イッセイミヤケが特別展示「Focus on STRETCH PLEATS」を21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で開催中。新しい視点で観察する未来のファッション

URLをコピーしました！

株式会社イッセイミヤケは6月23日まで、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で特別展示「フォーカスオンストレッチプリーツ（Focus on STRETCH PLEATS）」を開催している。全方向に伸縮し、誰もがその人らしく自由に楽しく着こなせる衣服をつくり出す、ミーイッセイミヤケ（me ISSEY MIYAKE）のストレッチプリーツは、縦と横に施された細かいプリーツが特徴的な素材だ。今回の展覧会では、20年以上展開されてきたストレッチプリーツを新しい視点で表現するため、ディレクションにグラフィックデザイナーの岡崎智弘さんを迎え、「観察することで見えてくる構造」に着目した展示を行っている。Text: Shinichi Higuchi（樋口真一）画像©ISSEY MIYAKE INC.

ストレッチプリーツはミーイッセイミヤケの商品の一つ。2000年にブランドをスタートした当時から21世紀のTシャツをコンセプトに展開。縦横自由に伸びる伸縮性のあるプリーツ、カラフルな色や楽しい柄、軽く、着心地がよく、手入れも簡単なことなどから、現在も愛され続けている。

今回の展覧会では、ストレッチプリーツを観察し、プリーツが縦と横の二重になっていることに着目。プリーツ構造の「単位」、「一つの構造」の発見からスタートし、「一つの構造」から生まれる動きを「動きの模型」にして観察したり、単位を拡張させたりしながら、衣服そのものに備わる仕組みを創造的に観察することを試みた。

プリーツマシンが刻むリズムが会場に鳴り響く中、最初に目に入るのはストレッチプリーツを製造するための工程を記録したドキュメント映像。縦と横、違う機械を使ってプリーツをかけている様子が映し出される。その横にはプリーツをかける前、1度プリーツをかけた時点のもの、縦横プリーツをかけたものという三体を展示。縦横二回プリーツをかけることで大きさが変わっていくことがわかる。

入口左側には、プリーツの一単位を拡大し、ストレッチプリーツから観察された構造の模型を展示。縦方向、横方向それぞれ十個の構造の模型でプリーツが伸び、変化していく様子を模型で表現し、最後には縦方向、横方向各十個の模型をストップモーションで撮影した映像を紹介することで、構造の一単位を観察することからスタートできるようになっている。

会場中央にはストレッチプリーツの製品と、プリーツのピッチを徐々に大きくしたものを並べて展示し、プリーツの構造が大きくなることによって、どのような表情になるのかを検証した。「リバースエンジニアリング的に観察するのではなく、完成した服の構造を創造的に観察することで、新しい発想やイメージにつなげられるようなものにしたいと考えました」と岡崎さん。

壁には製品を展示。ストレッチプリーツの製品をそのまま見るコーナーを作り、服そのものを観察することができるようにした。

最後にあるのは、最初に模型で観察した構造を応用する部屋だ。ストレッチプリーツを観察して作った構造の模型を使いながら、連続させたり変形させたりすることで生まれた様々な形を展示。観察することから見つかった構造を起点にして、手でいろいろな形を作り、試す中で生まれた不思議な形を紹介している。また、ライブカメラで順番に撮影した映像によって、一つの構造からイメージや想像を膨らませたり刺激を受けたりすることができる。

開催に先駆けて行われたプレスデーで、岡崎さんは「ストレッチプリーツのプロモーションというより、新しい視点からの展覧会をやってみようと考えました」とコメント。「元の服を何度も展開させた結果、もはや服ではなくなりましたが、構造という意味ではつながっています。服を観察することから始めましたが、それが次にプロダクトデザインになるのか、服のデザインになるのかはわかりません。次の誰かの何かにつながる創造的な実験として、最後に実験室を作ってみました」と話した。

同ブランドでは「私たちは服作りの観点から多くの研究を行っていますが、今回は服作りとは違う視点に注目し、多くの人に知ってもらいたいという思いから展覧会を企画しました。ストレッチプリーツとは何かという話を進める中で、岡崎さんの観察により変化していくことが面白いと感じ、ディレクションを依頼しました。その結果、非常に面白いものができたと思います。多くの発見があり、楽しかったです。新たなストレッチプリーツが見つかることを期待しています」としている。