東京都が日比谷公園で「Playground Becomes Dark Slowly」を開催。会見には西内まりやさんがスペシャルゲストとして登壇

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東京都は4月27日から5月12日まで、日比谷公園でPark×Art 日比谷からはじまる新たな公園のかたち「Playground Becomes Dark Slowly」を開催している。開催に先駆けて4月26日に記者会見が行われ、今回のプレスイベントのアンバサダーである、モデル・俳優・音楽アーティストの西内まりやさんがスペシャルゲストとして登壇した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

四季を通じた花と光の演出によって公園の新しい楽しみ方を提供する「花と光のムーブメント」を実施している東京都。「Playground Becomes Dark Slowly」は、「花と光のムーブメント」に、誰もが自由な発想で感じることができる「アート」を加えることで、 公園のさらなる楽しみ方を提案するアートインスタレーション。

コンセプトは「公園という都市の隙間の中で 変化していく日の光を感じながら、自然への想像力を駆り立てること」。山峰潤也さんがキュレーターを務め、大巻伸嗣さん、永山祐子さん、細井美裕さんの3人のアーティストが参加。永山さんの「はなのハンモック」(会場:第一花壇)と「はなの灯籠」(会場:心字池)、大巻さんによる「Gravity and Grace」(会場:草地広場)、公園が受け入れてきた日常の断片を音で再構築し、細井さんが日比谷公園のリサーチを通じて制作した音声作品を公開する「余白史」(サウンドインスタレーション) (園内各所)など、企画や展示を通して、アート体験を楽しむことができる。

週末には永山さんによる「はなの灯籠」に参加できるワークショップイベントを開催。さらに、イベント会期中の土・日・祝日には、キッチンカーを出店し、軽飲食の販売を行うマーケットイベントも実施する。

記者会見で、東京都生活文化スポーツ局の古屋留美局長は「日比谷公園は120年前に設置された非常に歴史の深い伝統ある公園ですが、洋花を初めて都民の方にお目にかけたり、公募で松本楼に公園の中の一軒家のようなレストランとして入っていただいたり、野音(日比谷公園大音楽堂)で洋楽を公園で初めて提供したり、非常にチャレンジングな取り組みを重ね、新しい価値を提供してきました。今回はどなたでも入り口になるアートを加え、より皆さんに楽しんでいただける公園にしたいということから今回このプロジェクトをお願いしました」とあいさつ。

山峰さんは「2つの時間ということを考えました。1つ目は幼少期、もう1つは大人になってから。子供から大人へ変わってくと公園の存在というものが違って見えてくる。公園は異なる時間、それぞれの人たちの物語がある場所だと思うんです。そこで、Playgroundを象徴とするような『はなのハンモック』を永山さんに、夜の暗がりの中で輝く『Gravity and Grace』を大巻伸嗣さんに作っていただきました。また、その2つの象徴的な存在とは全く逆側のベクトルから、たくさんの人たちが集めてくれた音によって、いろんな人たちの物語を感じることができる細井さんの作品と、様々な方向からの展開を考えてこのような企画とさせていただきました」と説明した。

また、大巻さんは「(「Gravity and Grace」は)震災の後の原子炉の問題、私たちが関わらざるを得ないエネルギーの問題など、社会における見えない重力とその音調は何だろうということを、震災以降の私たちの日常の中で問うために作った作品です。昨年、国立新美術館で展示することはできましたが、公園にアート作品が加わったら、どんなような空間が生まれるか。アートが日常空間に立ち現れたときにそれはアートになるのか。また、その関わりがどういうものを生み出していくのかということに挑戦できるんじゃないかと思っています」。

永山さんは「お話を頂いて、日比谷公園を訪れ、どこに何を置くと、この公園を新しい形で体験することができるのかという目線で、いろいろ見て回りました。1番最初に目に入ったのが、この広い芝生の広場。ふだんは遠くから観賞するものと触れ合ってみたい、こういうハンモックがあれば、お花畑に寝っ転がる感じを体験ができるんじゃないかと考え、木を中心にハンモックを作りました。実は、このハンモックは、以前別のイベントでも使った、漁網をリサイクルしたハンモックです。こういった体験型の場を作るのにすごくいいんじゃないかということで再利用しました。お子さんだけでなく、夜になるとライトアップが綺麗(きれい)なので大人のカップルの方が使ってもいい。オフィス街の方たちも結構いらっしゃるので、ここでオンラインミーティングなどをしてもらってもいいと思ってます」とコメント。『はなの灯籠』については、「光と花をセットにして浮かべる体験型のワークショップをすることによって、水辺に近づくきっかけができるのではないかと。日比谷公園にはいろいろなものが、いろいろな場所に、ポテンシャルの高い状態であるので、私が作った作品を通して自分にとっての日比谷公園を発見し、体験してもらえたらと思っています」などと話した。

