「DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン」開催。開会式典には皆川明さん、森永邦彦さん、廣川玉枝さんも出席

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「DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン」が11月30日から12月19日まで国立新美術館で開催されている。初日には開会式典とプレス・関係者内覧会が行われ、今回参加した13人のクリエーターの中から、皆川明さん、廣川玉枝さん、森永邦彦さんなど11人のクリエーターも来場した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

2年前にスタートした同プロジェクトは、日本各地にある優れたデザインを発掘、NHK Eテレの番組「デザインミュージアムをデザインする」や全国のNHK地方局の制作した番組・ニュース、昨年東京・銀座のGinza Sony Parkで開催された「DESIGN MUSEUM BOX展 集めてつなごう 日本のデザイン」など、番組や展覧会などのイベントで発信していくもの。

「DESIGN MUSEUM」というプロジェクト名は、日本には存在していないデザインミュージアムの実現を目指して名付けられていて、その言葉や概念は、先日亡くなられたデザイナーの三宅一生さんが「日本にデザインミュージアムがあったらいいね」と話していたことも、背景や出発点につながっているという。

今回の展覧会では、全国47都道府県にあるNHKの放送局のネットワークを駆使して、世界の第一線で活躍している13人のクリエーターとともに全国13の地域で各地の生活文化をリサーチ。雪国の暮らしを支えた山形の緞通(だんつう)、新潟・佐渡の船大工が暮らした町並み、世界最先端の富山のスポーツウエア、山梨の織物産業の起源となった絹織物、静岡の「水辺」の暮らしにある名もない人々の工夫、和歌山の博物学者・南方熊楠の「収集のデザイン」、岡山で作られるプロペラのシンプルな美しさ、福岡の祭り「博多祇園山笠」がつなぐものなど、そこで見つけた「デザインの宝物」を、クリエーターがどの点に興味をもったのかという文も加え、背景にある物語とともに紹介している。

10月から11月に全国の8地域で開催された展覧会に、昨年度参加したクリエーターのリサーチも合わせ、東京に集結させた今回。会場では13人のクリエーターが、それぞれリサーチを6つほどのボックスを使い、どのクリエーターがどこを訪れどんな「デザインの宝物」を見つけたのか、背景や周辺の話、「デザインの宝物」の展示、番組映像のダイジェスト版、クリエーターの作品などを展示した。会場デザインは参加クリエーターの1人でもある建築家の田根剛さんが担当した。

開会式典で、NHK展開センター事業主幹の田中良憲さんは「我々では気づかない視点で掘り起こしてくれた」とあいさつ。NHKエデュケーショナルのプロデューサー倉森京子さんは「日本にはデザインの生活文化の歴史はありますが、デザインのミュージアムはありません。日本各地にある素敵なものを、クリエーターの言葉や目線で見直し、つなぎ合わせてネットワークにしたら、それがデザインミュージアムに通じるのではないかと考えました」などと話した。

また、内覧会で森永邦彦さんは「アンリアレイジ2022年春夏コレクション『DIMENSION』の洋服は、全てのパーツが三角形のポリゴンで作られていましたが、今回のプロジェクトに参加し、パッチワークの源流を探していく中で出会った“ハブラギン”の蝶を表す三角形やコロナが拡大していた中で着る人を守るという服の役割を考えたことがコレクション作りにも影響を与えたと思います。ステッチには厄除けという意味があるなど、意匠を超えた念も感じました。ファッションには消費と文化という両方の役割があり、残していける場所も必要。ただ、(デザインミュージアムは)集約するだけでなく、集まったり離散したりするモビリティのあるものでもいいのでは」とコメント。

廣川玉枝さんは「今回は博多祇園山笠を取材し、ナビゲーターとして作っている人の思いを拾い、博多祇園山笠とは何なのかを紹介しました。(三宅)一生さんは、日本には日本のものづくりのアーカイブを見ることができるデザインミュージアムがなければ、100年後に職人さんたちもいなくなり、日本人の精神性がわからなくなるのではと考えていました。答えが出るものではありませんが、今できること、生活に密着した日本のデザインを集め、紹介することが将来日本にデザインミュージアムを作るための一歩になれば」などと語った。

なお、東京展の後、海外でも開催。2023年春のサンパウロからスタートし、ロサンゼルス、ロンドンでも開催される。

会期 : 2022年11月30日から12月19日
会場 : 国立新美術館 企画展示室1E (東京都港区六本木7-22-2)
開館時間 : 10:00~18:00 (金曜日は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
休館日 : 火曜日
観覧料 : 無料
主催 : NHK、国立新美術館
協力 : 一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
問い合わせ : ハローダイヤル 050-5541-8600
巡回情報 : 2023年春~2024年 3地域を巡回
ジャパン・ハウス サンパウロ(ブラジル)、ロサンゼルス(アメリカ)、ロンドン(イギリス)

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