TOKYO FASHION AWARD 2026|第11回受賞デザイナー8組を発表 東京から世界へ挑戦

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第11回「TOKYO FASHION AWARD 2026」発表会、渋谷ヒカリエで開催

東京から世界で活躍するデザイナーを選び、海外展開を支援する「TOKYO FASHION AWARD 2026」第11回受賞デザイナー発表会が2025年9月4日、渋谷ヒカリエのホールAで開かれた。今回は、パリ・メンズ・ファッション・ウィーク時期に発表する4組と、ウィメンズ時期に発表する4組の計8組が選ばれた。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

パリ・メンズ・ファッション・ウィーク時期の支援ブランドは、アンセム エー(ANTHEM A)の鈴木麻莉子さんと吉田尚さん、キミノリ モリシタ(kiminori morishita)の森下公則さん、コトハ ヨコザワ(kotohayokozawa)の横澤琴葉さん、マツフジ(MATSUFUJI)の松藤勉さん。パリ・ウィメンズ・ファッション・ウィーク時期の支援ブランドは、カカン(KAKAN)、ムッシャン(mukcyen)の木村由佳さん、ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)の大野陽平さん、ユウショウ コバヤシ(yushokobayashi)の小林裕翔さんが受賞した。

海外展開を後押しする支援プログラムを拡充

同アワードは、東京都と日本ファッション・ウィーク推進機構が主催し、将来性の高いブランドを対象に海外展開を支援する取り組み。受賞者はパリ・ファッション・ウィーク期間中に「showroom.tokyo」に出展し、世界の有力バイヤーやメディアとの接点を得られる。これまでに68組が選ばれ、国内外で存在感を示してきた。

2025年からはプログラムを刷新。韓国・ソウルの「10 Corso Como」でのポップアップショップ開催やアジア圏での発信支援を導入した。支援期間も従来の1年から2年し、支援期間も従来の1年から2年に拡大した。さらに現地でのモデルプレゼンテーションを新設し、より実践的なビジネス機会を提供するなど、発信と販路拡大の両面から支援を強化する。2026年3月には楽天ファッション・ウィーク東京の公式会場で凱旋イベントも予定されている。

メンズ部門 アンセム エー、キミノリ モリシタ、コトハ ヨコザワ、マツフジが選出

受賞者はそれぞれ喜びとともに、次の挑戦に向けた意気込みを語った。

アンセム エーの鈴木麻莉子さんは「このような賞をいただき大変光栄です。ブランドが成り立っているのは周囲の支えあってこそ。実家が縫製工場という環境で育った経験から、職人さんたちとブランドが共に支え合って成長していくブランドを目指してきました。着る人が個性を尊重できる服作り、楽しみを見出せるような服作りを目指して、国内外でビジネス広げていきたい」と強調した。

40年のキャリアを持つキミノリ モリシタの森下公則さんは「過去にパリで発表したことはあるが、今回改めて違う形でチャンスをいただけた。正直、ただただラッキーだと思う。支えてくれる仲間に感謝している。海外での発表に向けて自分自身もスタッフもギアを上げ、真剣に取り組まなければならない。目の肥えたバイヤーに納得してもらえる服を作りたい」と語った。

ブランド設立から10年を迎えたコトハ ヨコザワの横澤琴葉さんは「ブランド開始時から自分と向き合い、自分が着ることを意識して作ってきました。今後はより多くの人に私たちの服を着てもらい、見てもらえるように、新しいステップとしてユニセックス展開をこれまで以上に強化していきたい。次回1月のパリ・メンズ・ファッション・ウィークに向け、急ピッチですが新鮮な気持ちで取り組みたい。新しい気持ちで楽しんで取り組めたらと思っています」と話し、チームや工場、家族への感謝も口にした。

マツフジの松藤勉さんは「立ち上げ当初から関わってくれた生地業者や縫製工場、取り扱い店舗のおかげでこの賞をいただけたと思っています。この賞をきっかけに、国内外でさらに良いものを発表していきたい」と述べ、堅実な姿勢を示した。

