ナオキ タキザワ「第40回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2025 SPRING/SUMMER」に招待参加

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滝沢直己がデザインするナオキ タキザワ(NAOKI TAKIZAWA)は2025年3月1日、東京・渋谷の国立代々木競技場第一体育館で開催された「第40回 マイナビ 東京ガールズコレクショ
ン 2025 SPRING/SUMMER」に招待参加した。Text & Photo: Shinichi Higuchi(樋口真一)

ブランド創設20周年を迎えた今年、これまでのイメージを一新し、よりスポーティーな方向へとリニューアルしたナオキ タキザワ。「日本のガールズファッションを世界へ」をテーマとする東京ガールズコレクションのステージでは、人気モデルやタレント、アーティストが登場し、フレッシュでアクティブな新生ナオキ タキザワの世界観を披露した。

今回のコレクションは「DESIGNER’S ATHLETIC WEAR」をコンセプトに、スウェット素材や日本のハイテク素材を用いたルックを展開。ハイテクノロジーとクチュール技術を融合させ、動きやすさと美しさを兼ね備えたスタイルが特徴となった。

スペシャルファッションショーステージでは、「ラグジュアリーストリート+モード」を軸に、山﨑天(櫻坂46)さん、茅島みずきさん、せいらさん、トラウデン直美さん、サイキック フィーバーのWEESAさんやJIMMYさんが登場し、観客の視線を集めた。

ショーは、アクション・ペインティングを思わせるカモフラージュ柄のジャケットとスカート、オーバーサイズの白いコートとスカート、そこにオレンジのフーディーを合わせたスタイリングからスタート。グリーンやオレンジをアクセントにしたルックがランウェーを彩り、自然を感じさせるグラデーションボーダーの装いも登場した。

また、インドやアフリカのカルチャーを思わせる、顔や頭に装飾を施したヘアメイクやタトゥーもルックの印象をより鮮やかに引き立てていた。カーキにも見えるグリーンのスカートは、ファスナーを開けると内側にオレンジがのぞく仕様で、動きに合わせて印象が変化するデザインとなっていた。

フィナーレでは、世界的ダンサーでアーティストのRIEHATAさんが、立体的なフードが印象的なオレンジレッドのジャケットとグレーのパンツに身を包み、フードで顔を隠して登場。フードを外し、楽曲の切り替えに合わせて約2分間にわたる迫力あるダンスパフォーマンスを披露した。バックダンサーたちもナオキ タキザワのグレーの上下をまとい、激しい動きの中で機能性とデザイン性を体現。ファッションとエンターテインメントを融合させた、東京ガールズコレクションならではの演出となった。

滝沢直己さんに聞く

コレクションのテーマは
滝沢
今回のテーマは「デザイナーズアスレチックウェア」という考え方を軸にしています。スウェットやジャージなど、丸編みの素材を使ってコレクションを構成しました。ダンサーやスケーターのように日常的に体を動かしている人たちのライフスタイルに寄り添う服を作りたかったんです。彼らの“リアル”に応えたいという思いが、常に僕の中にあります。

さらに今回は「グリーン」をキーワードにしました。自然との調和やカモフラージュを意識して、森の中にいるような感覚をデザインで表現しました。ああいうスウェットって、これまであまりなかったと思うんです。新しいアスレチックウェアのあり方を提示できたんじゃないかと感じています。

メイクも印象的でした
滝沢
今って、肌に直接アプローチするような表現が、ファッションの一部として当たり前になってきていますよね。顔にさまざまなものをつけたり、身体を通じて自分のアイデンティティを表現したり。服だけじゃなくて、身体そのものが自己表現のメディアになっている。

今回はそうした時代性を受けて、ピアスのように見えるアクセサリーや、体に装着するようなアイテムをテーマに取り入れました。出演したダンサーたちもタトゥーをしている人が多くて、そうした表現と自然に溶け合うようなビジュアルにしたかったんです。

なぜ東京ガールズコレクションに参加したのですか
滝沢
東京ガールズコレクションには独特のエネルギーがあると思いました。もちろん、パリやミラノのコレクションも素晴らしいし、僕自身もそこでいろんな経験を積んできました。でも、TGCは日本独自の文化であり、日本にしかないエンターテインメントの形なんです。

今の時代、配信などを通じて世界中どこにいてもイベントが楽しめるようになっていて、エンターテインメントは人々のライフスタイルにとって欠かせない要素になっています。そんなふうにエネルギーが集中する場に、服も存在しているべきだと感じました。

TGCは東京のカルチャーそのものであり、ある種のサブカルチャーの象徴でもある。世界にも類を見ないイベントだと思っています。だからこそ、その空気のなかで自分の服を見せてみたい、自分自身もその空気に触れてみたい、という思いがありました。実は、昔からTGCに出てみたいと思っていたんです。

