
末安弘明がデザインするキディル(KIDILL)は、2026/2027年秋冬パリメンズコレクション(パリ・メンズ・ファッション・ウィーク)1日目の2026年1月20日、プレゼンテーション&デジタル形式で2026/2027年秋冬コレクションを発表した。テーマは「HEAVEN」。Photos: Courtesy of Kidill
パフォーマティブな演出を削ぎ落とし、意志的に沈黙を選んだという今シーズン。服と人が呼吸する関係性を重視し、簡略化された空間の中で、デザインの本質を浮き彫りにした。
同ブランドの中核にはパンクがあり、末安の眼差しは常に「矛盾」に向けられてきたという。偶然と必然、混沌と静寂、大胆さと繊細さ、かわいらしさとハードコア。対立する通念をデザインを介して包摂し、それぞれの特質を示すことを特徴とする。末安は、ファッションとは混沌の中で心を癒やし、秩序を取り戻すための手段だと語っている。
素材とディテールに表れる表現
2026/2027年秋冬コレクションでは、スモーキーで淡いカラーパレットに、ブラックのシリコンラバーによる汚し加工を施した素材表現を用いた。柔らかさと硬質さの異なるテクスチャーを同一のアイテム内で組み合わせる手法が随所に見られる。
カットアウトされた服地、キルトスカート、伝統的なタータンチェック、ベルトで締めるボンテージ、セーフティピンやメタル装飾、パイピングを施したディテールなどを展開。ジャカード織からリフレクター素材まで、幅広いファブリックを採用している。
コラボレーションによる構成
アルファ インダストリーズ(ALPHA INDUSTRIES)とのコラボレーションでは、黒一色のMA-1をキディルの視点で再解釈した。無骨なミリタリーウエアに対し、柔らかなチュールを重ねる構成とし、女性性と攻撃性を同一のアイテム内で表現している。MA-1のボディーには、東京のアンダーグラウンドシーンで30年以上活動してきたアーティスト、トレヴァー・ブラウンのアートワークをワッペン刺しゅうで配した。さらに、HIZUMEとのトリプルコラボレーションとして、MA-1を解体的に再構築したヘッドピースも制作した。
アンブロ(UMBRO)とのコラボレーションではスポーツウエア特有の機能的なパターンワークを基に、40カ所以上の切り替え部分にアジャスターを組み込み、着用者がシルエットを調整できる仕様とした。腰まで伸びるフードは、コレクション全体に配置されたトレヴァー・ブラウンのタロット風アートワークと呼応している。
「HEAVEN」というテーマ
コレクション全体には、トレヴァー・ブラウンのアートワークが随所に用いられている。身体を覆うほど大きな悪魔や天使の羽、少女のグラフィックを横断するチュールなどが、衣服の造形として取り入れられた。
テーマの「HEAVEN」について末安は、「それはタブーや抑圧からの解放であり、社会通念に対するシニカルな問いかけの象徴。子どもと大人の間で相反するものが一体となるメタファーとして機能しています」としている。
キディル(Kidill)2026/2027年秋冬コレクションLOOK





























