミドラーやアウターとしても機能する。環境への配慮と実用性の両立を目指した提案となっている。

基本服のアップデートと端境期対応

展示会では、定番の「きほん服」シリーズも並んだ。シャツやTシャツ、イージーパンツなど、自由に組み合わせて長く着られる実用的なベーシックウェアは、気温差の大きい秋から冬にかけての端境期への対応を意識し、素材感や重ね着のしやすさが追求されている。

婦人服では、近年、商品点数を絞りすぎた影響で売り上げが停滞していたが、今シーズンは再構成により、6月以降の売れ行きが回復傾向にあるという。山本氏は「まだまだ伸びしろがある」と話し、婦人服や子ども服、靴といった課題領域での再成長に意欲を示した。

“触れてわかる”素材の力を可視化

会場では、「肌ごこち」「きほん服」「循環型商品」などのテーマごとに商品が分けられていた。なめらかシリーズの婦人服や「あったか綿」のインナー、天然素材のパジャマやルームウェア、天然繊維を50%以上使った子ども服などが、実際に触れて違いを感じられるかたちで並べられた。

今後の展望 グローバル展開と商品力で成長を加速

同社は今後、東南アジアを中心とした海外市場での展開強化を視野に入れており、日本の気候変動に対応した端境期商品などを強みに、グローバル市場での存在感を高める方針だ。

山本氏は「まだまだ道半ば。衣服領域には伸びしろしかない」と述べ、商品力と素材開発力を生かして中長期的な事業成長に寄与する考えを示した。

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