第13回全国イタリア料理コンクール「グラン・コンコルソ・ディ・クチーナ(Gran Concorso di Cucina)2022」の決勝戦が12月7日、東京・港区の在日イタリア商工会議所で行われ、神楽坂リ・スカンピ(東京)の松井大樹さんが優勝した。「グラン・コンコルソ・ディ・クチーナ」は日本国内のイタリア料理界を担う新たなシェフの発掘と日本でのイタリア郷土料理の認知度アップを目的として、在日イタリア商工会議所が開催しているもの。当日は決勝に進出した8人のシェフが各自1時間の間に課題の料理を仕上げ、審査員が実食、各賞を決定した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
「Tradition meets Evolution -伝統が革新と出会う-」をテーマに、イタリアに根付いている伝統パスタ料理をシェフたちの目線で再構築した今回。優勝した松井大樹さんが作ったのは「今の日本が作るスパゲティ・ボンゴレ」。アサリに代わり、持続可能な食材として注目されているホンビノス貝と日本の伝統的保存食であるシジミの干物を使うなど、ヴェネチアで食べたスパゲティ・ボンゴレをシェフの地元である千葉の食材を使って作ったという。
松井さんは「優勝するとは全然思っていませんでした。ただ、皆さんが優雅に盛り付けられていたので、ちょっと奇をてらわないと無理だろうなと、個性は持たせたつもりなので、そこだけは秀でていたと思います。お店のメニューに出す予定はないのですが。優勝したので出します」と喜びを語った。
第2位は「牡蛎(かき)と花穂じそ、四川花椒菜のリングイネ からすみがけ」を作ったピッツェリア・ジターリア・ダ・フィリッポ(東京)の廣瀬公彦さん。廣瀬さんはイタリアで最も人気の高いモニーニのオリーブオイルをうまく使ったシェフに与えられる賞とバリラのパスタの特性を生かしたシェフに贈られる賞も受賞。3つの賞に選ばれたが、2位で名前を呼ばれた瞬間、「あーっと」と声を出し、悔しさを表現した。
第3位は「フジッリ リボルノ風」を作った御所南 彩 〜Goshominami Sai〜(京都)の髙相翔平さん。時間オーバーで15点減点されたにも関わらず3位に選ばれた。
また、ジャーナリスト賞は秋田の鴨「秋田シャポン」を使い、ローマのカルボナーラとシェフの故郷秋田のきりたんぽを融合させたXEXTOKYO Salvatore Cuomo Bros.(東京)の早川光さんに決まった。
審査委員長を務めたダニエレ・ロッシさんは「パスタの食感も味もレベルが高い戦いだった。1位と2位、3位もわずかな差。本当においしかったし、クオリティが高かった」と評価した。
決勝進出者(敬称略):
1・早川光 / XEXTOKYO Salvatore Cuomo Bros.(東京)
2・廣瀬公彦 / ピッツェリア・ジターリア・ダ・フィリッポ(東京)
3・直井強 / Cuore(栃木)
4・松井大樹 / 神楽坂リ・スカンピ(東京)
5・仙石周平 / 株式会社東京ドームホテル アーティスト カフェ(東京)
6・小林諭史 / リストランテ フローリア(長野)
7・髙相翔平 / 御所南 彩 〜Goshominami Sai〜(京都)
8・木村忠敬 / RISTORANTE ALVERO(広島)
「Gran Concorso di Cucina 2022」大会審査員(敬称略):
審査委員長
ダニエレ・ロッシ
(イタリア最大料理系ポータルサイト Giallo Zafferanoオフィシャルシェフ。Tiktokで200万人のフォロワーを持つイタリア料理界を代表するインフルエンサー)
審査員
・ピエトロ・アンドロゾーニ(Mamma Luisa’s Table オーナーシェフ)
・ヴィットリオ・コッキ(Mamma Luisa’s Table シェフ)
・ダニエレ・カーソン(マンダリンオリエンタル東京 総料理長)
・エマヌエラ・オリギ(イタリア料理アカデミー東京支部長)
・ダニエレ・グレコ(Clandestino 41)
・グラツィアーノ・デ・アンジェリス(Clandestino 41)
・池田匡克(フードジャーナリスト)