
木村由佳がデザインするムッシャン(mukcyen)は、楽天ファッション・ウィーク東京2026年春夏初日の2025年9月1日、渋谷ヒカリエ ヒカリエホールAで2026年春夏コレクションを発表した。ブランド支援プログラム「JFW NEXT BRAND AWARD 2026」でグランプリを受賞した同ブランドが、今シーズンの開幕を飾った。Photos: Courtesy of mukcyen
テーマは「況; bracing」。予測しきれない現実の中で、人がどのように身構え、日常を生きるかという視点を衣服に落とし込んだ。
不確実な時間に対する「備え」を軸に構成
本コレクションでは、未来を見通すことの難しさを前提に、限られた時間の中でどのように行動し、選択していくかという感覚に焦点を当てた。変化に対して揺らぐ姿ではなく、状況に応じて身体を守りながら前へ進む姿勢を肯定的に捉えている。
色や構造においては、防御や意志を感じさせる要素を取り入れ、変化や偶発的な出来事に対して主体的に向き合う態度を示した。日常の延長線上にある不確実性を受け止めるための衣服として位置付けている。
日常を横断する設計、シーンを限定しない服づくり
アイテムは特定の用途に限定せず、生活のさまざまな場面を連続的に捉えた設計とした。室内と外出の境界が曖昧になりつつある現代の生活に対応し、着替えを前提としない運用も視野に入れる。
密閉性や即時性といった要素を取り入れたシリーズでは、突発的な外出や環境変化にも対応できる構造を採用。日常の延長としての外出や活動を想定した実用性が特徴となる。
セカンドスキンの進化と身体性へのアプローチ
ブランドの継続的なテーマであるセカンドスキンは、カットソーとして展開し、軽やかで持続的な着用を可能にする構成とした。素材の重なりによって、室内着に近い快適性と外出着としての機能を両立させている。
また、身体の構造に着目したデザインも引き続き展開。肩周りの可動域や骨格を意識したハーネスディテールを取り入れたアイテムは、ジャケットやビスチェ、ショートパンツとして具体化した。
ジャンプスーツは伸縮性のある素材を用い、装飾を抑えた中にポケットや襟のバリエーションを加えることで、着用者の動きや選択によって印象が変化する設計とした。レイヤリングやドレーピングといった手法も継続し、身体との関係性を軸にした造形を強めている。
衣服を通じて感覚を引き出す試み
本コレクションでは、衣服を単なる外装ではなく、感覚や思考を喚起する媒介として位置付ける。日常の中で繰り返される着脱や重ね着の行為を通じて、自身の状態や時間の流れに意識を向けるきっかけを提示した。
合理的に整理しきれない現実の中で、個人がどのように意味や一貫性を見出すかという問いを背景に、都市生活の中での身体と感覚の在り方を探る内容となっている。
木村は今回のコレクションについて、「2025年7月5日にあったとされる予言がきっかけになっています。その中で“赤い月”という出来事があって、そこから未来への怖さや、時間には限りがあるという感覚にすごく心が動かされました」とコメント。
その上で、「だからこそ、今をどう生きるか、日常をどう過ごすか、どんな着こなしでその時間に向き合えるのか、ということを考えながら制作しました」と説明した。
コレクションの具体像については、「朝起きてパジャマのように着られるものから、少し着替えれば運動に行けたり、通勤や夜の外出まで対応できるようにしています」とし、「寝ている時間も含めて、どの場面でも急な出来事に対応できるような服を意識しました」と述べた。
また、「日々の日常を大切にしたいという思いがあって、セカンドスキンのシリーズには新しく機能を加えています。スキンケア効果のある素材を使って、インナーとしてケアしながら過ごしてもらえたらいいなと思っています」と話す。
今後については、「日本だけでなく海外の方にも見ていただきたいですし、ブランドを象徴する素材にさらに機能性を加える実験を続けながら、女性にとってより良いものを届けていきたいと思っています」と語った。
ムッシャン(mukcyen)2026年春夏コレクション LOOK




























