「アートウィーク東京」があす11月7日からスタート。記者発表会にアンバサダーの鈴木京香さんが登場

  • URLをコピーしました!
Pocket

一般社団法人コンテンポラリーアートプラットフォームは、2024年11月7日から10日までの4日間、「アートウィーク東京(AWT)」を開催する。開催に先立ち、10月30日に東京都港区のホテルオークラ東京で記者発表会が行われた。発表会には鈴木京香さんと山本美月さんも登場した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

進化を遂げるAWT:過去最多の53アートスペースが参加。シャネル・ネクサス・ホール、プラダ青山も新たに参加

アートウィーク東京は、東京を代表する美術館やギャラリーが参加し、東京の現代アートの「いま」を感じられるアートの祭典として、2022年から年に1度開催されている。2023年には国内外から延べ4万3000人が参加した。今年で3回目となる今回は、シャネル・ネクサス・ホールやプラダ青山なども加わり、過去最多の都内53のアートスペースが参加する国際的なアートイベントへと発展した。

都内各地のアートスペースをつなぐ無料シャトルバス運行

また、都内に点在するこれらのアートスペースやAWTのプログラム会場を、どこからでも乗り降り自由な無料のシャトルバス「AWT BUS」が巡回。「アートウィーク東京モビールプロジェクト」の一環として運行するこのバスに乗って複数のアートスペースを巡ることで、それぞれの個性と東京の現代アートの「いま」を感じられる。

多彩なプログラム、「アートを買える」新体験を提供

会期中はアートウィーク東京独自のプログラムとして、「買える展覧会」をコンセプトとする「AWT FOCUS」や、海外を拠点に活動するキュレーターが厳選した映像作品を上映するビデオプログラム「AWT VIDEO」、建築家やアーティストとのユニークなコラボレーションが魅力の「AWT BAR」、国内外のゲストを招いたシンポジウムやラウンドテーブル、オンライントークシリーズで構成される「AWT TALKS」を開催する。また、子どもや若年層、これからアートコレクターを目指す人に向けたプログラムも実施する。多角的にアートを体験できるさまざまなプログラムを通じ、東京のアートシーンの最先端を体感したいアートファンやコレクターだけでなく、現代アートを知りたいと考える多くの人々に広く開かれた場を提供する。

AWT FOCUS:「大地と風と火」をテーマに未来を創造するアート

2023年に「買える展覧会」として始まった「AWT FOCUS」は、現存する日本最古の私立美術館である大倉集古館(東京都虎ノ門)を会場に、2024年も開催される。「AWT FOCUS」は、展覧会形式で日本の美術史を紹介し、アートの価値が生まれる背景を共有すると同時に、作品を購入できる新たなセールスプラットフォーム。今年で2回目となる今回は、森美術館館長であり国立アートリサーチセンター長も務める片岡真実さんの監修により実施される。「Earth, Wind and Fire」と題し、日本とアジア太平洋地域のアートに見られる宇宙観を通じて未来を考える。

「AWT VIDEO」プログラム:海外キュレーターが厳選した映像作品

「AWT VIDEO」は、海外で活躍するキュレーターがAWT参加ギャラリーのアーティストによる映像作品から厳選したビデオプログラムを上映する企画だ。今年は、ニューヨークのスカルプチャーセンターのディレクターであるソフラブ・モヘビさんが監修を担当する。異なる時間の概念を持つ者たちがどのように交わり、新たな共存の可能性を見出せるかをテーマに、13人のアーティストがそれぞれの作品でテーマを表現する。

「AWT BAR」が今年もオープン、アートと融合した新たな空間体験

国内外のアートファンやプロフェッショナルが集う憩いの場「AWT BAR」が、今年も南青山の複合ビル「emergence aoyama complex」にオープンする。「AWT BAR」は、次世代の日本文化の力を世界に発信するため、クリエイターによって企画された。今年は建築や食に加え、音楽やファッションを含む、さらに多様なプログラムが展開される。建築デザインはランドスケープアーキテクトの戸村英子さんが担当。「ランドスケープがつくるBAR」をテーマに、都市に隠れたランドスケープを有機的に体現したバーを通じ、新しい過ごし方を提案する。

食は表参道の「EMMÉ」の延命寺美也さんが担当する。ごぼうを使った季節の一品として、新ゴボウと自家製ベーコンのケークサレ、旬の紅玉りんごを3時間かけて焼き上げたタルトタタンに和栗のクリームを添えたタタンモンブランを提供する。カクテルは3人のアーティストとのコラボレーションで展開される。国立新美術館で展覧会を開催中の荒川ナッシュ医さんは、自身が好むポップスターから着想を得たボタニカルなブラウンカクテルを提供。ギャラリー小柳で展覧会を開催している束芋さんは、白を基調にしたミルクベースの甘いカクテルを提供する。小泉明郎さんは、催眠をテーマに赤い氷が特徴的なカクテルを提案する。

今年から新たに音楽が加わり、リズムアンサンブル「goat」の主宰で、電子音楽ソロプロジェクト「YPY」としても知られる日野浩志郎さんがサウンドインスタレーションやパフォーマンスの楽曲を手掛ける。観客を交えたパフォーマンスは、土曜と日曜に3回ずつ、計6回開催される。

特別なアート&ファッションのコラボレーション。トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)の衣装を纏ったパフォーマンス

ファッション部門では、アートバーゼルとの合同企画が実現。レディー・ガガさんやビョークさんを魅了し、近年はアーティストとして個展を開催するなど、ファッションとアートを越境する取り組みを続けているトモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)の小泉智貴さんが手掛けた衣装をまとったコンテンポラリーダンサーで振付家の水村里奈さんがパフォーマンスを行う。

