「世界でも見たことがないようなショーでした。子どもたちの元気でわくわくした姿に、彼らの明るい未来と希望を感じました。これまで多くのショーを経験しましたが、これほど楽しいショーは初めてです。この取り組みを一度きりで終わらせず、日本の文化を支えるためにも継続していきたいと思います」と語るコシノヒロコさん。
東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京は、2024年12月1日、東京・渋谷の文化服装学院で、ネクスト・クリエイション・プログラム「こどもファッションプロジェクト」のファッションショーを開催した。観覧の申し込みは定員を超えた。Text : Shinichi Higuchi(樋口真一)。画像はオフィシャル写真
ネクスト・クリエイション・プログラムは、芸術文化をより深く、より高度に学ぶことを目的に、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京が2024年度に開始した事業。その一環として、ファッションデザイナーのコシノヒロコさんが監修した「こどもファッションプロジェクト」が実施され、一般公募で選ばれた小学生から18歳までの93人が参加した。
参加者は、洋服のデザイン、演出、スチールカメラ、動画撮影、編集、スタイリスト、ヘアメイク、ファッションジャーナリスト、モデルのコースに分かれ、第一線で活躍する講師陣の指導を受けながら実践を重ねた。今回のファッションショーは、このプロジェクトの集大成となるもの。
ショーでは、10人の子供がデザインした服が披露された。発表された作品はヒロココシノのスタッフが子どもたちの感性を尊重し、服に仕上げたもの。手拍子が響く中、子どもモデルたちは堂々とポーズを決めたり、バレエダンサーやフィギュアスケート選手のような動きを見せたりして観客を楽しませた。また、コシノヒロコさんがこのプロジェクトのためにデザインしたドレスも披露された。
後半では、ヒロココシノの2024/2025年秋冬コレクションを着たモデルコースの40人が、カラフルチーム、トラベルチーム、モノトーンチーム、クチュールチームの4つのグループに分かれてランウェイを歩いた。子供モデルの着る服は子どもサイズではなく、ヒロココシノ2024/2025年秋冬コレクションの製品をそのまま子どもの個性に合わせてコーディネートしたもの。
「大人が着るとチュニックになる服が、子どもたちが着るとロングになったりと、見た目は変わりますが、全然変じゃないんです。むしろ、子どもが着ることで新鮮で、また違ったデザインに見えました」とコシノヒロコさん。
また、スチールカメラコースの参加者は、ステージ下を移動しながら最新のミラーレスカメラで撮影を行った。ファッションジャーナリストコースの参加者は、最前列のプレス席でメモを取り、ショー終了後にステージ上でコシノヒロコさんへのインタビューを行った。
また、小池百合子東京都知事から子どもたちに向けて、「今日の舞台を目に焼き付け、この経験を大切にしてほしい。きっと未来にとって貴重な宝物になるはずです。これからの活躍を期待しています」との応援メッセージが寄せられた。
コシノヒロコさんは今回のファッションショーについて、「子どもたちが送ってきたデザインには未熟な部分もありましたが、その中に独特の個性を見つけ、素のままの良さを引き出すことに注力しました。デザインを形にしていく過程で、子どもたちは『自分が描いたものがこんなふうになるんだ』と驚き、大きく成長しました。
2~3日間かけて全員が協力し、これまで考えられなかったような面白い作品が完成しました。遊び心が加わり、見た人が楽しいと感じる服ができあがったと思います。子どもたちの洋服は、私たちがこれまで手がけた製品よりも数段面白いと感じました。
現実にはありえないような世界かもしれませんが、それこそが子どもの良さ。この良さを引き出すことが今回の大きな目的であり、成功だったと思います」とコメント。
また、子供たちの作品とともにコシノヒロコさんの作品やコレクションを発表したことについては、「子どもたちは最初にデザイン画を描き、私も一緒にその場でデザインを描きました。その後、生地を選び、ピンワークという工程に進みました。私は実物大でピンワークを見せ、子どもたちは小さなミニチュアで作業しました。最初は模倣から始まりましたが、作業を進めるうちに十人十色の個性が表れ、物静かだった子が積極的になったりと、大きな成長を感じました。
久しぶりに子どもたちと接し、純粋な瞳を見るだけで涙がこぼれそうになるほど愛おしく感じました。こうした経験を通じて、子どもたちにさまざまな刺激を与えたいという思いが強まりました。まるで母親になったような気分でした」と話した。
次回については、「同じことを繰り返すのではなく、全く違う切り口で挑戦したいと思います。『ネクスト・クリエイション』という名前の通り、次に何をどう新しく試みるかが課題です。来年は全く新しい形になると思います」と強調した。
ネクスト・クリエイション・プログラム「こどもファッションプロジェクト」のファッションショー
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