東京ニットファッション工業組合がTOKYO KNIT総合展2022を開催

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東京ニットファッション工業組合は2月25日と2月26日の2日間、渋谷ヒカリエ8階COURT&CUBEでTOKYO KNIT総合展2022「語り始めたファクトリー TOKYO KNIT STORY」を開催した。同展は「東京都中小企業団体中央会 特別支援新しい日常対応型業界活性化プロジェクト」として実施されているもの。

一般の認知度をアップするため会場を、これまでのifs 未来研究所サロンから渋谷ヒカリエに変更。インフルエンサーなども招待し、一般の人も見られるようにした今回。TOKYO KNITの認証企業28社が参加。オリジナルブランドとOEM/ODMテキスタイル付属、ベッドフォード(BED j.w. FORD)とTOKYO KNITとのコラボレーション、TOKYO KNIT認証企業3社がスタートしたプロジェクトによるサスティナブルの取り組み「サスティナブルアクション#1」などを紹介した。2日目の26日には、展覧会の締めくくりとして、会場内でソマルタ(SOMARTA)の廣川玉枝さんとTOKYO KNIT認証企業の審査員でもあるWWDジャパン編集長の村上要さんをゲストに迎えたトークショーも行った。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

平成29年度より東京都特別支援「チャンスをつかもう2020プロジェクト」を得て、「TOKYO KNIT」ブランドを構築し、品質と技術を保証するブランド認証制度を導入するなど、ニット産地としての東京の付加価値向上に取り組んできた東京ニットファッション工業組合。2020年にはブランディングの一環としてイタリア・フィレンツェで開催された第97回 ピッティ・イマージネ・ウオモ(Pitti Immagine Uomo 97)に出展するとともに、東京ではifs 未来研究所サロンで凱旋イベントを開催した。昨年もifs 未来研究所サロンで展示会を行った。

また、2021年度は「語りはじめたファクトリー TOKYO KNIT STORY」と題して、D2Cの強化、および情報発信力の強化に力点を置いた活動をスタート。認証企業各社のD2Cブランド事業を発足、昨年12月には公式WEBサイトにD2Cページを構築し、企業が手掛けるブランドや商品紹介だけでなく、ブランドを立ち上げた経緯や、こだわりのポイントなどを紹介している。同時に、各企業の取り組みを取材編集した動画を、公式YouTubeチャンネル『TOKYO KNIT OFFICIAL』で配信する取り組みにも開始。TOKYO KNIT認証企業全22社の活動紹介動画に特別編、総集編を加えた、計24の動画を発信した。

会場では、独自の動体裁断をあえて見せることでデザインにするとともに再生ポリエステルのボタンを使うなどサスティナブルも取り入れた丸和繊維工業=写真上=、同じ版のヒマワリを10種類の手捺染の技術で描いた白黒のTシャツを展示したアートランドなど、各社が技術を駆使したオリジナルブランドやテキスタイル付属を展示し、各社の特徴や取り組みを紹介。楽天ファッション・ウィーク東京2022年秋冬コレクション(Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/W)でコレクションを発表するベッドフォードとのコラボレーション=写真下=も披露した。

YouTube動画でも司会進行を務めた糸編代表の宮浦晋哉さんの司会によるトークショーで、トークショーの前に展示会を見た廣川さんは「TOKYO KNITの仕事は何度かやっていて、工場見学にも行ったことがありますが、全体的にレベルがグッと上がっている。それぞれの企業が持ち味を生かしながら、優れた素材を作っていますし、縫製屋さんもすごく研究していて、すごく完成度の高いプロダクトが出来ているなと思いました」。村上さんは「審査会は短時間なので、今回、新しい発見がたくさんありました。OEM/ODMをやっている企業というと画一的なイメージになってしまいますが、実際に見ると全然違う。こういうところにこだわっているんだ、各社が全然違うんだということがわかって面白いと思いました」とコメント。

トークショーでは、22社の動画の中から廣川さんが選んだアートランドと村上さんが選んだキップスの10分以上の動画を2分にまとめたショートバージョンも紹介。廣川さんは「職人さんたちがそれぞれのこだわりを持って仕事をしているということがわかりやすく伝わってきました。今に至る歴史的な背景やこだわりのプリントでやっていること、社長の田中さんのほわっとしたところもよかったです」と笑顔。村上さんは「目の前の人の幸せを考えてものづくりを出来るというのはすごく幸せなことなんだなと感じさせてくれましたし、共感させてくれました。OEMやODMは着てくれるひとの姿が見えにくかったりしますが、ザ・ローカルという形で行きます、サシで話します、というものづくりをして、目の前の人の幸せを服で実現している。ヘアサロン業界にも通じる、ファッションやビューティ業界本来の意味を教えてくれて、素敵でした」と話した。

日本の産地や工場について、廣川さんは「テキスタイルから始める服作りは日本の強み。日本は着物がファッションだったので基盤が備わっています。織りや染色、加工などが全部ある珍しい国、自国で全てを創れることは貴重だし、価値だと思っています。産地に行って、それぞれの土地にあるおいしいものを食べながら(笑)工場も見て、生地と向き合って『こういうことをしたい』と言うと日本の職人さんたちは努力を惜しまずにやってくれるので他にはないテキスタイルが出来るんです。テキスタイルがそのまま服になってもすごく強いものが出来ると感じていました。今回も、すごくこだわって作ったというオーラのようなものが感じられました」と評価した。

