ユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)2017/2018年秋冬コレクション

  • URLをコピーしました!
Pocket

東京コレクションがスタートして30年以上。そして、東京ファッション月間とさえ言われた東京コレクションが、期間を短期集中するとともに会場も集約して東京のファッション・ウィークとなって10年以上経つ。これまで、数多くのブランドがコレクションを発表してきた。

若手や中堅からもこれから東京コレクションをリードするだろうと思わせたデザイナーもたくさんいた。しかし、東京コレクションを続けてきたブランドはほとんどない。東京コレクション時代あるいは10年前のコレクション雑誌やファッション週刊誌を数冊見直してみるだけで、各シーズンの人気ブランドの多くが現在ショーやプレゼンテーション形式でコレクション発表をしていないことがわかる。あの人気ブランドやあのデザイナーは今何をしているのだろうと思うことも少なくないだろう。

東京コレクション時代から現在までショーを続けているのはヒロココシノ(HIROKO KOSHINO)、ユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)、タエ アシダ(TAE ASHIDA)などの大御所やベテラン。そして、復活組や会期外を含めても、サポート サーフェス(support surface)やまとふ(matohu)、ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA)、ミントデザインズ(mintdesigns)くらいだろう。ユマコシノ(YUMA KOSHINO)、トクコ・プルミエヴォル(TOKUKO 1er VOL)も入るかもしれないが、それでも10年以上のブランドは10ブランドもない。東京コレクション時代からコレクションを続けてきた日本のブランドということで言えば、以前は東京コレクションとパリコレクションの両方で発表していたイッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)、ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)、コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)、そして、アンダーカバー(UNDEROVER)、ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARÇONS)、ジュンコ シマダ(JUNKO SHIMADA)、ツモリチサト(TSUMORICHISATO)、さらにパリメンズコレクションに参加しているリンシュウなど、海外のコレクションに発表の場を移したブランドの方が多くなってしまう。

東京の場合、数回で多くのブランドがショー形式での発表をやめてしまう。中には1回、2回で終わりというブランドもある。これではアイドルグループと変わらない。展示会だけで発表することが悪いとは言えないし、インターネットで発信するということではカタログや動画だけでいいという見方もできる。独自の路線を見つけたブランドやショーをしなくても売り上げを伸ばすブランド少なくない。ブランドが固定化しているパリコレクションなどと違い若手が次々に入れ替わるからいつも新しいし、それが東京の独自性という声もあるが、これではパリ、ミラノ、ニューヨークなどの世界のファッション・ウィークには並ぶとは言えないのではないか。

そんな中で、ヒロココシノ(HIROKO KOSHINO)とともに、長年にわたって東京コレクションを続けてきたのがユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)。2017/2018年秋冬コレクションもイギリスのクラシックやノスタルジック、古着のようなムードなどのトレンドを取り入れながら、新しく、しかも鳥居ユキらしいコレクションを見せた。クラシックなチェックとトレンドのピンクなどはあくまでも軽く、若い。また、マニッシュでありながらフェミニンだ。秋冬コレクションならではのレイヤードの楽しさや素材の面白さと、まるで春夏コレクションのような軽さ、リアリティと夢の世界も共存している。そして、あるときはトレンド満載なのに鳥居ユキらしく、またあるときは安心してみていられるいつものスタイルなのにフレッシュにも見える。それはブランドの世界を確立した上で、軽い素材を使い、更に、半端丈のスカートやロング丈のスカート風パンツ、アシンメトリー、変形双子コーデ、更にスパンコールなどを使ったノスタルジートレンドとは対照的な未来的なムードのデザインまでをスタイルとして消化し、取り入れているからだ。年齢を重ねた女性のファッションが話題となったが、鳥居ユキなら国内外のそうした女性のニーズにも対応できるだろう。大御所が東京を支えてきたことを改めて思い出させたコレクションだった。

Text & Photo:Shinichi Higuchi

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!