
榎本光希が「気軽さ」と「柔らかさ」で紡ぐ“ソフトフォーマリティ”
キーワードは「Sprezzatura」——無意識に漂う気軽さと洗練を纏う
榎本光希が手がけるアタッチメント(ATTACHMENT)は2025年7月11日、東京・天王洲の寺田倉庫で2026年春夏コレクションを発表した。今シーズンのテーマは「Easily」。イタリア語で“気取らぬ優雅さ”を意味する「Sprezzatura」をキーワードに、自然体で漂う気軽さや柔らかさを軸とした「ソフトフォーマリティ」を提案した。Photos: Courtesy of ATTACHMENT
ソフトフォーマリティを纏う、現実と理想のあいだの服
コレクションの中心となるのは、構築性と軽快さを兼ね備えたソフトテーラード。装飾を排したシルクカシミヤのニットウェアは、脱力感の中に洗練を感じさせ、エフォートレスな存在感を放つ。ワイドシルエットのトラウザーズは風をはらみ、細いストライプ柄が陰影を生み出す。首元には「about us」の刻印を施したチャームが揺れ、足元にはバックレス調でも履けるスムースレザーのローファーやサンダルが組み合わされた。
“デイからナイトへ”をつなぐエフォートレスなワードローブ
デイタイムからナイトタイムまでをシームレスにつなぐアイテム構成も今シーズンの特徴のひとつだ。サテンの微光沢をたたえたシャツやショーツ、スリーブレストップスは、プライベートとパブリックの境界をなめらかに横断する。ハイツイストウールのダブルブレストジャケットや、ウォッシャブル素材による快適性も兼備。コットンシルクのハリントンジャケットやラムレザーのフライトジャケット、タック入りショーツなど、日常の可動性を支える服も並んだ。
色彩は抑制と解放のバランスを追求。オフホワイトやベージュを基調に、コーラル、アンバー、チャコール、スカイブルー、ブラウンなどを織り交ぜ、所々にモノクロームが差し込まれる。カラーパレット自体が、静かな自由さと広がりを体現する。
構築と解放のバランス。榎本光希が描く次世代のスタイル
ショーでは、簡素化されたシルエットと無意識的なレイヤードが流れるように交差し、着る人の動きに呼応するような装いが展開された。緊張感と余白、節度ある温かみを同居させたルックが続き、観る者に日常の延長としての理想を提示した。榎本はリリースの中で「最も個人的な欲求を叶えるために、最も正直な状態をできるだけ単純に追い求めていたい」と語り、外面の装飾性をそぎ落としながら、内面に働きかける服作りへの姿勢を示した。
アタッチメント(ATTACHMENT)2026年春夏コレクションLOOK





































