
ホンダ・レーシング(HRC)とミズノは1月20日、2026年シーズンからHRCの二輪・四輪レーススタッフが着用する新ユニフォームのデザインを、東京・竹芝で開いたメディア向け発表会で公開した。両社は2025年12月にユニフォーム供給に関するパートナーシップ契約を締結しており、ホンダとして二輪・四輪、さらに日米でデザインを統一したユニフォームを導入するのは初の試みとなる。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
新ユニフォームは、MotoGPやF1をはじめ、北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権、インディカー・シリーズ、国内の全日本スーパーフォーミュラ選手権、SUPER GT GT500クラスなど、HRCが参戦する主要カテゴリーで使用される。発表会には、HRC代表取締役社長の渡辺康治氏と、ミズノ代表取締役専務執行役員の七條毅氏が登壇し、今回の取り組みの背景や新ユニフォームに込めた狙いを説明した。
二輪と四輪を貫くHRCの挑戦

渡辺社長は冒頭、HRCの成り立ちと役割に触れ、「HRCはホンダのモータースポーツ活動を専門に担う組織として、挑戦を通じて勝利の感動を世界中に届けることを使命にしています。二輪、四輪、オンロード、オフロードといったカテゴリーの垣根を越え、この考え方は一貫して変わっていません」と語った。
1983年の設立以来、HRCは二輪レースを中心に世界で実績を重ね、2022年からは四輪レース部門も加わった。さらに2024年には、北米のHPDがHRC USへと改編され、日米のHRCがそれぞれの強みを持ち寄る体制が整ったという。
こうした流れの中で迎える2026年は、HRCにとって節目の年となる。MotoGPとF1という世界最高峰の二大カテゴリーに同時に挑戦する体制が本格化し、「新時代の象徴として、ブランドの存在感を世界に発信する好機」(渡辺氏)と位置づけられている。
二輪・四輪、日米統一という初の試み

その象徴が、今回発表された統一デザインの新ユニフォームだ。渡辺氏は「ホンダとして、二輪、四輪、日米でデザインを統一したユニフォームは初めての試み」と強調する。
異なるカテゴリーや地域で活動するスタッフが同じデザインを身にまとうことで、HRCとしての一体感を高め、ブランドアイデンティティを明確に示す狙いがある。
トリコロールに込めた思想
新ユニフォームのデザインの核となるのは、HRCのシンボルカラーであるトリコロールの水平ラインだ。赤は「勝利にかける人間の熱い情熱」、青は「理論に基づく高い技術力」、白は「モータースポーツを愛するすべての人」を表している。
全カテゴリー共通のモチーフとしつつ、MotoGP用は身頃を赤、F1用は白を基調にするなど、カテゴリーごとに配色を調整した。渡辺氏は「卓越した技術によって勝ち得た勝利の感動を、世界中の人に届けるというHRCの使命をデザインで表現した」と語り、このトリコロールをアパレルグッズにも展開することで、ファンと感動を共有する機会を創出したい考えを示した。
「象徴」であり「作業着」
一方で、レースユニフォームは単なる象徴的な存在ではない。過酷な現場でスタッフが日々着用する作業着としての機能性も求められる。
渡辺氏は「企業やスポンサーのファッショナブルなステートメントであると同時に、作業着でもある」と述べ、異なる地域や気候、作業内容に対応する必要性を指摘した。
「多くのレースカテゴリーにまたがるため、現場ごとに異なるニーズを同時に満たさなくてはならなかった。わがままとも言える要求を一つ一つ形にするのは難しく、ミズノの開発力、技術力なくしては実現できなかった」と、パートナーへの信頼を語った。
なぜミズノだったのか
ミズノ側からは、七條専務が今回の提携について説明した。ミズノは2026年に創業120周年を迎える。
七條氏は「その節目の年に、世界最高峰の舞台で挑戦を続けるHRCをサポートできる機会を得たことを、大変意義深く受け止めている」と述べ、過去にレーシングスーツやシューズの提供を通じてモータースポーツを支えてきた歴史にも触れた。
「アスリートの挑戦に寄り添い、パフォーマンスを最大限に引き出すものづくりを続けてきた経験は、HRCのニーズにも通じる」とし、ブランドスローガンである「ビリーブ・イン・オン」を引き合いに、「挑戦を通じて勝利の感動を届けるというHRCの使命と深く共鳴している」と語った。
動きやすさと快適性を支える機能
新ユニフォームには、ミズノが長年培ってきたスポーツウエア開発のノウハウが反映されている。人間工学に基づく動作解析によるウエア設計「ダイナモーションフィット」を採用し、腕や肩、脚の動きに伴う引きつれや圧迫感を軽減した。
さらに、消臭素材「ミズノデオドラントテープ」によるニオイ対策、吸湿発熱素材「ブレスサーモ」による寒さ対策、吸汗速乾素材「ドライサイエンス」による暑さ対策など、年間を通じて快適性を保つ工夫が盛り込まれている。静電気を抑える制電素材や、リサイクルポリエステルなどの環境配慮型素材も採用し、安全性や持続可能性にも配慮した。
世界のレース現場へ、そしてファンへ
新ユニフォームは、IMSAの開幕前テスト「Roar Before The Rolex 24」(1月17~18日、米デイトナ)で一部カテゴリーにおいて先行して使用され、今回の発表会で改めて全体像が示された。今後はMotoGP、F1を含む各カテゴリーのレース現場で本格的に着用される。
両社は、新ユニフォームのデザインをベースにしたアパレルグッズの展開も計画しており、2026年内に一部ラインアップを販売する予定だ。渡辺氏は「ファンの皆さまと感動を身にまとって共有できる機会を作りたい」と語り、七條氏も「感動と興奮を共有できるアイテムを届けたい」と期待を込めた。
技術を核にした共創の行方
二輪・四輪、日米を貫く統一デザインの新ユニフォームは、HRCにとってブランドの再定義であり、ミズノにとってはモータースポーツの世界最高峰への本格的な再挑戦となる。技術と思想を共有する両社のパートナーシップは、2026年シーズンを通じて、世界のレース現場でその存在感を示していくことになりそうだ。
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