
バーニーズ ジャパンは、バーニーズ ニューヨーク銀座本店が入る東京・銀座の交詢ビル3階を全面改装し、新コンセプトストア「チェルシー ヴィンテージ ルーム(CHELSEA VINTAGE ROOM™)」を2026年6月5日にオープンした。前日の6月4日には、リユース事業発表会・内覧会を開催した。
店内では、1960年代から2000年代を中心としたウェアやバッグ、ジュエリー、時計、サングラス、アクセサリーなどを展開する。バーニーズ ニューヨークが長年培ってきた審美眼と編集力を生かし、時代を超えて受け継がれてきた商品を現在のスタイリングに取り入れるヴィンテージ体験を提案する。販売に加えて会員向けの買い取りサービスも開始し、商品の価値を次の所有者へつなぐ「ラグジュアリーの循環」を目指す。
「大人のワンダーランド」戦略をリユース事業に拡大

発表会には、バーニーズ ジャパン代表取締役社長のペニー・ルオ社長が登壇した。
同社は2025年の銀座本店改装以降、店舗を単なる販売拠点から、来店自体が目的となる体験型空間へ転換する「大人のワンダーランド」戦略を進めてきた。
来店する理由をつくる店舗戦略、独自性のある商品戦略、価格以上の価値を提供する高付加価値戦略の3つを柱とし、店舗改装や商品の入れ替え、販促、顧客関係管理の強化に取り組んできた。チェルシー ヴィンテージ ルームは、この戦略をさらに発展させる新事業に位置付けている。
ルオ社長は、小売業を取り巻く環境について、原材料価格の上昇や為替変動、国際情勢の不安定化が続く中、同社が目指すべき方向は価格競争ではないと説明した。その上で、「重要なのは、価格ではなく、価値で選ばれる店になること。お客様にとっての新しい発見や体験、納得感をどのように提供できるか。それこそが、私たちのような実店舗に求められる役割だと考えています」と語った。
強いブランド資産を持つラグジュアリーブランドと、価格を強みとするウルトラファストファッションが存在する中、商品だけでなく、発見や接客、空間を含む体験によって店舗の価値を高める考えを示した。
ヴィンテージを「単なる中古品」と捉えず
同社がヴィンテージ・ユーズド市場に着目した背景には、市場の拡大だけでなく、ヴィンテージ商品が持つ固有の価値がある。
ルオ社長は、製造された時代やブランドの歴史、当時のデザイン思想、素材、縫製技術、過去の所有者との関係などが積み重なることで、商品は唯一無二の価値を持つと説明した。
ヴィンテージの本質的な価値については、「ヴィンテージ商品の魅力は、単なる中古品ではありません。一つ一つの商品に固有の背景や物語があります。その価値との出会いを生み出す場所が実店舗です」と述べた。
商品を実際に手に取り、スタッフとの会話を通じて背景を知り、新たな発見を楽しむことが、実店舗ならではの付加価値になるとの考えを示した。
コンセプトは「ミックス・ア・リトル・マジック」
店舗のコンセプトは「ミックス・ア・リトル・マジック(Mix A Little Magic)」。
ニューヨークのダウンタウン・チェルシーに暮らす親子が、自分たちの「好き」だけを集めて営む小さなヴィンテージストアをイメージした。誰かのクローゼットや宝箱をのぞき込むような、遊び心のある空間として構成している。
ルオ社長は、チェルシー ヴィンテージ ルームの差別化のポイントとして、高品質へのこだわり、提案型の接客、独自の編集力の3点を挙げた。
希少性だけでなく、コンディションや品質を重視して商品を選定する。接客では、ヴィンテージに慣れた顧客だけでなく、初めて購入する顧客にも、スタイリングや日常生活への取り入れ方を伝える。
また、トレンド、クラシック、アーカイブピースを組み合わせ、ブランドの歴史や文化的背景を含めて商品を再編集する。商品を頻繁に入れ替え、来店するたびに異なる発見がある売り場を目指す。
ウェアを軸に現在のスタイリングを提案
店内では、1960年代から2000年代のウェア、バッグ、ジュエリー、時計、サングラス、アクセサリーなどを扱う。
カール・ラガーフェルド時代のシャネル(CHANEL)や、マルタン・マルジェラ期のエルメス(HERMÈS)、コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)のアーカイブピースをはじめ、希少な限定バッグや、アーティストとのコラボレーションによるハイジュエリーなどを展開する。
商品は、現時点では主に国内で調達している。選定では、アーカイブとしての希少性だけでなく、顧客が現在のワードローブに取り入れられるかという視点を重視する。
