ファッション甲子園2025|弘前実業高校「木魂」が優勝 二冠達成で全国高校生ファッションデザイン大会を制す

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全国の高校生が独自のアイデアを競う「ファッション甲子園2025」が青森県弘前市で開かれ、青森県立弘前実業高校が作品「木魂」で優勝した。弘前実業は、引率教員の投票で決まる「キラリ賞」と合わせて二冠を達成。準優勝は福知山淑徳高校(京都府)の「Been comeshed」、第3位には兵庫県立兵庫工業高校(兵庫県)の「とつき とおか」が選ばれた。

ファッション甲子園2025 開催概要|全国から1246チームが応募

全国高等学校ファッションデザイン選手権大会「ファッション甲子園」は2002年に始まり、全国の高校生を対象に「高校生ファッション日本一」を競う大会として定着している。

第24回となる今回は、34都道府県から92校1246チーム、1908点の応募があり、一次審査を通過した22都道府県31校34チームが最終審査に進出した。8月31日、弘前市民会館大ホールで行われた本選はファッションショー形式で行われ、会場には約700人が来場。審査によって7チームが受賞した。

審査の合間に開かれたスペシャルステージでは、ファッション甲子園アンバサダーの王林さんが登場し、海外ファッションブランド協会会長の三木均さんとトークセッションを行った。大会に登場した高校生の情熱が込められた作品に触れるとともに、ファッション甲子園を目指す高校生へのエールを送り、会場を盛り上げた。

優勝・キラリ賞 弘前実業高校「木魂」|ブナコとねぷたを融合

弘前実業高校の「木魂」は、青森の伝統工芸「ブナコ」の技法を応用し、ブナをテープ状に加工して衣服に仕立てた。曲線を美しく表現するため「ねぷた」の技術も取り入れ、スカート全体をブナコランプとした。光を通すと和紙のろう描きとブナコのシードが浮かび上がる仕掛けも施されている。

審査員の原由美子さんは「青森ならではのブナコを取り入れた作品でした。伝統的な素材を洋服に取り入れる際は重くなったりバランスを欠いたりしがちですが、その課題を非常にクリアに、しかも美しく仕立てていたことが強く印象に残っています」と評価した。

生徒は「去年も出場しましたが、優勝を逃してしまいました。1年間ずっと頑張ってきたので、今年は優勝することができてとても嬉しいです」と語った。別の生徒も「この作品を通して、ブナコやねぷたの魅力を新しい形で多くの方々に知っていただきたいですし、日本だけでなく海外の方にもぜひ見ていただきたいです。協力してくださった皆様や応援してくださった皆様に心から感謝しています」と話した。

準優勝・ELLEgirl賞 福知山淑徳高校「Been comeshed」|蜜蜂と花の共生を表現

準優勝に選ばれた福知山淑徳高校の「Been comeshed」は、蜜蜂と花の相互依存や共生関係をモチーフに編み物で表現。毛糸や編み方に多彩な工夫を凝らし、すべて手作業で仕上げられた。

同作はキラリ賞と今年から新設された「ELLEgirl賞」にも選ばれた。審査員の石塚愛さん(エル ガール コンテンツマネージャー)は「Z世代向けのファッションメディアとして、サステナビリティの視点があるかどうか、またZ世代をエンパワーメントするデザインかどうかをポイントに審査しました。その中で、ミツバチという生態系を支えるアイコンをモチーフにしていた点が印象的でした」と評価。

さらに「披露された2ルックはいずれも完成度が高く、本当に素晴らしいと感じました。また編集部の視点として、撮影したいかどうかも重視しましたが、ディテールへのこだわりや色合いがとても魅力的で、写真映えするルックだと思いました。SNSでの共感や『いいね』を得られる力も感じました」と講評した。

第3位・中島輝道賞 兵庫工業高校「とつき とおか」|母と子の時間をデザイン

3位となった兵庫工業高校の「とつき とおか」は、母の愛情に包まれる胎児をテーマにデザイン。子宮を「全人類共通の故郷」と位置づけ、ピンクと赤の原毛を使って胎内の質感や母が子へ贈る愛の言葉を表現した。

