榎本光希がデザインするヴェイン(VEIN)は2024/2025年秋冬コレクションをランウェイショー形式で発表した。Photos: Courtesy of VEIN
同ブランドはリリースには以下のように書いている。
人と人が互いを認識し、交流をはじめるときのきっかけである“挨拶”は、ごく平凡な行為でも、人生のなかで無数に繰り返され、小さなコミュニティから文化圏までのそれぞれの特性を表
象さえするのではないだろうか? そう思案した榎本光希は、2024年秋冬コレクションにおいて、ブランドやコレクション、ひいては一着の衣服と、着るひととの関係を構造的に見つめ直し
ながら、そのうちに育まれうる、未来志向で、人肌を感じられる関係性を眺めていきました。
ラテン語で「歓迎」や「敬意」をあらわし、平易な挨拶の言葉でもある“ave”は、服作りの現場であるアトリエに併設されたショールームを開放してゲストを招き入れるショー、そしてコレクションが内包するステイトメントに結びつくダイレクトな言葉でした。「いわば自分の第二の家のような場所であるアトリエにゲストが訪ねてきて、まるで、会話がはじまる最初の挨拶となるようなショーをやってみたかった。程よい距離感を感じながら、コミュニケーションの過程で服が息づき、思いがけないものに遭遇したいのです」
榎本は続けて、「挨拶を終えた後の予想外の会話のように、ランウェイから離れた洋服がどのように着られるかは、常に着るひとに委ねていたい」と、VEINの中枢をなす思想を捉え直しました。着用者の意思でシルエットチェンジできるドローストリングスの構造をもつカットソーやフーディ、ニットウェア、大きなトラウザーズをウエストを基点に折り畳んで再構成したワイドフレアな質量感が特徴のリサイズシリーズ、マチ付きのビッグポケットとストラップで大胆に構築された「ラップスカートバッグ」は可変性を示すブランドのシンボルとなっています。
表層的な外見でなく衣服の構造や組成をデザインすることで、新鮮な表現の振幅を獲得することを願った匿名的なアウトフィットとして、ストラップが身ごろを横断するジャケットや、スタ
ンドカラーにもなるマキシコートがある一方、視覚的に重心が低く捉えられるさまが、膝下に一文字にカットオフされたバギージーンズ、カーゴパンツやMA-1のポケットの配置、トレンチ
コートを解体したかのような「ロウアースカート」によってもたらされます。
さらに、「子どもたちと過ごす週末の生活と、自身の嗜好性の根源を伝達するパーソナルなモチーフのひとつとしては初めて取り入れた」と話す1990年代のサッカーユニフォームやミリタ
リーエッセンスが直接的に加わり、モノトーンから、ドーンピンク、オーセンティックなデニム・ブルーまでカラーパレットを往来しながら、いくつかの規律に基づきながらフリーキーな着方が共存した25のルックは、楽観的かつ立体的に表現されました。偶発性をともなうインクルーシヴな態度と、フィーリングの共有。「これは、ブランド、デザイン、クリエイターとの協業、そしてファッションショーを介した、ごく小規模なコミュニティのあり方と親密さに関する実験でもあるのかもしれません」
ヴェイン(VEIN)2024/2025年秋冬コレクションLOOK
Designer Koki Enomoto
Stylist Hayato Takada
Art Director Tatsuya Yamaguchi
Hair Artist Mikio Aizawa
Make-up Artist Suzuki
Show Music Sakura Tsuruta
Movie Genki Nishikawa at mild inc.
Show Director Michio Hoshina at PLANKTON
Assistant Director Homare Hatayama / Masayuki Moriyama
Lighting Planner Ryo Kawamura at art brain company
Sound Planner Hiroki Yoshimi art brain company
Runway Photo Koji shimamura
PR Keitaro Nagasaka at Sakas PR