
プーマ ジャパンは2025年6月4日、東京都内で新作ランニングシューズ「FAST-R NITRO™ ELITE 3(ファスト アール ニトロ エリート スリー)」の発表会を開いた。2025年秋冬シーズンの製品を紹介する「PUMA 2025 Autumn / Winter Press Preview」の一環として実施されたもの。会場では、東京マラソン2025で日本人トップとなったプーマ契約の陸上選手、市山翼選手を迎えたトークセッションも行われた。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
「FAST-R NITRO™ ELITE 3」は、軽量性と推進力を両立したトップレーシングモデルで、プーマのグローバルキャンペーン「GO WILD(ゴー ワイルド)」のメッセージ「自分らしく、思うがままに走る」にも呼応する最新作となる。アスリートによる実走テストを経て開発され、2025年4月のボストン・マラソンにあわせて初披露された。


製品の最大の特徴は、その軽さにある。前作モデルから約95グラムの軽量化を実現し、27.0センチで約170グラムと、プーマ史上最軽量のシューズとなった。軽量素材「ULTRAWEAVE(ウルトラウィーブ)」をアッパーに、反発力を備えた「NITROFOAM™ ELITE(ニトロフォーム エリート)」をミッドソールに採用。内部には独自のカーボンプレート「PWRPLATE(パワープレート)」を搭載し、エネルギー効率と推進力の両立を図った。
同社マーチャンダイジング本部の安藤悠哉氏は「コンセプトは『速さむき出し』です。着用したランナーが力とスピードを存分に発揮できるように、という思いが込められています。また、特徴の一つであるカーボンプレート部分は外から見える構造となっており、外観からも“むき出し”を体現する、非常にユニークな仕様です」と語る。シューズのドロップ(かかととつま先の高低差)は8ミリ。かかとが最大40ミリ、つま先が32ミリと厚底設計ながら、軽量化と安定性のバランスを保っているという。
米マサチューセッツ大学で行われた研究によれば、「FAST-R NITRO™ ELITE 3」を着用することで、ランニングエコノミー(走行効率)が3.15%向上したことが実証された。これは、フルマラソンを3時間で走るランナーに換算すると、最大で約4分30秒のタイム短縮が見込める数値という。

トークセッションに登壇した市山選手は、実際に着用して感じたことについて「陸上競技をするうえで、軽さは非常に重要だと感じています。実際にこのシューズを履いたとき、本当に履いているのかと思うほどの軽さがありました。少し言いすぎかもしれませんが、それほど軽く感じられるシューズです」と話した。
また、反発力についても「前作と比べると、反発感が明らかに強くなったと感じています。自分がこのくらいのスピードを出したいと思っている以上に、反発が返ってくるような構造になっていると感じました」と高く評価した。
同製品は、プーマのグローバルプロジェクト「PROJECT 3(プロジェクトスリー)」でも使用された。この取り組みでは、90人のサブエリートランナーが実際のレースで着用し、合計で約1時間52分のタイム短縮が記録されたという。なかには11分以上自己ベストを更新したランナーもいた。
発表会では「GO WILD」キャンペーンについても紹介された。「勝利だけでなく、走ることそのものを楽しむ」ことをテーマに掲げるこのキャンペーンに対し、市山選手は「ランニングは自分にとってストレスを発散する大切な手段になっています。毎日走っていると、『今日は走りたくないな』と感じる日もありますが、ランニングを“ストレス発散”と捉え、気持ちを切り替えることができれば、継続にもつながりますし、走ること自体を楽しめるようになります」と話した。
今後の展望について、市山選手は「今年のベルリン・マラソンでは、日本記録を視野に入れています。当日はプーマのシューズを着用する予定です」とコメント。
「東京マラソンでは、前半30キロで少し守りに入りすぎたと感じています。そのため今回は、30キロまでの5キロごとのラップを、1本あたり15~20秒ほど速くできればと考えています。前半のペースアップに向けて、FAST-R NITRO™ ELITE 3をしっかりと体になじませられるよう調整しています」と意気込みを語った。
価格は税抜き3万5000円。プーマは今後、日本国内でもトップランナーへの導入を進め、さらなる拡販を図る方針だ。
「FAST-R NITRO™ ELITE 3(ファスト アール ニトロ エリート スリー)」発表会


