イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)2018年春夏のテーマは記憶のカケラ
大地や地球の根源的な力と風や未来の軽さを着る。イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)は2018年春夏パリコレクション会期中の9月29日、グランパレで2018年春夏コレクションを発表した。記憶のカケラをテーマにした今シーズン。前回オーロラを着たイッセイ ミヤケだが、今シーズンは大地の割れ目や溶岩、氷河、地球が何万年も掛けて創り上げた自然の神秘や表情、そして、それらの本質的な力やそこから広がる風景などを服にしてしまった。
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コレクションは地球の成り立ちや力を表現するように、ごつごつとした岩や、ぼこぼこと沸いた溶岩のように布が動く演出からスタートした。折り目を織り込んだ生地を蒸気で縮めたスチームストレッチに、プリントし再びフラットにした服で全身を覆い、服を伸ばし、デザインを強調する80年代を彷彿とさせるパフォーマンス。マグマが固まり、大地や溶岩になっていく様子やエネルギーを強調しているように見える。モデルたちが着て歩くと大地や溶岩のような、黒いドレスから光のような白が見え隠れする。
続いて登場した、布に特殊なのりをプリントし、高温で膨らませることでひだを作ったベイクドストレッチは、プリーツの谷間にアイスランドの風景を隠している。おぼろげな記憶やシュルレアリスムの作品のように分断された景色は、地球や大陸のように見えながら、サブリミナル効果のようにかすかな記憶を思い出させる。そして、昔の映画に出てくるコンピューターや付箋アートも思い出させるような、レトロフューチャーなチェックの服には泥染めの茶をプラスすることで大地の力を表現。様々な異素材を格子状につなぎ合わせた服は、記憶のカケラが集まり像を結ぶイメージというが、どこか着物やアフリカの服とも共通する力も感じた。80年代などに活躍したモデルや当時を思い出させる大胆でドラマチックな演出やダンスパフォーマンスなども服の本質的な力と記憶などを強調しているように見えた。
自然とその力、そこから広がる風景からのインスピレーションを受け、その本質を表現したデザインは、イッセイ ミヤケが繰り返し、追求してきたもの。布と石の詩というテーマや、1987/1988年秋冬コレクションで発表した見るものの想像力を刺激する、石のような素材の服など、三宅一生の過去のコレクションも思い出させながら、二次元的な一枚の布とハイテクの生み出す三次元の立体に、時間という四次元の要素をプラス。更にブランドの原点、縄文的な力とも共通する自然や大地の持つ本質的な力強さと、風や光のような軽さ、そして若さや未来的ムードをミックスしながら、リアリティのある服に仕上げた。ブランドの過去、現在、未来のバランスのとれたコレクション。
Text & Photo:Shinichi Higuchi(樋口真一)
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