ゲスト審査員を務めたテルマの中島輝道さんは「素材使いや色使い、熱量などから、テーマ『とつきとおか』に込められた思いをしっかりと感じました」と講評した。

特別賞 各校の受賞作品と審査員講評

海外ファッションブランド協会賞には岡山南高校(岡山)の「The CORE 2025」が選ばれた。審査員を務めた三木均会長は「シンプルであるほど完成度のハードルは高いが、ディテールや素材使いが秀逸でした」と講評した。

惺山高校(山形)の「歪み」は原由美子賞を受賞。原さんは「非常に華やかで、皆さんの夢を詰め込んだようなロマンティックさやファンタスティックさ、可愛らしさ、素晴らしさ、美しさなど、さまざまな要素が盛り込まれた作品が多い中で、シンプルなドレスはとても目立っていました。多少荒削りな部分はあるものの、シンプルで微妙な表現に挑戦した点は評価でき、さらに靴にもさりげないこだわりが見られました」と語った。

福岡県立香椎高校(福岡)の「BRUTAL BEAUTY」は天津憂賞に輝いた。天津さんは「バランスが非常によく、特に骨の構造まで考えられていて、背骨の椎間板に至るまでしっかり設計されていた点を評価しました」と評価した。

バンタンデザイン研究所高等部東京校(東京)の「地球侵略」は青木規子賞を受賞。青木さんは「デザイン画を拝見した段階で、1枚の中にストーリーが詰め込まれており、伝わってくるものがありましたので、完成作品を大いに期待して待っていました。実際に拝見すると、テーマの面白さに加え、色のバランスや素材感に大変センスを感じました。さらに、歩いてくるときにポンポンの部分がバウンドしてユーモラスな印象を与え、『地球侵略』という少し怖さを感じさせるタイトルとユーモアが絶妙なバランスで並び、とても楽しく拝見できました。この作品が5体、10体といったコレクションになったときに、さらに豊かなストーリーが展開していくように感じられ、今後の発表がとても楽しみです」とエールを送った。

入賞校の作品を東京でも展示

なお、今大会の入賞校の作品は、9月17日から23日まで、日本橋三越本店本館1階中央ホールで展示される。

第24回全国高等学校ファッションデザイン選手権大会(ファッション甲子園2025)

主催:ファッション甲子園実行委員会(弘前商工会議所、青森県、弘前市)
開催日:2025年8月31日
場所:弘前市民会館大ホール
時間:午後1時~3時半(正午開場)
来場者:700人
応募総数:34都道府県、92校、1246チーム、1908点
最終審査出場:22都道府県、34作品(チーム)

審査員

原由美子さん(ファッションディレクター)
天津憂さん(クリエイティブディレクターディレクター)
青木規子さん(繊研新聞記者)

ゲスト審査員
中島輝道さん(TELMAデザイナー)

特別賞選考
海外ファッションブランド協会賞:三木均さん(リシュモンジャパン合同会社社長兼リージョナルCEO)
ELLEgirl賞:石塚愛さん(ハースト婦人画報社/ハースト・デジタル・ジャパン「エル ガール」コンテンツマネージャー)

ファッション甲子園2025 受賞結果一覧

優勝・キラリ賞:弘前実業高校(青森)「木魂」
準優勝・ELLEgirl賞・キラリ賞:福知山淑徳高校(京都)「Been comeshed」
第3位・中島輝道賞:兵庫工業高校(兵庫)「とつき とおか」
海外ファッションブランド協会賞:岡山南高校(岡山)「The CORE 2025」
原由美子賞:惺山高校(山形)「歪み」
天津憂賞:香椎高校(福岡)「BRUTAL BEAUTY」
青木規子賞:バンタンデザイン研究所高等部東京校(東京)「地球侵略」

■大会PR展示(予定)

「全国高等学校ファッションデザイン選手権大会(ファッション甲子園)入賞作品展示」
展示場所:日本橋三越本店 本館1階 中央ホール
展示期間:2025年9月17日~9月23日
内容:ファッション甲子園2025の入賞作品を展示

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