
デサントジャパンが展開する『デサント』ブランドは1月14日、ランニングシューズのトップレーシングモデル「DELTAPRO EXP V3(デルタプロ イーエックスピー ブイスリー)」を発売した。同日、都内で商品説明会と試走会を開催し、開発背景や技術的特徴を紹介した。当日は旭化成陸上部の中西大翔選手と山本歩夢選手が登場。実際の着用感や走行時の印象について語った。同モデルは、韓国・釜山にあるスポーツシューズ研究開発拠点「DISC(DESCENTE INNOVATION STUDIO COMPLEX) BUSAN」で開発された競技志向のランニングシューズで、前足部に4分割のフォーク型カーボンプレートを搭載。着地位置に左右されにくい反発力と推進力が特徴となっている。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
フットウエア強化を進めるデサントの戦略

東京・原宿の「DESCENTE TOKYO」で開催された商品説明会でデサントジャパン フットウェアマーケティング部 部長の小瀬木利久氏は、デサントのフットウエア戦略について説明した。同社は2025年に創業90周年を迎え、これまでアパレルを中心にアスリート起点のものづくりを続けてきた。一方で、今後は「足元からもアスリートやユーザーを支える」とし、フットウエアカテゴリーの開発を強化していく方針を示した。
その中核となるのが、2018年に設立した韓国・釜山の研究開発拠点「DISC BUSAN」だ。同拠点ではランニングやゴルフなどのパフォーマンスシューズを中心に研究開発を行い、独自の開発力を高めてきた。小瀬木氏は「これまではアパレル中心だったが、今後は各競技でパフォーマンスシューズの開発も強化し、足元からのサポートを一層充実させていく」と述べた。
DISC BUSANの開発体制とプロセス
続いて、フットウェアマーケティング部 マーケティング課の生野貢希氏が、DISC BUSANにおける開発体制と商品開発プロセスについて説明した。DISC BUSANは、ICT(アイデア・コンセプト)、BCT(設計・プロダクトクリエーション)、MET(素材検証)、HPL(ヒューマン・パフォーマンス・ラボ)の四つのチームで構成される。各チームが連携し、プロジェクトマネージャーのもとで、設計から素材試験、被験者による機能検証までを一連のサイクルとして回しながら開発を進めている。
デルタシリーズ最上位モデルとしての位置付け
デサントのランニングシューズは、競技・記録志向のトップモデル「デルタ」と、健康維持やファンラン向けの「エナザイト」の二つのカテゴリーで構成されている。「DELTAPRO EXP V3」は、デルタシリーズの最上位モデルに位置付けられる。
同モデルは、2024年春夏シーズンから韓国で展開されてきた「DELTAPRO EXP」シリーズの第3弾にあたるもの。毎年改良を重ねた結果、2026年春夏シーズンから日本で本格展開することになった。
フォーク型カーボンプレートが生む反発と安定性

「DELTAPRO EXP V3」の特徴は、前足部にかけて4本に分かれたフォーク型のカーボンプレートだ。DISC BUSANで独自開発したこのプレートにより、前足部のどの位置で着地しても反発力と推進力を得やすい構造としている。前足部先端は、蹴り出し時に最も圧がかかる部分の面積を広く確保。後足部は翼状に分かれた構造と中央部のくり抜きによって左右のブレを抑え、軽量化にも配慮した。
PEBAフォームと薄型アウトソールによる走行感
ミッドソールには、軽量で反発性の高いPEBAフォームを上下2層構造で採用した。前作と比べ、トゥスプリングに余裕を持たせ、着地から蹴り出しまでをスムーズにつなぐロッカー構造としている。下層のミッドソールでは内側を前足部と後足部で連結し、内転を抑制することで安定性を高めた。アウトソールには、厚さ1.5ミリのCPUラバーを使用。薄型化によって軽量性を高めつつ、耐摩耗性も確保している。
国際大会で示したパフォーマンス
「DELTAPRO EXP V3」は、2025年1月に開催されたJTBCソウルマラソンで実績を残した。ケニア人選手のリトル・ニック・キトゥンドゥ選手が同モデルを着用し、2時間5分32秒で優勝。パーソナルベストから大幅なタイム短縮を果たした。キトゥンドゥ選手は「高い反発性と安定したクッショニングにより、レース全区間を良好なコンディションで走ることができた」とコメントしている。
旭化成陸上部の中西大翔選手と山本歩夢選手が語る反発力と安定感

商品説明会後半には、旭化成陸上部の中西選手と山本選手が登場。中西選手はファーストインプレッションについて、「これまで数えきれないほどのレーシングシューズを履いてきましたが、ここまで反発を感じるシューズはなかった。本当に強い衝撃を受けたのが最初の印象でした」と述べ、強い反発力に驚いたという。一方で、「反発が強いシューズはブレが出やすい印象がありますが、このシューズはジョギングシューズのような安定感も併せ持っている」とし、反発と安定性の両立を評価した。
さらに中西選手は、「実業団や大学生といった競技レベルの高いランナーはもちろん、市民ランナーやランニング初心者の方にも勧められる」と話し、トップモデルでありながら裾野の広い使用シーンを想定できる点に言及した。

山本選手はフィット感について、「履いた瞬間から非常にフィット感があり、締め付けが強すぎることもなく、足に優しい印象だった」と説明した。蹴り出し時の感覚についても、「一歩目から反発を強く感じることができ、好印象だった」と語った。
走行中の挙動については、「反発が非常に強いシューズですが、力が分散せず、走りの意図どおりに動ける」とし、後半で苦しくなった場面でも「その反発を生かして、しっかりと前に進める印象があった」と振り返った。
シューズ選びについて問われると、中西選手は「結果を出している選手が履いているシューズは気になるが、最終的には自分の足に合うかどうかを重視する」と述べた。締め付けが強すぎるとリスクにつながるため、「自分が納得できるフィット感かどうかが重要だ」と強調した。
山本選手も「強い選手が履いているシューズを見ると試したくなるが、必ずしも自分に合うとは限らない」と語った。自身はフォアフット走法を得意としており、「つま先で反発を得られ、最後までその反発を生かせるシューズ」を基準に選んでいるという。その点で「DELTAPRO EXP V3」は、意図した動きがしやすいシューズだと評価した。

デサントがレーシングシューズを開発したことについて、山本選手は「旭化成でデサントのウエアを着用していますが、カラーリングも旭化成を思わせる配色で、第一印象はとても良かったです。ぜひ履いてみたい」と思いましたし、デザインも含めて、すごく好印象でした」とコメント。
中西選手は「ウエアは以前から使いやすいと感じていましたし、デサントからシューズが出ると聞いたときは、まず、履いてみたいという印象でした。実際に履いてみても非常に好印象で、ウエアだけでなく、シューズにも本当に力を入れてるなっていうのを感じました」と話した。
価格と展開
「DELTAPRO EXP V3」の価格は2万9700円(税込)。カラーはネイビーホワイト、ベージュホワイト、パープルの3色を展開する。デサントは、DISC BUSANで培った研究開発力を生かし、フットウエア分野における存在感を高めていく考えだ。
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