21_21 DESIGN SIGHTが10周年を迎えた。3月31日にはこれまでのギャラリー1とギャラリー2とともに新たな拠点となるギャラリー3をオープン。初代館長に佐藤卓氏が就任することも発表した。10周年を機に更に活動を広げることを目的としたもの。これまでレストランだった場所にみかげ石を敷きテラスとの段差をなくすなど改装し、新たなギャラリーとして生まれ変わった。Text & Photo:Shinichi Higuchi(樋口真一)
ギャラリー1とギャラリー2は3か月、4か月といった単位での企画展を行ってきたが、新たにオープンしたギャラリー3は主体、拡張、融合をテーマに、外部企業・団体なども含めた展覧会やシンポジウムなどの場所としても活用する予定。4月には同ギャラリーのオープニング企画として、21_21 DESIGN SIGHTの今後を参加者とともに考える参加型のイベントシリーズ「オープニングカンバセーション」を開催。今後はギャラリー1、2、3すべてを使った企画なども行いたいという。
そんな中で気になったのは、前日の夜に開催されたレセプションで行われたダンサーであり振付家でもある森山開次のスペシャル・パフォーマンス。モーリス・ベジャールや今も思い出される1993年春夏パリコレクションのウィリアム・フォーサイスとフランクフルトバレエ団。そして、2013年に東京で行われた三宅一生企画、ダニエル・エズラロウ演出と振り付けによる特別公演「青森大学男子新体操部」など、ダンスやパフォーマンス、布と人の動き、そこから生まれる美しさと物語は三宅にとって欠かせないものの1つ。森山とアフリカのパワーを感じさせる演奏者、2人だけだったにもかかわらず、ギャラリーの中とテラス、六本木の夜景までが1体となった、そのエネルギー、パワーは圧倒的だった。
また、三宅が「縄文」と表現する、岡本太郎が見いだしたとも言われる縄文土器や、今ファッション界で再評価される80年代の造形美などとも共通する荒々しいまでの強さ、更に80年代後半にイッセイ ミヤケのメンズコレクションでも当時要していた蛇のモチーフを全面に配したウエアも印象に残った。時代を超越した不変と人間のパワー。これまでの10年と次の10年を象徴するようなパフォーマンス。
レセプションで三宅は周りのへの感謝の気持ちを語るとともに「1番大切なのは人の気持ち」「野生の心」とあいさつしたが、パフォーマンスであれ、震災支援であれ、コレクション(ファッションショー)であれ、デザインであれ、そこに表現したいもの、その人(ブランド)にしかできないもの、デザインの意味とエネルギーである、ということを改めて思い出させてくれた。