細井さんは「大巻さんと永山さんが圧倒的なビジュアルの作品を作られることは把握していたので、音に振り切っても大丈夫そうだと思い、日比谷公園の音を公的にアーカイブするというリサーチベースのプロジェクトになりました。具体的には、私が信頼している作家さんやサウンドエンジニア、研究者の方などに1か月ぐらいかけて、日比谷公園のいろんなところを彼らの主観で録音していただきました。将来的に音のデータから環境の状況を分析する可能性も踏まえて、可聴域ではないものすごい低い振動とものすごい高い音など、ふだん聞こえてないこの環境をキャプチャーするための音データの収録も合わせて行って、合計で50人以上の方に参加してもらっています。アウトプットとしては、公園の園内放送のスピーカーのみを使用し、公園が過去を鳴らしてきた音を、今この瞬間の音と重ねて出せたらいいなと思ったので。過去の音が聞こえたり、何も聞こえないときは今の公園の音を楽しんだりみたいな、そういう感覚になったらいいなと思っています」などと語った。

また、会見前に実際に作品を楽しんだという西内さんは「皆さんの作品を見た瞬間にワクワクした気持ちになりました。 (「はなのハンモック」では)ちょっと童心に帰って、『寝そべってもいいですか』と言って、実際に寝そべってしまったんですけど。お花がたくさん咲いていてかわいいですし、上からこう眺めるっていう機会がないので、じっと見て、時間を忘れるような空間でした。『Gravity and Grace』は近くに行ってみると、動物の絵だったり、人間の進化していく姿だったり、本当に楽しめるんですけど、離れていくと、とっても迫力があって、夜、光がすごく綺麗なんでしょうね」と笑顔。

細井さんの作品について聞かれると「実は私、音フェチなんです。鍵の音とか水が落ちる音とかが好きで、昔からボイスメモを取ったりとかするぐらい好きでした」というエピソードを披露。「耳を澄ませてたら、お母さんが子供にちょっと怒りながら『帰るよ』と言ってる声が聞こえたり、工事現場の音や、そこのテニスコートでラケットに当たる音が聞こえたり。現在と過去がと交えて聞こえることが、すごく不思議な感覚で、五感を刺激されましたし、こういう楽しみ方もできるんだと思って、感動しました。お子様から大人の方まで、性別や国籍も問わず、それぞれの方の感じ取り方で楽しめるので、たくさんの方に来ていただきたいなと思います」などと話した。

「Playground Becomes Dark Slowly」記者会見とメディアツアー

「Playground Becomes Dark Slowly」

会期:2024年4月27日~5月12日
会場:日比谷公園(千代田区日比谷公園)
時間:9:00~22:00
入場:無料・予約不要
特設サイト

https://www.tokyo-park.or.jp/special/2024art_hibiyapark/

ワークショップ 「はなの灯籠」

開催日時:4月27日、5月4日、5月11日。9:00~22:00
場所:心字池周辺
概要:光の粒を携えた花一輪を来場者の手で水辺に浮かべてもらうワークショップ。日中は池の中に色とりどりの花が浮かび、日が暮れると、光の粒が花を一輪ずつ照らし出し、池の中に「花と光の群像」を作り出す。公園を吹き抜ける自然の風にゆらめき、周りの自然と溶け合いながら、ここにしかない風景を生み出している。※ワークショップ開催日の9時から心字池横の東屋で、キットを配布。キットは数に限りがあり、各日準備数が無くなり次第配布終了。

マーケットイベント

イベント会期中の土・日・祝日には、キッチンカーを出店し、軽飲食の販売を実施。アートを鑑賞しながら食を楽しむことができる。
キッチンカー出店日時(予定)
4月27日~29日、5月3日~5月6日、5月11日、5月12日。9:00~22:00

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