アシックスファウンデーションが設立 障害者や青少年をスポーツで支援。国内外で助成、参加の壁を取り除く取り組み開始

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アシックスは2025年4月1日、障害者や青少年、女性ら、運動やスポーツへの参加が困難な人々を支援するため、「一般財団法人アシックスファウンデーション(ASICS Foundation)」を設立した。日本のほか、ベトナム、インドネシア、インドなど、同社の事業や生産拠点のある国や地域で活動を展開し、助成や施設整備を通じて、心身の健康を支える環境づくりを進める。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

4月9日に東京・丸の内のJPタワーで開かれた記者発表会で、廣田康人代表取締役会長CEOは「私たちの事業活動だけでは手の届かない方々に、スポーツを通じて希望や前向きな気持ちを届けたい。障害や経済的理由、文化的背景など、スポーツへのアクセスにさまざまな障壁を抱える人々がいます。そうした方々の環境を整えるために、ソフトとハードの両面から支援を行っていきたい」と設立の意義を語った。創業理念「健全な身体に健全な精神があれかし(Anima Sana In Corpore Sano)」を受け継ぎ、誰もが一生涯、運動に関わり続けられる社会の実現を目指す。

初年度は助成事業を中心に展開する。日本では障害者スポーツ、インドでは女性のスポーツ参加、インドネシアやベトナムでは青少年へのスポーツ教育支援に重点を置く。助成内容は、プログラムの実施や指導者の育成といったソフト面に加え、グラウンドの整備や用具の提供などハード面にも及ぶ。

財団の理事には、元プロ卓球選手の石川佳純さん、元パラ競泳選手でタレントの一ノ瀬メイさんらが就任した。

石川さんは「私は7歳から卓球を始め、30歳まで競技生活を続けてきました。国際大会に挑戦した経験や、全国各地の子どもたちと卓球を通じてふれあう活動を通じて、スポーツが人の心を開き、人生を豊かにする力があることを実感してきました。今後はアシックスファウンデーションを通じて、これまでスポーツに触れる機会のなかった子どもたちや若者にも、その魅力を届けたいと思っています。言葉や文化の違いを超えて人と人がつながる喜びを、少しでも多くの人と分かち合えたら嬉しいです」と語った。

一ノ瀬さんは「私にとってスポーツは、単なる競技を超えて、つながりをもたらしてくれる存在でした。自分自身との向き合い、人とのつながり、そして社会との関係性を築くうえで、大きな役割を果たしてくれました。パラアスリートとして10年以上競技を続けてきましたが、引退して改めてスポーツの価値に気づきました。心と体の健康、そして自己肯定感を育てる力が、スポーツにはあると思います。アシックスファウンデーションの活動を通じて、どんな背景を持つ人でも“自分のためのスポーツ”に出会えるようにしていきたいです」と述べた。

理事長を務める甲田知子・常務執行役員は、「スポーツが心と体の健康に寄与することは広く知られていますが、それが文化として根づいていない地域も多くあります。また、障害や性別、社会的背景によって運動すること自体が難しい状況も存在します。私たちは、そうしたアクセスの壁を取り除きたい。金銭的支援にとどまらず、指導者の育成やプログラムの開発、現地の団体との連携など、多角的な支援を進めていきます」と強調した。

財団では、5月中旬に助成先の公募を開始し、7〜8月に現地視察を実施。9月の理事会で選定し、10月から支援を始める予定だ。将来的には欧州や南米などへの国際的な展開も視野に入れている。

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