「コレクションの前に、こういう形で過去の作品を見てもらった後で、最新のコレクションを見てもらうことで、これまでとは違う形で見てもらうということも1つの試みだと思っています」と語るコシノヒロコさん。KHギャラリー銀座「コシノヒロコ 衣の中に見る絵画」展が11月25日まで、東京・銀座のKHギャラリー銀座で開催されている。
ファッションデザイナーとして60年のキャリアを持つコシノヒロコさん。今回の展覧会は、歴代のコレクションの中から選んだ服を「質、形、色」という絵画の造形要素から再解釈した3つの部門で展示。アートの視点からファッションをとらえ直したもの。
これまでのコレクションで発表した洋服作品を絵画に見立てて、そのままアクリルケースに入れたシリーズでは、作品の素材やディテール、手の込んだ装飾、絵画のような構成などの「質」を見ることができる。
また、「形」が広がるオプティカルなインスタレーションでは、1着のドレスから派生する空気を具現化し、立体的な箱で表現。中2階では、コレクションのスタイル画約30点をジクレーにした作品などを紹介している。
初日の10月10日に開催されたレセプションパーティーにはコシノヒロコさんも出席。「昔の作品はすごく凝って作っていますが、大切に保存していても、もろくなってしまう。それをアクリルケースに収めたシリーズのような形なら何100体でも見せることができる。それに、ショーでは見ることができない、素材感や面白さ、素材に込めた思いや努力の跡、ニットの編み地なども、近くで見て、理解してもらえます。また、オプティカルなインスタレーションでは1つずつ作った箱で、服の良さがより良さがわかってもらえると思います。ファッションはアートの中には入っていませんが、私はファッションの中に思想があるモードを作れるデザイナーでありたい。私の理想が少しずつ実現できてきていると喜んでいます」と話した。
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二次元の絵画を立体にしたこともあるコシノヒロコさん。今回は逆に平面や直線という日本的要素も融合した服を絵画のようにしてしまった。
2018年春夏パリコレクションでは少女漫画の二次元の絵を三次元のドレスにしたコレクションが話題となった。ヒロココシノ2018年春夏コレクションでどのような作品を見せてくれるのかも注目される。
Text & Photo:Shinichi Higuchi / Chief Editor(樋口真一)