山縣良和が手がけるリトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)とリトゥン バイ(written by) 2019年春夏展示会が、東京・品川のTERRADA Art Complex3階ギャラリースペースURANOで開催された。会場ではリトゥンアフターワーズのインスタレーションも行われた。
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2019春夏は白を使った魔女のウエディングコレクション
昨年は東京都庭園美術館で開催された「装飾は流転する」展のオープニングとして、10周年記念コレクションをファッションショー形式で発表。今年は、パリでの展示会に向けて生産スケジュールを早めるため、2018/2019年秋冬コレクションは展示会をスキップしたリトゥンアフターワーズ。
6月のパリの展示会に続き、東京で展示会を行った今回。”For Witches”=魔女のウェディング(結婚)をテーマに、白を使ったワンピースやドレスなどを見せた。
リトゥンアフターワーズのインスタレーションも
「会場がアートギャラリーなので、アートの文脈で何かやりたい」ということからリトゥンアフターワーズのインスタレーションも行われた。インスタレーションで展示された作品も白や生成りのドレス。だが、身につけているのは、魔女や昨年のショーでも見せた、広島、長崎を連想させる白骨のようなボディだ。魔女が死者たちをよみがえらせたと言うことなのだろうか。それとも追悼なのか。床にも白骨の遺体が転がっている。
以前、表参道ヒルズ同潤館の表参道ROCKETで開催した山縣による初めての絵画展「ファッションイラストレーション バイ ヨシカズヤマガタ」を思い出させる、服のイメージと溶けたり焼け焦げたりした素材、花や植物などを1枚の絵画作品のように閉じ込めた作品も展示された。
これまでも、東日本大震災を受け、日本のルーツや歴史を考えなければという想いを込めて、日本の根本的なものを現代に表現した2013年春夏コレクションやバラク・オバマ米大統領(当時)が広島を訪れた際に、広島平和記念公園の原爆慰霊碑に献花した花輪からインスピレーションを得た2017/2018年秋冬コレクションなどを発表。さらに服を見せない2012S/S秘密のファッションショーや新作インスタレーション「第三章 love affair 秘密の浦島アダム太郎」など、東京では、デザインはもちろん、アートの文脈やメディアとしてのファッションなど様々な表現方法とアプローチに挑戦してきた山縣。パリではビジネスだけでなく、どんな形でコレクションを表現していくのか。今後の海外での展開も注目されそうだ。
Text & Photo:Shinichi Higuchi(樋口真一)