
日本メンズファッション協会が主催する「第44回ベスト・ファーザー イエローリボン賞」の発表・授賞式が、2025年6月4日に東京都内で開かれ、歌手・タレントのDAIGOさんや、青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督の原晋さんらが登壇した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

ベスト・ファーザー賞は、明るく楽しい家庭を築いている父親や、母親や子どもから見た素敵な父親、ユニークな子育てをしている父親など、さまざまな意味でその年もっとも素敵なお父さんに贈られる賞。
今年は、埼玉県知事の大野元裕さん(政治部門)、牛乳石鹼共進社社長の宮崎悌二さん(経済部門)、歌手・タレントのDAIGOさん(芸能部門)、青山学院大学地球社会共生学部教授で陸上競技部長距離ブロック監督の原晋さん(学術・スポーツ部門)、アルプロン代表取締役の坂本雅俊さん(特別部門)の5人が受賞した。
また、ベスト・ファーザー賞の受賞者の中から、もっとも輝いていた父親に贈られる「スマイルひまわり賞」には、DAIGOさんが選ばれた。
当日は、似顔絵作文コンクールの表彰式とあしなが育英会へのチャリティーと目録贈呈も行われた。似顔絵の部は「かがやいているおとうさん」を描いた勇陽太君が受賞した。作文の部は「今夜も、洗濯機の前で」を書いた安田綾乃さんに贈られた。
第44回ベスト・ファーザー賞芸能部門:DAIGOさん

DAIGOさんは「わかりやすく言わせていただきますと、MAK。身に余る光栄です。父親としてはまだ5年弱で、新米に近いんですけれども、子どもたちにとってベスト・ファーザーと思ってもらえるように、日々頑張っていきたいなと思っています」とあいさつ。
「僕は料理番組をやってまして、妻(北川景子さん)も女優をやってまして、とてもきれいな女優で」と会場を笑わせた上で、「妻が連続ドラマの撮影などで忙しい時は、僕が料理をして、ちょっと家庭を支えたりしています。子どもが食べやすいものとか、これだったら食べてくれるかなとか、日々考えながら作っています」と語った。
さらに、「今日も朝、家族全員がいつもより少し寝坊してしまって。じゃあ僕がお弁当を作るので、妻が朝ごはんを食べさせたりと、あうんの呼吸で役割分担しています。
昨日も子どもが朝4時に起きまして、気づいた方が対応するというシステムなんですけど、僕が早く起きたので、お腹がすいて泣いているのかなと思ってミルクを作ってあげて、また寝かせて……という感じで。
もう抱っこしながら片手でミルクを作るようになってます。少しずつスキルアップしていきたいという、そんな思いです」と、家庭でのエピソードも披露した。
ベスト・ファーザー賞の授賞については、「妻にも伝えたんですけれども、『そういうふうに思ってもらえるのは、すごく光栄なことだよね』と話していました」と語った。

また、「スマイルひまわり賞」の授賞式では、「本当に素敵な賞をいただき、とても光栄です。一言で言わせていただきます。WKF、笑う門には福来る。これからも笑顔で、仕事も人生も歩んでいきたいと思っております」と話した
第44回ベスト・ファーザー賞学術・スポーツ部門:原晋さん

