榎本光希がデザインするアタッチメント（ATTACHMENT）が2024／2025年秋冬コレクションのルックを公開した。テーマは”causes”。Photos: Courtesy of ATTACHMENT
アタッチメント（ATTACHMENT）2024／2025年秋冬コレクションリリース
最小限であることの思索̶̶それらは常に細部の精査と選択によってもたらされ、ストレスからの解放を標榜しています。ATTACHMENTの哲学を継承する榎本光希にとって、「最小限」とは、「過不足のない」ことと「合理的で有用である」ことの共存を意味し、現代的な生活におけるリアリティの直裁的な表現を見出すことを意味してきました。デザインの単純化とシンプリシティの探索、あるいはノーマリティの概念はその多くに通底しています。
デザイナーはこれまで、ATTACHMENTの具体的なアーカイヴからコレクションに内在する思想までの様々なレガシーを根拠のひとつとし、衣服を構成するカッティング、ファブリック、付属品にいたる多面的な「モノ性」を再考してきました。ことに、モダンアートに着想を得て、身体を基調としたエクスペリメンタルな再構築は主に、簡略化されたシルエットの発見、過剰な装飾性の削除、よりコンフォータブルな素材の再配置によってコレクションを更新してきました。これらは、「服とは人の魅力を引き立たせる付属物である」とする創業以来のブランドのポリシーに対する、榎本の、ひとつの回答でもあります。
2024年秋冬では、こうした帰結を継続しながら、「モノ」の再構成から離れ、デザイナー自身にとって親密な生活環境への適合性が、考察の軸となっていきました: コレクションは、榎本にとってのノーマリティの探索でもあったのです。セットアップを基本としたソフトでフォーマルなラインナップは、カシミアを多用したショートブルゾンやシングルコートの肌触りの充足感や、100%シルクのスカーフ、ウォッシャブルなサキソニー、170番手スビンコットンのシャツ、Super 120 ウールのスリーピースによって、適切な品性に誘引されていきます。
一方、コレクションの秩序には、ダンボール組織の軽妙なスウェットやフリースといったエフォートレスな質感でインフォーマルな要素が加わるだけでなく、継続するピアスリングと、榎本の私物から直接的に引用されたバックルや三連リングといった非デザイン的モチーフによりささやかに解体されています。フォーマルとインフォーマルの冷静な交流は、ブラック、ネイビー、エクリュ、ライトブラウンのデイリーで親近感のある端正な色相に、クリーミーなライトイエローやスカイブルーが 加わり、さまざまな人 肌との新 鮮な調 和がはかられることによってATTACHMENTらしい個人性に還元されていくのです。
アタッチメント（ATTACHMENT）2024／2025年秋冬コレクションLOOK
