第58回「モード・イン・フランス(Mode in France)」展2025/2026年秋冬コレクションが開催

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第58回「モード・イン・フランス(Mode in France)」展が2025年2月4日から6日まで、東京都渋谷区のエビス303(EBiS303)で開催された。フランス婦人プレタポルテ連盟(Fédération Française du Prêt-à-Porter Féminin)が主催するこの展示会は、海外の展示会に先駆けて、日本でフランスの最新プレタポルテコレクションを紹介する合同展示会。今回は初出展の14ブランドを含む47ブランドが参加し2025/2026年秋冬コレクションを披露した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

前回創設された「ミフ・シェイカー(MIF SHAKER)」エリアには7ブランドが出展。パリのショールーム「タレント・トゥー・トレンド(TALENT TO TREND)」は3回目の出展となり、4ブランドを紹介した。今回もBEAMS、SHIPS、ベイクルーズ、トゥモローランドなど、日本の主要バイヤーが来場した。

2日目に行われた会見で、フランス婦人プレタポルテ連盟のインターナショナル・プロジェクト・ディレクター、アンヌ=ロール・ドゥリュゲ(Anne-Laure Delugey)さんは、「フランスのブランドにとって、日本は重要な貿易相手です。2024年11月時点で、日本は衣類全体の貿易相手国として9位に位置し、日本への衣類輸出は前年比4%増となっています。フランスでは、日本市場は取引に時間がかかり、攻略が難しいと言われています。それでも、日本は重要な市場であり、フランスのブランドも日本に強い愛着を持ち、長年にわたり関係を築いてきました」と、日本市場の重要性を強調した。

「ミフ・シェイカー」は今回で2回目の開催となる。ドゥリュゲさんは、「今回は7ブランドが参加し、そのうち2ブランドは前回に続く出展です。次回は、それぞれが独立し、より多くの人に認知されながら成長していくことを期待しています」と語った。また、前回「ミフ・シェイカー」に出展していた「レッドレジェンド」は、今回独立したブースを構えた。「これは成功例の一つといえるでしょう。『ミフ・シェイカー』がブランドの成長を後押しし、日本市場へ羽ばたく機会となることを願っています」と述べた。

一方、「タレント・トゥー・トレンド」は新進ブランドの育成を支援し、日本市場との橋渡しを担っている。「ミフ・シェイカー」のブランドとは異なり、「タレント・トゥー・トレンド」のブランドは通年で支援を受け、パリのショールームでも継続的に成長を促している。

「モード・イン・フランス」展は、毎回新たなブランドやコンセプトを導入し、日本市場に適したラインナップを提供することを目指している。今年は「シェイク(SHAKE)」の概念を取り入れ、伝統と新興ブランドをつなぐ役割を強化。会場のレイアウトにも工夫を凝らし、異なるブランドが共存する空間を演出した。

アルテール・デザイン(ALTER DESIGNS)

モナコ公国のグレース・ケリーの孫であり、ステファニー王女の娘であるホリンさんが手がけるブランド「アルテール・デザイン(ALTER DESIGNS)」が、日本市場向けに初めて展示を行った。6年前にブランドを立ち上げ、フランス製にこだわった高価格帯のアイテムを展開している。

素材にはシルクやパラシュート生地を使用し、特にシルク96%、エラスタン4%の生地は、しなやかで上品な仕上がりが特徴。ウール、カシミヤシルク、コットンも取り入れ、着心地の良さを追求している。また、再生生地を活用したアイテムも展開し、環境への配慮にも力を入れている。

展示会ではユニセックスなテーラードジャケットやシャツなどを紹介した。シルエットを調整できる仕様を採用し、シャツはボタンの位置を変えることで異なるスタイルを楽しめるなど、細部にも工夫を施している。

同ブランドはパリにオフィスを構え、ギャラリー・ラファイエットやプランタンに店舗を展開。モナコにも店舗を持つ。今回の展示会には、フランス婦人プレタポルテ連盟からのオファーを受けて出展した。

展示会では「多くの来場者がブースを訪れ、バイヤーの反応も良好だった」。今後の日本市場への展開に向けた手応えを感じているという。

タレント・トゥ・トレンド(TALENT TO TREND)

フランスの新鋭ブランドを日本市場に紹介するショールーム「タレント・トゥ・トレンド(TALENT TO TREND)」が、3回目の出展を果たした。今回は4ブランドを紹介し、その中でも、パリ・コレクション(パリ・ウィメンズ・ファッション・ウィーク)に参加する「ベンジャミン・ベンモイヤル(BENJAMIN BENMOYAL)」と、コルセットの伝統を受け継ぐ「エルネスト・レオティ(ERNEST LEOTY)」が注目を集めた。

ベンジャミン・ベンモイヤル(BENJAMIN BENMOYAL)

ベンジャミン・ベンモイヤルは、フランス国内での人気が高まりつつあるブランドの一つ。パリ・コレクションにも参加し、プレタポルテ市場での存在感を強めている。今回の展示会では、パリ・コレクションに先駆け、日本で新作を披露した。