原監督は「作戦を言いますと、『ひまわり大作戦』でしょうか。普段、子どもたちをすくすくと天高く育て、そして明るく周囲を照らす――そんな子育てができる父親になっていきたいと願い、『ひまわり作戦』と思っております」と語った。
「実は私たち夫婦は、残念ながら子どもは授かりませんでしたが、現在は部員が53人、町田寮では41人の学生たちと同じ屋根の下で暮らしています。夫婦で二人三脚、ある意味“子育て”をさせていただいているようなもの。本当ににぎやかな大家族でございます」と続けた。
寮母として支える妻の原美穂さんについては、「監督の監督は原美穂ですね。夫婦というよりは同志で、時には大げんかになることもあります。けんかをすると、廊下中に声が響き渡るんですね。
翌朝、妻は寮母として食事のサポートをしています。すると、学生たちが寄ってきます。私もそこに行くのですが、学生がどちらの味方につくかといえば、99パーセントが奥さんの方なんです。一部の学生が私の方に来て、『監督、昨日は激しくやってましたね。どうせ監督が悪いんでしょう』なんて言うんですね」と、笑いを交えてエピソードを紹介した。
また、「妻は『まさかあなたがベスト・ファーザー賞。すごいね。監督の監督は私だから、あなたの人格を変えたのは私。私にもちゃんとお礼を言いなさいよ』と言っていました。
日ごろは面と向かってお礼はできませんが、こうしてベスト・ファーザー賞をいただけたのも、妻のおかげです。妻・原美穂あっての受賞だと思っております」と感謝の気持ちを語った。
また、授賞式後の囲み取材では、1983年に第2回ベスト・ファーザー賞を受賞した長嶋茂雄さんに関する質問もあった。
原監督は「ある意味、私には長嶋茂雄さんや野球界に対する嫉妬のような気持ちがあったのかなと思います。長嶋さんによって、野球界はほかの競技団体よりもはるかに“格”の高い存在になったと感じています。
一方で、私たちの世代にとっての全スポーツのスーパースターは、まさに長嶋茂雄さんでした。選手時代、そして監督時代の“魅せる野球”“魅せるスポーツ”というものを、改めて本当にすごいなと感じていました」と語った。
さらに、「ですから、私自身も箱根駅伝に対して、“魅せる”や“普及”といった側面を意識しながら取り組んできました。例えば『丸丸大作戦』もそうですし、往路で順位が下がっても復路で巻き返す、最後まであきらめずにレースを捨てないような指導もしてきました。
また、表現力豊かなコメントも、私はスポーツ、駅伝を通じて届けてきたつもりです。自然と、尊敬する長嶋茂雄さんの生きざま、“魅せるスポーツ”という考え方が、自分の中に入り込んでいるのだと思います。
これからもスポーツは“修行”ではなく、魅力があり、楽しく、感動を届けるものだということを、駅伝を通して伝えていきたいと思っています」と思いを語った。
第44回ベスト・ファーザー賞政治部門:大野元裕さん

埼玉県知事の大野元裕さんは、「“日本で最も素晴らしい父親”と言われた瞬間、正直、逃げ出したくなりました。政治家、特に知事という立場では、多くの方に表彰状や感謝状をお渡しする機会はありますが、自分がいただくことは滅多にないので、大変うれしく感じています」とあいさつした。
また、県政の重要テーマの一つとして子育て施策を掲げており、「『子ども型の社会』をつくり上げることを目指しています。たとえば、現在、埼玉県では全国で最大規模の子ども食堂ネットワークを展開しており、多くの子どもたちにしっかりと食事をしてもらい、お腹いっぱいになってほしいと願っています」と語った。
さらに、「最近、特に取り組んでいるのが『小1の壁』です。保育園には預かってもらえたのに、小学校に上がると朝預かってくれなくなり、保護者が会社を辞めざるを得なかったり、勤務形態を変えざるを得なくなったりする現実があります。この『小1の壁』を解消するための国の制度はまだ整っていないため、県として補助金を設け、市町村に取り組んでいただけるように力を入れています」と述べた。
第44回ベスト・ファーザー賞経済部門:宮崎悌二さん

牛乳石鹼共進社社長の宮崎悌二さんは、「このような大変栄誉ある賞をいただき、驚くと同時に、うれしく思っております。妻からは開口一番『なんであなたが?』と言われましたが、私自身も『なんで俺が?』と思ったのを覚えております」と笑顔を見せた。
「仕事柄、出張で家にいないことも多く、息子から『あと何回寝たらまた会えるの?』とよく聞かれるような生活をしていました。これを機に、もう少し家に帰って、子どもと接する時間をつくりたいと思っています」と語った。
第44回ベスト・ファーザー賞特別部門:坂本雅俊さん

特別賞を受賞したアルプロン代表取締役の坂本正寿さんは、「私こそ“ミスター子煩悩”、世界一の子煩悩だという自負がありますので、よくぞ私を発掘していただいたなという思いです。
そして、私の本当に愛する、私たちの“最高傑作”とも言える娘も、今日ここに来てくれています。本当に自慢の娘で、優しくて素晴らしい子どもに育ってくれましたが、それもすべて妻のおかげです。私がこんなに楽しく仕事に邁進できているのも、“縁の下の力持ち”として支えてくれている妻のおかげだと、あらためて感謝しています」と語った。
「第44回ベスト・ファーザー イエローリボン賞」発表・授賞式













