ユミカツラは2019年秋冬パリオートクチュールコレクション会期中の7月1日、パリ9区のインターコンチネンタル パリ ルグランで、「ユミカツラ2019/20年秋冬クチュールコレクション(YUMI KATSURA 2019-2020AW Couture Collection)」を発表した。
「墨流しの詩」をテーマにした今回。力強く、美しい日本のカリグラフを使い、フレッシュなカラーリングと意外性のある素材の組み合わせで、書の世界の“いま”表現したドレスや、書の世界から発展して、墨流しとぼかしによる曲線と、プリーツによる直線で、日本の美を表現したドレスなど、25点の作品を発表した。
ヨーロッパのマーブルがシルクロードをたどって、平安時代の日本に伝わり、その技法が現代墨流しとして、職人に受け継がれている墨流し。今回のコレクションでは、同じ文様が2つとない墨流しの美を作家の協力のもとに創作し、ファッションデザインに活(い)かした。また、日本の寺社建築や数寄屋造りに見られる直線で区切られた日本の美は、18種類のプリーツによって生み出されたもの。直線的な緊張感と、プリーツの陰影を融合させて、新しい日本の美を表現した、という。
2003年からパリ・オートクチュールコレクションに参加し、2005年にはパリ・カンボン 通りのシャネル本店前にパリ店をオープンしたユミカツラ。以来、コレクションやプレゼンテーションを通じて、日本のファッション文化や伝統技術にこだわった作品をパリから世界に発信し続けている。
桂由美は「2015年から琳派、若冲、北斎作品をモチーフにしたものなど、日本の伝統美と現代のトレンドをどのようにしてマッチングさせるか、毎回様々な工夫を凝らしてきました。今回は墨流しを新素材や18種類のプリーツと組み合わせましたが、大きなインパクトを与えることができたと思っています。 一番新しい生地は、丹後で織ってもらったビニールとシルクの混織です。ビニールでドレスを作れば今までにない新しさを出すことは可能ですが、通気性などで衣服としては通用しないので、シルクと混織にすることでビニール独特のツヤやハリを生かした生地を作りました。パリ(オートクチュール)コレクションも23回目になりますが、今回は徹夜で間際まで細かいところまで手直しした労苦が報われましたし、日本の伝統美を現代ファッションに生かすという、私たちの努力が間違っていなかったことを再確認しました」とコメントしている。