ラマルク(LAMARCK)2018年春夏コレクションリポート○2018年春夏東京コレクション

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「今回はこれまでのようなコレクション(ファッションショー)はしない」と話していたデザイナーの森下慎介。ラマルク(LAMARCK)が9月6日、東京・恵比寿で2018年春夏コレクションを開催した。

ここ2シーズン、ニューヨークコレクションやパリコレクションなど、海外のファッション・ウィークに先駆けて東京・赤坂の草月会館でファッションショーを行ってきたラマルク。「SPAZIALISMO -空間主義-」をテーマに、ルーチョ・フォンタナ (Lucio Fontana) が提唱した、空間と時間の融和やアートの垣根を取り払うなどの考え方を取り入れるとともに、デザイナー自身のルーツも探ったという今シーズン。コレクション発表の方法もデザイン同様に、ファッションショーと展示会の垣根を取り払ったようなプレゼンテーションショーを試みた。また、ショー数時間後には、ECサイト「@SeeNowTokyo(シーナウトウキョウ)」で発表したばかりのコレクションの一般予約受付もスタートした。

展示会会場。天井から続く中央のラックから服をすべて取り去り、左右それぞれの壁からわずか1メートル程度の場所に並べられた椅子。展示会で服を見ているように、椅子に座っていても、素材がはっきりとわかり、手を伸ばせば触ることができるようなムードの中をモデルが進む。ポケットのふたや袖の一部をレースにし、袖口をひもで絞った白いシャツとプリーツスカート。白地に白の柄を加え、その上にひもを乗せたトップス。異素材や異なるテクニックのドッキングも同じ色を使うことでリアルに仕上げている。

トロピカルなムードの軽く明るいアロハシャツはプリントの中に、デザイナー自身のルーツである長崎の風車を隠すなど、着物の柄などでもよくありそうな遊び心をプラスし、さらにニュールックのようなスタイルやラインを組み合わせる。白や黒のレースで構成したドレス。フリンジ状の糸が動にあわせて揺れるドレスは南国の植物や鳥なども思わせる。

全身黒のビッグルックやスタッフユニフォームなど、80年代や90年代が初めて見る新鮮な形や懐かしいデザインとして受け入れられ、コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)やドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)までが、ゼロからスタートするのではなく象徴的なデザインや代表的なデザインとシルエット、これまで使った素材を再構築したコレクションを発表。更に、三宅一生、山本耀司、川久保玲までが展覧会や写真展を行い、シー・ナウ バイ・ナウがトレンドとして取り入れられるなど、新しさとは何か、コレクションが必要なのか、ということが問い直され、ブランドらしさやルーツがこれまで以上に重要になっている今。ルーチョ・フォンタナの「切り裂かれたキャンバス」のように服を切り裂くなどのアバンギャルドではなく、リアルで軽い服やスポーティな中に、フォンタナの考え方を取り入れ、ファッションの地域軸と時間軸(時代)をなくし、祖父母の田舎のモチーフを使うなど、試行錯誤が感じられた。

Text & Photo:Shinichi Higuchi / Chief Editor(樋口真一)

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