その上で「TOKYO KNITも立ち上がりの頃から見ていますが、最初『どうしよう』『どういう方向でやっていこう』という感じだったのが、今回は完成度が高く、素晴らしいと思いましたし、年々育っていることに、勇気や元気をもらいました。TOKYO KNITという集合体が現れたことで意識が変わった、ゆっくりだけど進化し続けていることに感動しました」などと語った。

村上さんは「みんなが得意なことや好きなことを追求できる環境を自分たちで作っていくことが1番いいと思っています。餅は餅屋。苦手なことは誰かに任せたり、誰かに聞いたり、一緒にやったりすることで、克服していく。そうすることで、創るものがよくなるし、働く人も楽しいんだろうなと思います。TOKYO KNITによって、補い合い、切磋琢磨(せっさたくま)しながら、得意なものを磨き続けられる環境を創っていくということが、ものづくりだけでなく、これからの組織の在り方だと思っています。ディオールのキム・ジョーンズがジュエリーはヨーン、メタルパーツはマシュー・ウィリアムズにやってもらうと宣言したときに、『どうして』と聞いたのですが、そのときキム・ジョーンズが『僕が一生懸命考えても多分あの2人にはかなわないと思う。だったら、得意な人にやってもらって、自分は好きなこと、得意なことをやっていった方がお客様のためでもあるでしょ』と言っていました。それを聞いてから、自分でも餅は餅屋という感覚を大事にしたい、と思っています。3社合同プロジェクトやベッドフォードとコラボレーションなどもいろいろな人が集結して1つのスタイルになるという今のものづくりの在り方なのかなと思っています」と述べた

また、TOKYO KNITのこれからについて聞かれ、廣川さんは「私は伸びる素材が好きなので、ニットが好きなのですが、TOKYO KNITはメリヤスが中心なので、それだけで個性があると思います。伸びる素材は心地いいし、なじみやすいし、動きやすい。それをいい素材で作り、いい縫製ができて、なおかついい加工も出来る。それだけで他にないものが出来るし、可能性がたくさんあります。それが東京にあることはすごい財産だと思っています。その価値を発信していけたらすばらしいし、認知度も高まり、ビジネスという部分も前に進んでいくのではないかと感じました」。村上さんは「産地の皆さんは、いい意味ですごく偏愛な人たちが多い。そこまでこだわる必要がございますでしょうか(笑)と思うような部分にすごくこだわって作っている。産地に行っても、挨拶はぶっきらぼうなのに、商品を語るときにはめっちゃ、ぶわーっと話し始めて、うれしそうに話してくれる。愛を抱き続けるゆえにあふれ出す言葉を恐れずに発信していってほしいと思っています。今回のYouTube動画でもオリジナルブランドを中止したという葛藤を語った会社もありましたが、今の若い世代はかっこいい結果だけを見せられても共感してくれない、そこに至るまでの紆余曲折や葛藤、失敗もすべて含めた上で、共感したいと思っているので、正直な気持ちや悩みを吐露していった方が共感してくれる人が増えると思います。YouTubeは悩みや弱点見せた方が再生回数が上がるプラットフォーム。みんな、本当のことを知りたいので、恐れずに、偏愛を語り続けてほしいと思います」とアドバイスした。

後半の質問タイムの中で「デザイナーの目線で産地を選ぶ基準は」と聞かれた廣川さんは「産地によりますが、やっぱり人なのかな、と思うんですよね。お仕事は人との御縁。いろいろな産地に行ったり、面白い加工屋さんに連れて行ってもらったりしますが、村上さんも偏愛の話をしていたように、『これはこうなんだよ』とすごく語れるようなものづくりをしているところは強いし面白みがあって、常に前に向かって挑戦しています。生地屋さんだったら、こういう機械を持っているからこういう取り組みが出来るかもしれないと新しい生地を開発したり、加工だったら風合いを良くしようとか、細かいところまで気配りが出来て、それが商品に表れていたりするような企業に行くと『あ、やってみたいな』と思いますね」と答えた。

技術のブランド化に向けて様々な取り組みを行っているTOKYO KNIT。東京ニットファッション工業組合の南木健利理事長は「東京には何千もの(横編みニットやカットソーの)企業があったが、現在は160社強になってしまった。この原因は海外から安いものが入ってきたからだと思われていますが、実は私たちの努力が足りなかったというのが1番大きな問題だと思っています。昔持っていた技術をなくしてしまったり、チャレンジする気概に欠けていたりすることで、力を発揮できていないという反省から、この5年間努力し、自分たちの企業の強みを分析して、足りない部分を加えることでブランド化を進めてきました。価格、価格という厳しい状況を打破するためには、価格以上の価値、ものづくりのストーリーを訴えていくしかないと思っています。ここまで来るのにも相当な努力をしてきましたが、これからも技術を研さんし、新しいものにもチャレンジしていきたいし、磨いてきたものをわかりやすく説明し、発信していきたい。夢はニットに関わる世界中の人たちが、東京に行けば何かが見つかる、東京産地の人たちがどんなことを考えているのか聞いてみたい、何にチャレンジしているのかを見てみたいと、世界中から東京に集まってきてくれるようになることです。1日でも早くそうなれるように頑張っていきたい」としている。

TOKYO KNIT総合展2022「語り始めたファクトリー TOKYO KNIT STORY」

ベッドフォード(BED j.w. FORD)×TOKYO KNIT デザイナーコラボ

■公式WEBサイト https://www.tokyoknit.jp/factory_brand/

■公式YouTubeチャンネル『TOKYO KNIT OFFICIAL』 https://www.youtube.com/results?search_query=tokyo+knit

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