ストリートテイストとレトロなデザインを融合させたスタイルが特徴。展示会では、祖母のワードローブを思わせるヴィンテージライクなアイテムに加え、コラボレーションによる現代的なストリートスタイルのアイテムも並んだ。クラシックな要素と現代的なシルエットのバランスが取れたコレクションで、ブランドの個性を際立たせている。また、遊び心のあるデザインも特徴の一つだ。

エルネスト・レオティ(ERNEST LEOTY)

エルネスト・レオティは、かつてコルセットを製作していたブランドに由来し、現在はバルマン(Balmain)のチームが手がけている。高い縫製技術とディテールへのこだわりが光るアイテムを展開する。

スポーツラインでは、快適性を重視したリラックスウェアを提案。一日中着用してもストレスを感じにくい設計で、洗練されたデザインと実用性を兼ね備えている。また、水着はフランスのシャネル(CHANEL)グループ傘下の企業と共同製作し、機能性と美しさを両立したコレクションとしてフランス国内でも高く評価されている。

今回の出展について、「タレント・トゥ・トレンド」は「日本のバイヤーや小売関係者とのつながりを深めることができた」とコメント。過去の出展を通じてブランドの認知度も向上しており、今後の展開が期待される。

また、「ミフ・シェイカー」など、日本に来日しないフランスブランドの支援も行い、その活動の幅を広げている。フランス婦人プレタポルテ連盟とも良好な関係を築き、今後も継続的に出展していく方針だ。

レ・トリコ・ドゥ・レア(LES TRICOTS DE LEA)

2016年に設立されたフランスのニットブランド「レ・トリコ・ドゥ・レア(LES TRICOTS DE LEA)」が、「モード・イン・フランス」に出展し、日本市場へのさらなる進出を目指している。デザイナーは現在28歳の女性。ブランドの特徴は、鮮やかな色彩、リラックス感のあるシルエット、高品質な天然素材の使用にある。

同ブランドは、カシミヤ、ウール、アルパカ、モヘアなどの天然素材を採用し、肌触りの良さと快適な着心地を追求。毛羽立たせた質感のある素材や、ウールとカシミヤの混合生地を取り入れ、ニット特有の温かみを際立たせている。

デザイン面では、ディープダイやタイダイといった染色技法を駆使し、鮮やかな色合いのアイテムを提案。ニットを単なる防寒着ではなく、ライフスタイルを彩るファッションアイテムとして位置づけている。

現在、ヨーロッパ各国で400店舗以上を展開し、パリではプランタンやハイエンドなコンセプトストアなどで販売。こうした実績を背景に、日本市場への進出を本格化させている。今回の出展では、デパートとの取引拡大を視野に入れるとともに、ブランドのノウハウを発信し、複数ブランドを扱うセレクトショップとの連携強化を目指した。

展示会では、8店舗を展開する企業などと接触し、百貨店との取引の可能性も浮上。「全体的に満足している。品質管理には特に注意を払っており、見た目の美しさだけでなく、品質の維持を最も重視している。カスタマーサービスはブランドの根幹にある」とブランド側も手応えを感じている。

フュドゥーン(FUDOON)

フランスのアウターウェアブランド「フュドゥーン(FUDOON)」が、「モード・イン・フランス」に初出展した。設立5年目を迎える同ブランドは、機能性とデザインを融合させたアウターを展開。ブランド名は日本語に由来し、日本市場への進出を視野に入れている。

代表的なアイテムは、大ヒット商品のダウンジャケット。フード部分のみを取り外せる仕様で、スタイルや気温に応じた調整が可能だ。フードはマフラーとしても使える設計で、寒暖差のある気候に対応しやすい。暑くなりすぎず、手軽に温度調節ができる点も魅力となっている。

また、リバーシブル仕様を採用し、一着で異なるスタイルを楽しめるのも特徴の一つ。機能性を重視しつつ、モードの要素を取り入れ、実用性とファッション性の両立を目指している。

フュドゥーンはすでにフランス国内の主要百貨店で展開。ギャラリー・ラファイエット、ボン・マルシェ、サマリテーヌなどのハイエンド百貨店で販売され、知名度を広げている。また、フランス国内にとどまらず、ヨーロッパ全体で約100店舗に卸しており、グローバルな展開にも力を入れている。

今回の出展について、ブランド関係者は「私たちは日本が好きで、ブランド名も日本語からインスピレーションを受けています」とコメント。「私たちのデザインは便利で可愛く、モードの要素もあり、ユニバーサルなためどの国でも通用する。ぜひ日本でも展開したい」と日本市場への期待を示した。

展示会初日から多くの来場者がブースを訪れ、ブランドのアイテムに関心を寄せた。関係者は「来場者が実際に驚く様子を見るのが興味深い。パリではデジタルコミュニケーションが主流だが、今回の展示会では実際に商品を手に取った人々のリアクションを直接見ることができた」と手応えを語った。

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