「JFW NEXT BRAND AWARD 2025」授賞式が楽天ファッション・ウィーク東京2025年春夏(Rakuten Fashion Week TOKYO 2025 S/S)初日の9月2日、東京都渋谷区の渋谷ヒカリエ ヒカリエホールA ホワイエで行われ、テルマ(TELMA)の中島輝道さんがグランプリを受賞した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
「JFW NEXT BRAND AWARD」とは
「JFW NEXT BRAND AWARD」は、日本ファッション・ウィーク推進機構が2023年春夏からスタートした新たなデザイナー支援プログラム「JFW ブランドサポート プログラム」。日本ファッション・ウィーク推進機構のミッション「世界に向けた新人デザイナーの登竜門」を通して今後グローバルにファッション業界で活躍が見込まれる新しい才能を育成・支援していくことを目的としている。
コロナ禍でブランド「テルマ」を立ち上げた中島輝道の挑戦
授賞式で、中島さんは「テルマはコロナ禍の逆風の中、洋服の可能性を信じて立ち上げたブランドです。それが今、このような形になり、大変光栄に思います。また、今回初めてのショーが成功したのは、チームの皆さんや支えてくださった皆さんのおかげだと思っております。これからも精進していきたいと思います」とあいさつした。
ショーを通じて、洋服と人のコミュニケーションを表現する意図
また、授賞式後、直前に行われたテルマ2025年春夏コレクションについて、「今回、ショー形式にしたのは、やはり人が着ることで初めて洋服が完成し、さらに人が動くことで、しぐさや動作が洋服と体とのコミュニケーションを生むからです。360度どこからでも見せられる発表形式であるショーを通じて、自分のメッセージを伝えたいと思いました。
ショーを通じて、チームの素晴らしさを改めて実感しました。デザイナーは一人ではなく、チームに支えられており、その背後には産地や予算があり、それらが連動していることを強く感じました。クリエーションは、まるでリレーのように、人と人が繋がるダイナミックな面白さがあるのだと感じました」とコメント。
テーマの因数分解と、工業金属やジャージ素材の活用など、ユニークなデザインの裏にある考え
「テーマはもちろんありますが、クリエーションとは、感じる余韻のようなもの、見た人が自由に感じ取っていただける方が良いと考えています。音楽にもコンセプトがありますが、1つのテーマを因数分解し、10や20の要素に広げ、それを構成しています。
今回、要素の1つとして、人や本質的なものにもう一度立ち返ったクリエーションをしたいという思いがありました。さらに、その持っている強さや可能性を信じたいという気持ちもありました。そこで、身近にある人から発生する音を大切にし、それを違う形に消化させたいと考え、クラップを使いました。
アクセサリー類も工業金属を使用して、ファインジュエリーのようなものを作ったり、アルミホイルでひまわりを表現したりしています。また、デニムやレザー、ムートンに見えるものも、実はすべて裏毛のジャージにコーティングしているのです。イミテーション的な要素もこの中に含まれています。
実は裏テーマとして『鶴の恩返し』が少しありますが、それが目的ではありません。テーマをさまざまな要素に分解し、新しいラインを引き直すようなことを常に行っています。余韻を楽しんでいただければいいと思っています」などと話した。