アンリアレイジ(ANREALAGE)は、2025年春夏パリコレクションの2日目の9月24日、2025年春夏コレクションを発表した。Photos: ©Koji Hirano
同ブランドはリリースで以下のように書いている。
今回のコレクションのコンセプトは「WIND(風)」。
ファッションとテクノロジーの境界を探求し続けてきたアンリアレイジの森永邦彦は、2025年春夏コレクションで風を利用して服に命を吹き込み、目に見えない風の力を可視化し、新たなシルエットを作り出すテーマに挑んだ。
日本や世界各地の厳しい暑さに対し、森永はテクノロジーを駆使した「クールウェア」のワードローブを提案した。この衣服は風に形作られながらも防風機能を備え、日本のファン付きウェアの先駆者「空調服」とのコラボレーションでデザインされた。素材は髪の毛の約3分の1の太さの糸で織られた気密性のある生地で、世界で最も薄いナイロンテキスタイル(1平方メートルあたり23グラム)を使用している。
スマートフォンのアプリと衣服が接続され、リモートコントロールで衣服内蔵のファンが風を生成し、ドレスが膨らんで非現実的なプロポーションを描く。風船のようなシルエットが出現し、旗のように風により形成される形が翼やバブルのようなボリュームを生み出し、昆虫や未知の生物を思わせる。
グラフィカルな切り替えが施されたウインドブレーカージャケットは、風を内包することで涼感機能を持ち、暑さから身体を守るシールドに変化する。シースルーのオーガンジーやツイード風の素材も、防風加工により衣服と身体の間に風を充満させることができる。クチュール風のルックは風が送り込まれることで、フォーマルな装いから驚くべきシルエットに膨らみ、風が止むと布は柔らかくドレープを描いて垂れ下がる。
また、グラフィックデザインを通じて風の可視化を試みた。通常のグラフィックプリントは重力に従って整列しているが、風が吹いたと仮定し、花柄の花びらが舞い、水玉や市松模様、千鳥柄やタータンチェックまでもが空間を舞うようなグラフィックをデザインした。風が送り込まれることで、テーマである風を服のフォルムと視覚的なビジュアルで表現している。特に、風が服に送り込まれることで、軽やかに宙に舞うテキスタイルの膨らみが際立つため、1平方メートル23グラムの世界最軽量のテキスタイルを採用し、軽くしなやかな風合いを実現した。
プリントには、京セラが開発した水をほとんど使わないサステナブルなインクジェットプリンター「FOREARTH」を使用。この選択は、風と水の密接な関係性を意識したものである。風は海に波を起こし、蒸発した水が雲を生み、地上に雨を降らせるなど、風と水は環境にとって切り離せないものだと考え、FOREARTHの特徴がテーマに親和性があると感じたためだ。
森永は、地球の新たな課題に対応するテクノロジーと、ファッションにおける自由さと遊び心を融合させ、詩的で奇妙、かつ前向きな未来像を描き、想像力を刺激する。現実と非現実が風という見えない力で結びつけた。