デサントは10月30日、神田明神文化交流館で東京オリンピックに向けて開発した最新水着「アリーナ」トップモデルスイムウエア「アルティメット・アクアフォース X」を発表した。発表会には瀬戸大也選手をはじめ、アリーナと契約する5人のトップスイマーがトップモデルを着用して登場した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
瀬戸大也選手が今年7月、韓国・光州で開催された世界水泳 2019で男子200メートル・400メートル個人メドレーでの2つの金メダルを含む3個のメダルを獲得した時に着用した「アルティメット・アクアフォース」を進化させたもの。「アルティメット・アクアフォース」同様に動かしやすさを重視した「MF(モーション フリー)」タイプとサポート力を重視した「CP(コントロール ポジション)」タイプの2種類の水着を開発。軽量化と動かしやすさを追求し、アクアフォースとしては初めて身頃部分を1パーツ仕様にすることで、股関節部分の着圧を約13%軽減した「アルティメット・アクアフォース X モーション フリー」と、新たなテープと配置でサポート力を更に高め、キック力が約11%アップさせることに成功した「アルティメット・アクアフォース X コントロール ポジション」を展開する。
選手の潜在能力をいかに速さにつなげるかに着目して開発された「アルティメット・アクアフォース X」。「アルティメット・アクアフォース X MF(モーション フリー)」は、動かしやすさを最大限発揮させるために、水着の軽量化、切り替えを極限まで減らした低抵抗、選手の動きを最大限に活用したモーションフリーをコンセプトに開発したもの。
切り替えのない1枚のパーツを使用することで、脇部分などの動かしやすさを向上させているほか、ウエストから臀部(でんぶ)に掛けてハイパワー素材の裏地を配置することで、骨盤と体幹の安定をサポートするとともに、臀部の筋肉のぶれを抑制させている。素材は前モデルでも使った、伸縮性がありながら、「アリーナ」ではこれまでで最も軽い素材であるアクアフォース F フィルムを採用した。
一方、「アルティメット・アクアフォース X CP(コントロールポジション)」はサポート力を最大限発揮させるために、キックサポート、体幹の安定、ボディポジションのコントロールなどに着目し開発した水着。
テープは従来のテープとは異なる新テープ「グリップテープ」を採用。表側にポリウレタンの素材を配置することで摩擦力を高め、水着と身体のずれを軽減することによって、水着のパワーを最大限選手に伝えることができるようにした。
また、パワーテープの位置を臀部からハムストリングにかけてY字に配置することにより、水中での足のポジションをコントロールするため、レース後半など疲労した時などに下がってくるキックをサポートし、フラットな姿勢で泳ぐことができる。前部分にはモーションフリータイプでも使用しているアクアフォース F フィルムを採用することで、ダウンキック時に力強いキックができるようになっている。
デサントとワコールの技術を組み合わせ、胸部の裏地には異素材の切り替えを採用。胸下内側にはハイパワー布帛素材、胸上内側には伸縮性のあるニット素材を斜めに配置することによって、ストリームラインの姿勢になった時に胸の体積を脇方向きに誘導し、胸の突出を抑えることで、胸の膨らみによる流水抵抗を約1.3パーセント減らすことに成功した。
価格は「アルティメット・アクアフォース X MF」「アルティメット・アクアフォース X CP」とも、レディース4万700円、メンズ2万8600円。
2020年1月から発売する。
当日は、キャップとゴーグルパーツの新モデルも発表。アクアフォースウェーブキャップは頭頂部から後頭部にかけてアリーナ独自の波形形状にすることで摩擦抵抗を27パーセント軽減させた。ゴーグルは瀬戸選手も使用しているアクアフォーススイフトに取り付け可能な専用ストラップ、アクアフォーススイフトバーを開発。泳いでいるときのぶれを抑え、バタつきやめくれを防ぐようになっている。
発表会で「モーション フリー」タイプを着用した瀬戸選手は「1番大切にしているのは動きやすさ。個人メドレーはいろいろな向きで泳ぐので、動きやすさのストレスがない水着は欲しいと思っていました。前の水着(アルティメット・アクアフォース)でも、生地やどのぐらい伸ばせるのかまで、一緒に開発してきた中で、生地にはかなりこだわり、ここをもう少し柔らかくなどいろいろな要望を出してきましたが、それをすべてかなえてくれたのが今回の水着。自分でも1番こだわった、前回のモデルの生地を使いながら1枚のパーツになったことで、更に動きやすくなりました。アメリカのフラッグスタッフで行った高地合宿では、これまで高地トレーニングでのベストが1分59秒半ばだった200メートル個人メドレーで、この水着で泳いだら1分58秒5が出ました。もし、この水着を着て短水路日本選手権に出ていたら、(100分の3秒差で世界記録を逃した10月26日の男子400メートル個人メドレー決勝で)世界記録が出ていたかも(笑)」と笑顔。
長谷川涼香選手は「身体に密着していますし、腰が引き締まっているのですごく浮きます。また、これまでは翌日にも肩に疲労が残らない」と話した。
「コントロール ポジション」タイプについて、川本武史選手は「後ろにテープが貼られていて、後半に失速したときに足を引き上げ、自分の弱いところを改善してくれる、いい水着だと思う。武器であるドルフィンキックを活かしてくれるこの水着で世界と闘いたい」。
牧野紘子選手は「キックが打ちやすい。ドルフィンキックの姿勢や泳いでいるときの足のサポートがしっかりしているので、早く試合で着用したい」とコメント。
清水咲子選手は「レース用水着で必要だと思っているのは身体の浮き感ですが、後ろのテープによってより身体が浮いて、練習中のボディポジションよりも上がっているというのが実感出来ました。私は個人メドレー後半の平泳ぎと自由形で足を前に出してしまう悪い癖があるのですが、それがテープで引き上げられることで、抵抗がなくなり、スムーズに泳げます。また、締め付けすぎず、自然に胸部分の抵抗が無くなるので、女子選手にとってはありがたい水着です。泳いでみて1番感じるのは水に入ってすぐのストリームラインの姿勢の時ですが、『シューツ、シュツ』という感じ。試合だなという感じがします」と説明した。
また、アクアフォースウェーブキャップとアクアフォーススイフトバーを手にした瀬戸選手は「キャップも試しましたが、かぶった感じがしっかりしていて、試合で使うのが楽しみです。(最新水着と一緒に)このキャップもかぶっていたら絶対に世界記録を切れていたと思います(笑)」と繰り返しアピールし、会場を沸かせた。
川本選手は「すごいキャップが出来たなと思いました。頭頂部から自分の軸のようなものが出来て、すごくバランスのとれた泳ぎやドルフィンキックが打てるようになりました。頭が浮いている感じがあったし、ドルフィンキックがすごく打ちやすい」と語った。
東京オリンピックに向けて、勝負運のパワースポットである神田明神が会場となった今回は、来シーズンの目標を書いた絵馬も披露。他の選手たちが「東京オリンピックでメダル獲得」「オリンピックでメダルを獲ること」と書く中で、「夢を叶える!!」と書いた瀬戸選手。「水泳を始めた時からの夢がオリンピックで金メダルを獲ると言うこと。リオではその夢を叶えられませんでしたが、来年はそれを叶えるチャンス。夢を叶えるイコール金メダルですが、意識しすぎず、いいパフォーマンスをして後からその夢が叶えばいいかなと思っています。残りの日を一生懸命トレーニングに励み、最強の武器(水着、キャップ、ゴーグル)を味方に付けて、東京オリンピックで必ず金メダルを獲れるようにがんばりたい」と話した。
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