ルオ社長は、シャネルのツイードジャケットを例に挙げ、コレクションとしての価値だけでなく、現代の装いと組み合わせ、トータルコーディネートを構成できるかどうかを商品選定の基準にしていると説明した。
バッグや時計、ジュエリーを中心とするラグジュアリーヴィンテージ店が多い中、同店ではウェアを豊富にそろえた。ヴィンテージに初めて触れる顧客が、日常のスタイルに取り入れるきっかけをつくることも、差別化の一つとしている。
世代を意識した売り場と中央のポップアップ
フロアは、大きく3つのエリアで構成されている。
若い世代を意識したエリアと、50代、60代を主な対象とするエリアを設け、ブランドごとではなく、顧客のスタイリングを想定して異なるブランドの商品を組み合わせて展開する。
中央には、テーマを変えながら商品を紹介するポップアップスペースを設置した。2026年6月5日のオープン時には、コム デ ギャルソンの通称「こぶドレス」3点を展示した。
これらの作品は、身体のラインに沿う一般的な服とは異なり、詰め物によって身体の輪郭を変化させたデザインで知られる。6月4日の店内プレスツアーでは、3点が同時にそろうことは珍しく、ミュージアムピースに相当する作品として紹介された。
上質なメゾンブランドの商品を集めたエリアでは、通常は入手が難しい限定品や、ファッションショーで使用されたウェアも展開する。セリーヌやランバンなどのショーピースも展示販売されていた。
日本で受け継がれてきた品質を価値に
事業の柱の一つに掲げたのが、「ジャパニーズ・クオリティ・ヴィンテージ」という考え方だ。
これは単に日本国内にあるヴィンテージ商品を指すのではなく、日本ならではの丁寧な保管状態、高い品質基準、希少性、コレクション性を含めた価値を示す。
ルオ社長は今後の海外展開について、「国内のお客様には安心感を、海外のお客様には日本だからこそ実現できる品質と信頼を提案していきます。将来的には、2030年のニューヨーク再出店に向けた重要な事業として育てていきたいと考えています」との見通しを示した。
日本で大切に保管されてきた商品の品質や信頼性を海外に発信し、グローバル市場で独自の立ち位置を築く方針だ。
既存顧客と次世代顧客の接点に
顧客戦略では、長年利用してきた既存顧客と、ミレニアル世代やZ世代の双方との接点をつくる。
ルオ社長は、若い世代がブランド名や価格だけでなく、商品のストーリー、サステナビリティ、リセール価値、独自性を重視する傾向があると説明した。既存顧客には新たな楽しみ方を提案しながら、次世代顧客との接点を広げる考えを明らかにした。
2025年の銀座本店リニューアル後は、特に20代後半から30代の新規顧客が増えたという。1階のポップアップスペースや、同年のリニューアル時に設けたヴィンテージ売り場が若い顧客の購入につながったことも、事業化を後押しした。
会員向けに買い取りサービスを開始
チェルシー ヴィンテージ ルームでは、販売に加えて買い取りサービスを開始する。
2026年6月5日のオープン当初はバーニーズ ニューヨークの会員を対象とし、専用電話による事前予約制で買い取りと査定を受け付ける。商品の背景や状態を確認しながら、次の所有者へ価値を引き継ぐ循環を構築する。
ルオ社長は、買い取りサービスの役割について、顧客との関係を販売時だけで終わらせず、購入、使用、相談、買い取り、次の商品提案へとつなげる取り組みだと位置付けた。
なお、バーニーズ ニューヨークのオリジナル商品も買い取りを受け付ける場合があるが、2026年6月の事業開始時点では、チェルシー ヴィンテージ ルームでの再販売は想定していないという。
「モノを売る」から「価値を届ける」ブランドへ
チェルシー ヴィンテージ ルームは、2026年6月5日の世界環境デーに合わせて開業した。衣服の大量生産や廃棄が課題となる中、ファッションと環境価値の両立を目指す取り組みでもある。
バーニーズ ジャパンは、ヴィンテージ商品を単に販売するのではなく、商品の品質や背景、空間での発見、接客による提案、買い取りを通じた循環を、一つの店舗体験として提供する。
商品を選び、使い、手放し、次の所有者へつなぐ。チェルシー ヴィンテージ ルームを通じて、「モノを売る」企業から「価値を届ける」ブランドへの転換を進める。








店舗概要
店舗名
チェルシー ヴィンテージ ルーム(CHELSEA VINTAGE ROOM™)
所在地
東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル3階
営業時間
11時~20時
電話番号
050-3786-3588

