ジャパン・ベストニット・セレクション2018アワード(JAPAN BEST KNIT SELECTION 2018 AWARD)授賞式が12月12日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで行われ、佐藤繊維のグループ会社で、東京・渋谷で製品のプロモーションなどを行っている佐藤繊維、Sato–S2(サトウ エススクエア)がグランプリと経済産業省経済産業大臣賞を受賞した。Text & Photo:Shinichi Higuchi(樋口真一)
同アワードは国内ニット産業全体の底上げ、各産地の再活性化を図るとともに、ジャパン・ベストニット・セレクション(JAPAN BEST KNIT SELECTION)の更なるレベルアップと質の向上、業界内外からの認知度アップなどを目指し、2013年から行われているもの。「製品完成度・技術力」「クリエイティビティ・デザイン力」に優れた企業を表彰している。準グランプリは大河内メリヤスとマックスニットの2社が選ばれた。また、今年はグランプリと準グランプリに加えて、特別賞が贈られることが急遽決定し、島精機製作所が特別賞を受賞した。
佐藤正樹社長は「時代が大きく変わり、商品が氾濫する中で、私たちが日本で作るものは何なのかと考え、最近はホールガーメントに力を入れながら、島精機製作所の機械で今までに無いものを作ることに挑戦しています。今回はそういうもの作りを評価してもらえたことを嬉しく思っています」と喜びを語るとともに「私も今年、日本 ニット 工業 組合 連合 会の理事長という職に就かせていただきましたので、日本の繊維産業やニット業界を世界と戦えるようにしたいし、世界と戦える環境を作れるようにこれからもっとがんばっていきたいと思っています」と強調した。
大河内メリヤスは「島精機製作所の持つポテンシャル、やれることを極限まで追求する製品作りが評価していただけたのだと思っています」と挨拶。マックスニットは「50年近くニット一筋でやってきました。今回は1人の女の子に『あなたに任せた。全部1人で企画してください』と言う形でお願いしたので、とても喜ぶと思います」などと話した。
島精機製作所は「1995年にホールガーメントの1号機ができて二十数年。出展社やニット業界だけでなく、いろいろな産業に飛び立とうとしている。学生の人たちにも興味をもっていただければ」としている。
また、ジャパン・ベストニット・セレクション審査委員会アワード審査委員長であるクールジャパン機構シニアアドバイザーの太田伸之氏は「毎年、賑わっているのは島精機製作所。その技術で日本のニット産業に貢献しているのは明白なこと。今回は島精機製作所の機械を使いながら、それがわからないくらいの技術を持っている会社が受賞した。過去の受賞者は外そうと思っているが、今回は仕事を評価した」と述べた。
ジャパン・ベストニット・セレクションは国産のニット製品とテキスタイルに特化した展示会。中国を始めとするアジア周辺諸国からの安価な輸入製品に席巻される中で、産地の各企業が技術、感性、生産システムを活かしたオリジナル製品を提案することによって、日本のニットの文化と匠の技を新しいビジネスに結びつけるために2009年からスタートした。11回目を迎える今回。横編みニット33社、カットソー8社をはじめ、生地・素材・靴下・小物11社などが出展。ニット・カットソー・靴下・手袋・マフラーや、ニットテキスタイルなど、日本製のニットの魅力をアピールした。
関連記事
佐藤繊維(Sato Seni)が好調。時代にマッチ。「日本の技術を集約したニットを作っていきたい」
佐藤繊維エムアンドキョウコ(M.&KYOKO)2019年春夏コレクション展示会リポート
WIRED Audi INNOVATION AWARD 2018廣川玉枝、中里唯馬、島精機製作所島正博会長らが受賞