シンポジウムやオンライントークで学べるアートの最前線

そのほか、アート通から初心者まで幅広い層に向けたシンポジウムやオンライントークシリーズで構成される「AWT TALKS」も開催される。会期前から会期中にかけて展開されるこれらのプログラムでは、国内外のキュレーターや思想家を招き、業界の最前線のトピックや課題、歴史について議論を通じて深く伝える。また、これからコレクターを目指す人向けのガイドツアーやセミナー、子どもや若年層を対象としたアートエデュケーションプログラムを通じ、これまでアートとの接点がなかった人や敷居の高さを感じていた人にも学びの場を提供する。

記者発表会で、AWT共同創設者の白井一成さんは、「世界と日本のアートシーンをつなぎ、日本の皆様にアートを身近に感じ、楽しんでいただくことを目的としています。海外からキュレーターや美術関係者、コレクターに日本を訪れていただき、日本の美術作品や作家、クリエイターと交流してもらうことで、日本の美術業界が将来、海外で活躍できるようなパイプラインを築きたいと考えています。また、海外のアートフェアは通常、閉ざされた大きな会場で開催されますが、アートウィーク東京はバスでさまざまな会場を巡る形式ですので、東京の街やアート、さまざまなプログラムを通して日本の文化も楽しんでいただきたいと考えています」とあいさつ。

片岡さんは「『AWT FOCUS』の2回目の開催となる今回は『大地と風と火』をテーマに、アジアから未来をどのように創造できるかを提案します。現代では、多様な価値観が共存しながら新たな未来を創造することが求められていますが、アジアの古代の宇宙観にはさまざまなヒントが隠されているのではないかと考え、それをテーマに展覧会を企画しました。展覧会は4つのセクションで構成され、古代の宇宙観やインド哲学を反映した作品群により、見えないエネルギーや自然の循環を表現しています。また、会場デザインには居住空間の要素を取り入れています。自宅に作品があるような感覚で楽しんでいただければと思います」と話した。

今後について、アートウィーク東京の共同創設者でディレクターの蜷川敦子さんは、「アートウィーク東京は現代アートという閉ざされた世界を共有し、幅広い方々にその魅力を知ってもらうことを目的としています。また、日本のアートシーンを国際的に位置づけ、業界のつながりを深めることにも注力してきました。その結果、アートウィーク東京は海外でも認知され、11月に東京を訪れるアート関係者が増えています。次のステップとして、今後は国内や欧米だけでなく、アジア圏全体と連携を図り、さらに発展させたいと考えています」と語った。

AWTアンバサダー鈴木京香さんと山本美月さんが語る「アートウィーク東京」の魅力

記者発表会では、AWTアンバサダーに就任した俳優の鈴木京香さんと、スペシャルゲストの俳優でモデルの山本美月さんを迎え、アートをテーマにしたトークセッションも行われた。

鈴木さんは「私の場合、29歳のときに初めて好きな作家の作品にオークションで入札したのがきっかけです。それ以来、現代アートにも興味が広がり、さまざまな作家や作品を知り、購入するようになりました。アートウィーク東京のようなイベントは、緊張せずにギャラリーを巡り、新しいアーティストと出会う良い機会だと思います」とにっこり。

注目している展示やアーティストについて聞かれると、「もうね、たくさんあるので、もう本当に興奮しちゃって、なんかごめんなさい。今回は森美術館のルイーズ・ブルジョワ展や、日本の作家・内藤礼さん、大倉集古館も楽しみにしています。カタログを見ると、まだまだ知らない作家が多く、新しい出会いを求めてギャラリー巡りをしたいですね。また、普段は訪れないようなギャラリーにバスで連れて行ってもらえるのは素晴らしい機会だと思います。私もまだ伊東豊雄さんの建築を見たことがないので、ツアーに参加したいと考えています。東京がアート一色になるこの時期、秋を満喫しながらアートを楽しんでください」と語った。

山本さんは「私自身、今回初めてアートウィーク東京を知りました。これを機にアートをもっと深く知っていけたらと思っています。アートに触れることは敷居が高いと思われがちですが、東京には多くのギャラリーや美術館があり、恵まれた環境にいます。この機会に気軽に訪れて、アートを身近に楽しみましょう」と話した。

記者発表会終了後には「AWT BUS」で都内のアートスペースを巡るメディアツアーも開催。「AWT BAR」では、延命寺さんが考案したオリジナルのフードとアーティストが手がけたカクテルの試食と試飲も行われた。

また、オープンから20周年を迎えたシャネル・ネクサス・ホールでは、金沢21世紀美術館館長で東京藝術大学名誉教授の長谷川祐子さんが次世代キュレーターを育成する「長谷川ラボ」とのコラボレーション企画「Everyday Enchantment 日常の再魔術化」を開催。小林椋、丹羽海子、ビアンカ・ボンディの3人の作品が紹介されている。キュレーションを担当したフィン・ライヤンさんは、「愛と魔術がテーマ。この部屋全体を1つの風景としてご覧いただければ」としている。

アートウィーク東京 開催概要

名称:アートウィーク東京(英文:Art Week Tokyo、略称:AWT)
会期:2024年11月7日~10日10:00~18:00
会場:都内53か所の美術館、インスティテューション、ギャラリー
AWT FOCUS、AWT BARほか各プログラム会場
主催:一般社団法人コンテンポラリーアートプラットフォーム
提携:アートバーゼル(Art Basel)
特別協力:文化庁

料金

AWT BUSの乗車は無料。
参加ギャラリーの入場も無料。
参加美術館では、AWT会期中に限り、所定の展覧会でAWT特別割引が適用される。
AWT FOCUSの入場料は一般1800円(前売1500円)、学生・子どもは無料。

Our website incorporates the Google Website Translator tool. This feature allows users to access content in various languages through seamless translation.

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!