服の原点と未来。アンリアレイジ(ANREALAGE)2017/2018年秋冬コレクションのテーマはROLL。洋服の原点であるロールに着目。布をロール状態のまま、先端にドリルを装着したロボットアームで三次元切削し、彫刻のように洋服の形を作り出したという。ドレスは300メートルのデニム生地のロールから削り出したもの。オートクチュールコレクションなども行われたホテル、ウェスティン・パリの中にある会場に敷かれた2体分、600メートルのロールから削り出された屑だという。Text & Photo:Shinichi Higuchi(樋口真一)
女性の身体の上に布を流し、布がどうして欲しいのかを感じ取りながら彫刻のように立体的な服を生み出す西洋的な服作りとも一枚の布と身体の間から生まれる日本や東洋の服作りとも違うアプローチ。仏師が木を削り仏像を生み出すように、3D技術やプログラミング、ロボットなどを駆使して掘り出させたドレスは、日本の先端技術を使いながらも、縄文土器のような力強さを感じさせる。オーガンジーリボンやテープで構成したドレスや年輪をグラフィカルに表現したシリーズなども登場した。
ストロボ撮影によって柄が現れるデザインや、暗号のようにノイズを思わせる柄の中に花などの柄を隠したデザイン、スマートフォンのアプリを通してみるとプリントが見える仮想現実を採用したコレクションなど、ここ数シーズン、パリコレクションでもショーを見ながらスマートフォンで撮影し、発信するSNS(ソーシャルネットワークサービス)時代に対応したようなコレクションを発表していたアンリアレイジ。今シーズンのコレクションは、10代、20代にとって80年代、90年代が、もはや初めて見るヴィンテージになり、当時を知る人にとっては「懐かしい」「失われたアバンギャルドを求めて」「一周回って新しい」という状態に対応しているようにも見える。
同時にこれまでの日本のハイテクや素材というアプローチとともに、パリコレクションで求められる美しい形やエレガントなドレスなどを日本的な発想と力強い表現で創り出すというアプローチも取り入れようとしているようにも思える。
シャネル(CHANEL)やコム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)など、レトロやヴィンテージとは反対のフューチャリスティックなムードも登場している中で、アンリアレイジが次にどんなコレクションを見せてくれるのかも注目される。
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