楽天ファッション・ウィーク東京2022年秋冬コレクション(Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/W)が3月14日からスタートした。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
ノントーキョー(NON TOKYO)はデビュタント(DEBUTANT)をテーマに、ロマンティックとともに反戦や平和へのメッセージも感じさせるコレクションを発表した。ブランドの哲学として掲げている「ROMANTIC GEAR」を具現化したコレクションピースを展開する初の試みということからテーマを設定したという今回。天使のモチーフ、天女がまとう羽衣のような薄く軽やかな布、天使の羽根を思わせるディテール、人形のようなドレス。そして、ロマンチックなアイテムとミリタリーやマニッシュなアイテム、フェミニンとマスキュリンのリミックス。リボンの騎士とのコラボレーションは、ジェンダーにまつわる話や、女性らしさ、男性らしさについて描かれていることから行われたという。女性の二面性。90年代にはアバンギャルドだったミリタリーとロマンチックなど、相反する要素の組み合わせは、ファッションとして完全に定着し当たり前のもの、ファッションテクニックのマストになっていたもの、だったはず。しかし、今シーズンはノントーキョーのロマンチックで透明感のあるデザインとミリタリーや眼だけが見えるマスク、メンズライクなアイテムが時としてメッセージに見えてしまう。
ファッションは時代を映す鏡と言われるが、今シーズンはリリースに「このショーを、戦争で被害を受けたウクライナの人々に捧げます」と記し、ウクライナの人々への緊急危機支援を提供する公益財団法人を支援したことを発表したステラ マッカートニー(Stella McCartney)や平和への想いを込めたアンダーカバー(UNDERCOVER)などのブランドも出ている。2020年代を通じてのキーワードとも言われるサスティナブルに続いて、コロナによって無観客やデジタルも当たり前の選択肢の1つになっているが、今シーズンの東京では反戦や平和へのメッセージもトレンドやキーワードになってしまうのか。ノントーキョーの出した天使やミリタリーがトレンドや普通に見え、純粋にファッションとして楽しめる状況に戻ってほしい、そんなことも考えさせたコレクションだった。