第91回装苑賞公開審査会(The 91st So-en Fashion Award)が文化学園遠藤記念館大ホールで開催された。1956年、日本で初めてのファッション界の新人賞として創設された装苑賞。公開審査会では2次審査を経た候補者16人が、各3体のコレクションを披露。岩谷俊和、コシノジュンコ、髙島一精、田山淳朗、津森千里、廣川玉枝、皆川明、三原康裕の各氏が審査を行い、タイ出身のアピチャート・ナランシャーさんが装苑賞に選ばれた。Text & Photo:Shinichi Higuchi(樋口真一)
作品は、ウールとゴムで糸を作り、シルバービーズを組み合わせたものを手で編むことで、フランク・ゲイリーの建築に見られる、動き出すような曲線や躍動的なシルエットを表現したコレクション。現代の服に求められる軽さの追求とは対極ともいえるデザインはオートクチュールブランドのプレタポルテを思い出させるほど重厚だ。
佳作1位は蛾(が)をモチーフに、虫の美しい色や形を服として表現した野中優さん、佳作2位はたくさんの小さなパーツを手縫いし、うねらせることで、生き物のような服をデザインした日下宗隆さんに決まった。
また、公開審査会では、花を使ってミクロとマクロの世界を表現した高校生の八木華さん、錦鯉(にしきごい)をモチーフにした大石麻央さんなどの作品も注目を集めた。