コレクションはファッションショーとダンスの二部構成でした
滝沢
服をデザインする時点から、ダンサーたちに着てほしいと思っていました。スポーツをしている人たち、あるいはそういう服を街で着こなしている人たちの姿を想像しながら作っていました。

たとえば、今回使ったグレーのアイテム。あれは単なるスウェットじゃなくて、僕が立体的に構築したフレンチテリーです。そのスウェットが、ダンサーの動きとともにどう見えるか、どう機能するかというところを見せたかった。
世界的に活躍するRIEHATAさんにも協力してもらって、動きのなかで服の構造や立体感がより際立つように演出しました。これは単にパフォーマンスではなく、僕の仕事としてのプレゼンテーションでもありました。

赤い服もインパクトがありました。
滝沢
途中で登場した赤い服は、昔僕が実験的に作ったウェアです。あれは三層構造になっていて、アウトドア向けの素材を使い、完全無縫製で立体的に仕上げたものでした。通常、登山用のアウターなどでは無縫製が一般的になっていますが、それをスウェットのようなプロダクトに応用したかった。

縫い目がない状態でここまで立体的な表現ができるというのは、これからの服づくりにおいて非常に大きな可能性があると感じています。実は10年ほど前に制作した服なんですが、当時はまだ発表していませんでした。いま、スポーツウェアや機能素材が進化するなかで、このタイミングで披露すべきだと思ったんです。

東京ガールズコレクションということで、アイドルもモデルとして登場しました。
滝沢
今回、アイドルの方たちにもモデルとして登場してもらいましたが、多くのブランドが春夏コレクションを発表しているなかで、僕はあえて秋冬コレクションを着てもらいました。シーズンという概念を超えて、自分の“仕事”をきちんと見てもらいたかったからです。

今回発表したのは、ブラックやモスグリーンなどのスウェットや、東レが開発したナノデザイン素材のジャージーです。これらすべてが一つの連続した流れとして、グレーにつながっていきます。

僕たちは100年近くグレーののフレンチテリーをユニフォームとして、あるいはファッションとして着続けてきました。今回使用したのはエイガールズの素材で、ドレープが非常に美しく、それをカーブ裁断して立体的に組み立てることで、驚くほど美しいシルエットが生まれました。
この素材の可能性を活かしたいというのも、今回の重要なポイントでした。

トラウデン直美さんも着心地を評価していました
滝沢
そうなんです。彼女が着ていた服は、表面が綿で、裏側がウールの素材を使っています。とても軽くて、肌に直接着ても暖かいんですよ。

日本の素材って本当に優れていて、たとえば和歌山で手作りに近い形で開発されているニット素材など、世界にもっと伝えていく価値があると思います。実際にすでに海外マーケットでは評価されていますが、デザインの力によってさらに新しいジャンルとして認識される可能性があると感じています。

最後に、改めて、東京ガールズコレクションに招待参加した感想と今後の展開について
滝沢
本当に熱気が違いました。パリやミラノのコレクションに来るお客さんともまた違っていて、みんなが“見たい”“欲しい”“着たい”“感じたい”という思いを強く持っているのを感じました。しかも集まっているのは若い人たちだけではなくて、いろんな年代や背景の人たちがいて、それぞれのエネルギーがぶつかり合っていたんです。

だから、求めているものが全然違うんですよね。リアルな場で、自分の欲求や感性に素直になって服と向き合っているというか。僕は、そういうリアルな環境のなかでこそ、服がきちんと表現されるべきだと思っています。

今後の展開については、今、さまざまなお話をいただいていますが、僕たちは“アパレルブランド”というよりも“デザイン事務所”なんです。だから服づくりにとどまらず、もっと幅広いプロジェクトに関われる立場でもある。そういった立ち位置だからこそ、これから新しい表現やコラボレーションが生まれてくると思います。

服というプロダクトが、今後さらにどう変化していくのか。素材も、縫製も、表現の手段も、どんどん進化しています。そうした変化に柔軟に対応しながら、新しい服づくりを続けていきたいと思っています。

東京ガールズコレクションは、「日本のガールズカルチャーを世界へ」をテーマに、2005年8月から年2回開催されている。モデルやタレント、アーティスト、動画配信者など、幅広い分野のインフルエンサーが集まる国内最大級のファッションイベントとなっている。リアルとオンラインを通じた体験者数は約800万人に達する。多様な企業や団体と連携し、東京ガールズコレクションを起点にファッションショーの枠組みを超えたブランド発信の場へと展開している。国際連合や政府機関とも協力し、持続可能な開発目標(SDGs)や地方創生など、変化する社会課題を若年層に伝える役割も果たしている。

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