ネ・ネット(Ne-net)のデザイナー髙島一精が2018年春夏コレクションで見せた新しいディレクションとは

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「ネ・ネット(Ne-net)がブランドスタート10年を迎える頃から、こういう方向にしていきたいと考えていた。ブランドも一区切り。次の10年に向けて少しずつ変えていきたかった」と話すデザイナーの髙島一精。ネ・ネット(Ne-net)は26回目のコレクションとなる2018年春夏コレクションで新しいネ・ネットを強調したコレクションとデザインを提案した。

 

ブランドスタートから12年。これまでは、「カップルで共有する日常着」をコンセプトに、髙島の空想から発想し、テーマを決めてコレクションを作ってきたが、今シーズンからはコンセプトやターゲット、方法論などを変えた。ブランドとともに顧客も成長する中で、打ち出したコンセプトは、『「いま」を楽しむ人の日常着。性別や年齢を超えて共感できるものづくりから生まれるネ・ネットの服。変わらないもののよさを大切にしながら「いま」を自分のスタイルに取り入れる、すてきな大人になりたいすべての人のために。』。これまで設定していなかったターゲットも、メーンターゲットを30代、40代とした。今後はテーマにもとらわれず、コレクションを作るという。そうした考えから2018年春夏コレクションも「わたしがきれいに見える服」をテーマに、新しいネ・ネットの生まれたことを強調した。

髙島は「テーマを決めることは大切なことだと思う。だが、今、それだけでコレクションを作っていくというやり方では無理があると思う。それよりも、どれだけ日常に寄り添うことができるのか、軽い服を作ることができるのか、そういう方向でいきたい」という。

以前は、コレクションを行い東京のコレクションシーンをリードしていたネ・ネット。ほかにはないデザインや過激なテーマとモチーフで着る人と見るものを楽しませてきた。最近は、顧客向けの展示会会場の中で撮影を行い、それを見せるフォトシューティング形式のプレゼンテーションを行っていたが、今回はファッション・ウィーク直前に開催した顧客向けの展示会では撮影などは行わなかった。

「先のことはわからないが、当面はファッションショー形式での発表はしないと思う。ショーはもちろん楽しい。だが、今は、ものづくりのやり方を考えたり、日常にとけ込んだ服を作ったりすることの方がショーをするよりも面白いと思う。今回、会場で撮影もしなかったのは新しいネ・ネットの考え方をよりシンプルに見せたかったから」。

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新しいネ・ネットを打ち出した2018年春夏コレクションでは、ワンタンと名付けた、長方形を使ったパンツ、スカート、ワンピースなど、シンプルで着る人をきれいに見せる美しい服を提案。「オルカ」つまりシャチと名付けたシリーズはスポーツウエアで多く見られる多機能裁断を採用したもの。スキャナの中で体を計測するとことで動きを身軽に、美しく見せ、平面で作るよりもより軽く感じるようになっているという。

また、ブランドの新しいアイコンとしてflagマークが登場。ネ・ネットの定番として育てていくボタンダウンシャツの胸元の刺しゅうや裏毛素材のショッピングバッグのプリントに使うなど、ベーシックアイテムのワンポイントとして使用することによってブランドイメージを変える旗印としている。展示会では髙島自身もflagマークの付いたシャツを着ていた。さらに、ネ・ネットの定番ピッカボーシリーズにはバッグが登場。バケツバッグとインナーバッグ4色から自由に組み合わせを選ぶことができる。

顧客向けの展示会ではデザイナー自身が来場者と話した。「お客様と直接話すことで、意見や何を求めているのかを聞くことができた。どうやって着るのかを伝えることもできた」という。

「ネ・ネットはこれまで黒を作ってこなかった。だが、黒が意外に受け入れられることもわかった。男性のお客からは、この服をメンズでも作ってほしいという声も聞けた。これからはこうした意見も採り入れながらコレクションを作っていきたい」という髙島。

ネ・ネットのこれからの10年、新しいネ・ネットのこれからの展開も注目されそうだ。

Text & Photo:Shinichi Higuchi / (樋口真一)

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