イタリアのアルカンターラ社(Alcantara S.p.A.)は、4回目となる美術展「Studio Visit(スタジオ訪問)」を2月6日まで、イタリア国立21世紀美術館(MAXXI)で開催している。
メイド・イン・イタリアの最高品質を誇る素材ブランド「ALCANTARA」「アルカンターラ(Alcantara®)」を製造、販売するアルカンターラ社。「Studio Visit」は、イタリア国立21世紀美術館との10年にわたるコラボレーションを記念して開催されているもの。4回目の今回はネリ&フー(Neri & Hu)による「敷居の横断」をテーマにした作品を2月6日まで一般公開している。
イタリア国立21世紀美術館のデザイン・キュレーターであるドミティラ・ダルディのキュレーションによる今回のプロジェクトは、過去と現在の巨匠が一堂に会し、アルカンターラを使用した建築・デザインの遺産を理解するためのきっかけを提供することを目的としたもの。
今回、中国・上海に拠点に置くネリ&フースタジオは、イタリア国立21世紀美術館のアーカイブに収蔵されている建築家カルロ・スカルパ (Carlo Scarpa)の作品と向き合った。「敷居の横断」をテーマにした今回。作品では、中国語の「間 (jian-ジェン)」と日本語の「間 (ma-ま)」の両方に存在する「隙間」や「空間」、「一時停止」という概念である「スレッショルド (Thresholds)」から、スカルパの解釈を見出しているという。
リンドン・ネリ (Lydon Neri) とロッサーナ・フー (Rossana Hu) は、細部の発明、立体と空洞の間の対話、素材の創造的な組み合わせなど、スカルパのビジョンを中心に再解釈したインスタレーションをデザイン。素材の創造的な組み合わせではアルカンターラが効果的に使われ、過去と現在の間の真のつながりを表現している。
「Studio Visit」では、ナンダ・ヴィーゴ(Nanda Vigo)、フォルマファンタズマ(Formafantasma)、コンスタンチン・グルチッチ (Konstantin Grcic)、ネリ&フーの4組が、イタリア国立21世紀美術館の建築コレクションをデザインした1人、または複数の世界的な巨匠の作品と対話し、その作品に対して自分自身のビジョンを描写。考察結果は、美術館のホールで、アトリエやスタジオのようにインスタレーション形式で展示されている。
今回の展覧会でコンセプチュアルな研究を行う上で不可欠な柔軟性と形式的な解釈という優れた特性を生かしているアルカンターラ社。ナンダ・ヴィーゴ、フォルマファンタズマ、コンスタンチン・グルチッチの3作品とネリ&フーのプロジェクトは、イタリア国立21世紀美術館に常設展示されている。アルカンターラ社は「実験と文化的革新の象徴であるイタリア国立21世紀美術館と、創造性との対話を創業の価値観のひとつとするアルカンターラ社とのパートナーシップによって、アート界における文化的コラボレーションの新しい形を定義し、歴史に残る事例を作っていきたい」としている。