アシックスは、サーキュラーエコノミーの実現に向け、廃棄していたデッドストックなどを原料に使用したスニーカー「ネオカーブ(NEOCURVE)」を新たに開発した。スポーツスタイルカテゴリーで、11月1日からヨーロッパ限定で発売する。価格は250ユーロ。
「ネオカーブ」アシックスの新プロジェクトでデッドストックをリサイクル
同商品は、一方的に消費され廃棄されるリニアエコノミーからの脱却を図り、廃棄予定だった製品を再利用して新たな製品を生み出し、スポーツやファッションをより楽しめるサーキュラーエコノミーの実現を目指すプロジェクトとして展開するもの。
アシックス製シューズのデッドストックをはじめ、サンプル品や自社規定を満たさず販売できなかった製品などをリサイクルし、材料の一部として活用した点が特徴。シューズの回収から解体、材料化、デザイン、製造、販売までをヨーロッパ圏内で行い、CO₂排出量の削減にもつなげている。
リサイクル率25%の「ネオカーブ」、環境に配慮したサプライチェーンの構築
使用されなかったこれらのシューズは、アシックスが提携するオランダのシューズリサイクル大手「ファスト フィート グラインド(Fast Feet Grinded)」によって独自技術で分解され、フォーム材、ゴム、繊維、皮革、金属、その他の材料に分類される。各材料は、シューズに求められる強度や耐久性を満たす品質に仕上がるまでテストが繰り返され、アッパー、靴底、ミッドソール、中敷きなどに採用されている。再生した材料はシューズ全体の約15%に使用され、再生材料全体での使用比率は約25%となっている。
オランダ「スタジオ ハーゲル」とのコラボレーションによるデザイン、流線形メタリックで現代風に
商品名「ネオカーブ(NEOCURVE)」は、新しい(NEO)生産方法であるサーキュラーエコノミーの実現に向け、既存のリニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの転換点(CURVE)となるシューズにしたいという思いから名付けられた。デザインは、オランダのデザインハウス「スタジオ ハーゲル(Studio Hagel)」とのコラボレーションした。2000年代初期のシューズアーカイブを現代風にアップデートし、靴底を厚めに設計しながら、グレーやシルバーを基調とした流線形のメタリック調に仕上げている。
デジタルツールでの効率化と資源活用、アシックスのサステナビリティへの取り組み
アシックスは、よりサステナブルなものづくりを目指し、シューズの物理サンプル製作の削減に向けてデジタルツール「スリーディーシューズビューワー(3D Shoes Viewer)」を開発し、デジタル技術を活用して生産数を最適化するなど、限られた資源の有効活用に努めている。今回は、その過程でやむを得ず発生する、使用されずに廃棄予定となったシューズに着目し、再生を目指す企画とした。開発にあたっては、サプライチェーン全体でのCO₂削減も考慮し、シューズの回収から「ネオカーブ」の生産、販売までを、外部企業とも連携しながらヨーロッパのみで実施できるようにした。
サーキュラーエコノミーを目指したモデルの有効性 – 今後のグローバル展開も視野に
多くのスニーカーやスポーツシューズは複数の材料で構成されており、それらを分解、粉砕、材料化し、新たにスニーカーやスポーツシューズを製造することは難しいとされている。今回取り組んだ、廃棄予定のさまざまな種類のシューズを分解、粉砕、材料化し、それをスニーカーに活用する事例は、スポーツブランドとしては初めて(アシックス調べ)。アシックスは「今後、サーキュラーエコノミーの実現に向けた新たなモデルとしての有効性を検証しながら、ヨーロッパ以外での開発の可能性を模索し、リサイクル材料の他産業での利用も検討していく」としている。
アシックスの村岡秀俊サーキュラーエコノミー推進部部長は「今回のプロジェクトは、捨ててしまうものから新しいものを作ることができるかというシンプルな疑問から始まりました。アシックスでは、最適化された生産、デジタルサンプル、製品の寄付プログラム、ニンバスミライ(NIMBUS MIRAI)の開発など、廃棄物を極力減らす取り組みに尽力していますが、一部の製品は顧客に渡らないままです。ネオカーブの開発により、これらの製品に再び光を当て、第二の人生を与えることができることが証明されました。今後も、循環型のものづくりのために何ができるかを検討していきたいと考えています」とコメントしている。
商品概要
品名:ネオカーブ(NEOCURVE)
価格:250ユーロ
カラー:ブラック×ピュアシルバー、ピードモントグレー×ピュアシルバー
サイズ:EU37~46(15サイズ)
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