
ユミカツラインターナショナルは2025年2月20から24日、東京・表参道ヒルズで創業60周年を記念した特別イベント「ユミカツラ 60周年アニバーサリー ブリリアント フューチャー(YUMI KATSURA 60TH ANNIVERSARY Brilliant Future )―次の章へ―」を開催する。また、60周年を機に、ユミカツラ(YUMI KATSURA)は「ライフクチュール(Life-Couture)」を新たなブランドコンセプトとして掲げ、結婚式に限らず、人生の特別な日にふさわしい衣装の創作を進める。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
2月5日に桂由美ブライダルハウス東京本店で開かれた記者会見では、ブランドの今後の方針やイベントの詳細が発表された。鞍野貴幸社長は「100年ブランドとして存続するためには、ブライダルのみで戦い続けることにはリスクがある」とし、「晴れの日の文化を創るという視点で、新たな価値を生み出していきたい」と語った。また、「これまで支えてきたクリエイティブチームとともに、新しい挑戦を続けていく」と、ブランドの方向性を明確にした。
「ライフクチュール」——晴れの日の文化を創る
ユミカツラは、これまでブライダル業界をリードしてきた。しかし、日本国内の婚姻件数減少に伴い、市場環境が変化していることを踏まえ、新たなブランドの方向性として「ライフクチュール」を提案。「晴れの日の文化をつくる」という理念のもと、結婚式だけでなく、卒業式や還暦祝いなどの人生の節目を彩る衣装の提供を目指す。
「結婚式、卒業式、入学式、還暦祝い——日本の晴れの日はもっと多様で、もっと楽しく、もっとワクワクするものであるべきではないか」という発想から、新たな可能性を見出し、ブランドの進化を図る。
60周年記念イベントの見どころ
イベントは、表参道ヒルズの大階段と地下の展示スペース「スペースオー」で開催される。
大階段では、「ライフクチュール」を象徴する最新のウエディングドレス、アニバーサリーウエディング、友禅を取り入れたオートクチュールドレス、ユミカツラが新たに提案する日常のエレガンスウエア、エフ(kyf)を展示する。
「スペースオー」では、ユミカツラの60年の歴史を振り返る「ヒストリーロード」が設けられ、希少価値の高いオートクチュール作品約50点を展示。さらに、この日のために制作された特別なロングトレーンのウェディングドレスも披露され、特設映像でデザインの変遷を紹介する。また、過去の花嫁の結婚写真をスライドで紹介し、ブランドの歩みを伝える。
クリエイティブチームの藤原綾子さんは、「これまでの歩みをしっかりと知っていただき、これからの展開を実際に見ていただきたい」とし、飯野恵子さんは「新たな試みとして、これまでの技術をそぎ落とし、新しい視点で再構築する挑戦を行う」と述べた。また、森永幸徳さんは「過去の代表作だけでなく、未来のユミカツラの方向性も感じられる展示にしたい」と語り、それぞれの視点からブランドの魅力を発信する。
また、新たな試みとしてシークレットオークションを開催。厳選されたクチュールドレスを出品し、実際に着用できる形でオークションにかける予定だ。加えて、イベント会場にはショップエリアも設けられる。来場者は、実際に手に取って品質を確かめながら、ブランドの世界観を身近に感じることができる。また、限定アイテムとして、限定デザインのミニチュアドレスなども販売される。
会見では今後の海外展開や東京でのショー、デザインなどについても答えた。
海外展開の現状と展望
ユミカツラはアメリカ市場において「ユミカツラ ニューヨーク」というブランド名で展開し、現地の商圏に合わせたブランド戦略を進めている。また、中国市場でもブライダル事業を展開し、過去にはパリオートクチュール・コレクションにも参加した実績がある。
鞍野社長は「長期的な目標として、オートクチュールブランドとして世界市場に再び進出することを視野に入れています」と語る。さらに、「高級クチュール市場に向けたドレスの提供を継続し、それを強化していくことが、ユミカツラがクチュールブランドとしての地位を確立し続けることにつながる」と述べた。
日本でのショーの今後の展開
東京ではコレクションを継続的に実施しており、2026年2月にも何らかのイベントを開催する予定だ。
「詳細な計画は未定ですが、ブランドとして2026年2月にはイベントを実施することを考えています」と鞍野社長。また、森永さんは「バイヤー向けのショーは今後も継続し、さらにマスコミや若い学生の方々を招待し、より広く発信する仕組みを検討しています」と語った。
デザインへの思い——クリエイティブチームの視点
桂由美の不在を感じさせることなく、クリエイティブチームは彼女の精神を受け継ぎながらデザインに取り組んでいる。
「『桂だったらこうするだろう』と常に考えながら、一緒にものづくりをしているイメージがあります。今回のコレクションも桂とともに作り上げた感覚が強いです」と森永幸徳氏は語る。
藤原さんは「桂がいなくとも、私たちはユミカツラの感覚でドレスを作り続けています。前回のコレクションのフィッティングでは、桂が一つひとつのドレスに拍手を送っていたのを覚えています。それがすべてを物語っていました」と述べた。
飯野さんは「伝統を守るだけでは未来へ進むことはできません。新しい『ユミカツラ』とは何かを模索し続けることが、私たちの使命だと考えています。ブランドの基盤をしっかり支えながら、新しい世代に継承し、彼らのアイデアをユミカツラの世界観へ落とし込んでいく。それこそが、これからの私たちの課題であり、本当の勝負です」と話した。
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