ウィメンズ部門 カカン、ムッシャン、ヨウヘイ オオノ、ユウショウ コバヤシが受賞

ウィメンズ時期の受賞ブランドのデザイナーも受賞の喜びを話した。

カカンの梶井さんは「両親、仲間、工場や取引先、そして服を実際に着てくださっているお客様一人一人のおかげで、僕は今ここに立つことができています。僕はニットというものづくりの過程が作りの過程がとても好きなので、これからも良いものを作り続けたい」と語った。

ムッシャンの木村由佳さんは「これまでの努力と活動を評価いただき光栄です。今回の授賞を糧に、もっといろんな方に手に取ってみていただけるようなブランドに成長していきたいと思います」と笑顔を見せた。

ヨウヘイ オオノの大野陽平さんは、2017年以来の再受賞となった。「前回は未熟でチャンスを生かしきれず悔しい思いをした。8年間自分なりには修行を積み重ねてきて、今は自分で見ても海外に発表できる作品を作れていると思い応募した。今回は審査員のこのブランドを通したいという心意気をやエールをすごく感じた。もう一度まっすぐ世界に挑戦したい」と熱く語った。

ブランド設立から6年を迎えたユウショウ コバヤシの小林裕翔さんは「インディペンデントでファッションショーを続けてきたが、今回の受賞で大きなチャンスをいただき感謝しています。お店の方やお客様を裏切らないように、ときめくような、可愛い洋服をスタッフと共に作り続けたい」と述べた。

アワードの進化と主催者・審査員・海外バイヤーが語る評価

日本ファッション・ウィーク推進機構の古茂田博事務局長は、「『TOKYO FASHION AWARD』は10年を経て若手ブランドの登竜門としての地位を確立し、世界で活躍するブランドが次々と生まれてきている」と強調。その象徴として、2024年に受賞したソウシ オオツキがLVMHプライズで日本人3人目のグランプリを獲得したことを挙げ、「成長の軌跡を目の当たりにできるのは大きな喜び」と語った。

また、「今後は発表の場にとどまらず、ビジネス展開を支える“第2ステージ”に入った。若手に限らず日本を代表する強いブランドも対象に加え、国際発信を一層強化していく」と述べ、受賞ブランドへの継続的な支援を呼びかけた。

国内審査員を代表してあいさつしたアマノジャク(Amanojak.)ディレクターの小山逸生さんは「正直、これ以上いいブランドが出てくるのかという不安やわくわくと戦いながら審査していますが、今年も素晴らしいブランドを選ぶことができたと思っています。受賞したブランドがこれから世界に羽ばたき、活躍することを期待しています」と話した。

韓国「10 Corso Como Seoul」のウィメンズ部門チーフバイヤーのジュン・ムーンさんは「デザイナーたちがグローバルなトレンドの中でも揺らぐことなく自らの世界観を貫き続けている姿がとても印象的で、単なる服ではなく、一つの哲学や文化そのものを審査しているような気持ちになりました。デザイナーと市場をつなぐ重要な架け橋としての役割を果たそうとする真摯な取り組みにも大変感銘を受けました」と述べた。

メンズ部門チーフバイヤーのチャンヨン・リーさんも「日本のブランドは独自の個性やアイデンティティを創造的なデザインを通して表現し、卓越した職人技によって丁寧に形にすることで優れたプロダクトを生み出し、世界で高く評価されてきました。若手デザイナーの成長を支えるTOKYO FASHION AWARDは、日本のファッション産業の基盤をさらに強固にし、未来を切り開く大きな力になると思います」と強調した。

東京発クリエーションが切り開く未来

TOKYO FASHION AWARDはこれまでに60組以上のデザイナーを送り出し、海外での成功例も生んできた。第11回となる今回は、多彩なバックグラウンドを持つ8組が受賞し、国内外で新たな挑戦に踏み出す。東京発のクリエーションが世界と交差する舞台を築く同アワードの存在感は年々高まっており、日本ファッションの未来を切り開く原動力となっている。

第11回「TOKYO FASHION AWARD 2026」発表会

第11回「TOKYO FASHION AWARD 2026」受賞デザイナー(前)と審査員(後)

上から
アンセム エー(ANTHEM A)
キミノリ モリシタ(kiminori morishita)
コトハ ヨコザワ(kotohayokozawa)
マツフジ(MATSUFUJI)
カカン(KAKAN)、
ムッシャン(mukcyen)
ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)
ユウショウ コバヤシ(yushokobayashi)

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